ニューオリンズ・トライアル

ヒートアップする激烈な頭脳戦 ★★★☆☆
[03/米]2h08 1月31日より日比谷映画劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー

[製作]アーノン・ミルチャン ゲイリー・フレダー クリストファー・マンキーウィッツ
[原作]ジョン・グリシャム「陪審判決」(新潮文庫刊)
[監督]ゲイリー・フレダー
[脚本]ブライアン・コペルマン&デビット・レビン レック・クリーブランド マシュー・チャップマン
[出演]ジョン・キューザック ジーン・ハックマン ダスティン・ホフマン レイチェル・ワイズ
[配給]東宝東和
[宣伝]オフィス・エイト

[リーガル・エンターテインメント:RUNAWAY JURY 全米公開2003年10月17日]

「ザ・ファーム 法律事務所」「評決のとき」「依頼人」「ペリカン文書」のジョン・グリシャムによる、1996年のベストセラー「陪審判決」をタバコ訴訟から銃訴訟に置き換えて、「コレクター」「サウンド・オブ・サイレンス」のゲイリー・フレダーが映画化。出演は、「アイデンティティー」のジョン・キューザック、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のジーン・ハックマン、「ムーンライト・マイル」のダスティン・ホフマン、「アバウト・ア・ボーイ」のレイチェル・ワイズ。

ニューオーリンズの証券会社で銃の乱射事件が発生。犯人は11人を射殺し5人に重傷を負わせ自殺。その2年後、犯行に使われた銃の製造と販売責任をめぐり、犠牲者の未亡人が訴訟を起こした。訴えられたのは大手の銃器メーカー。もしもメーカー側がこの裁判に負ければ、全米中で同様の訴訟の嵐が巻き起こるのは必至となる―。必ず勝たなければならない戦いを前に、メーカー側はやり手の陪審コンサルタントのフィッチを雇い、評決の鍵を握る陪審員に対しての裏工作を進める。その渦中で、暗躍を始める一人の陪審員ニック。謎めいた過去を持つ彼はある「目的」を持って陪審員に潜り込んでいた。果たして彼の目的は?そして原告・被告双方に「陪審員、売ります」のメモを送りつけた謎の女マーリーの正体とは?苦しい戦いの中での原告側弁護士ロ-アの下した決断とは…?全米中のマスコミが固唾を呑んで見守る中、熱いバトルの幕が上がった。

今までのグリシャム映画は裁判がメインの作品が多かったが、今回はちょっと違う。アメリカの裁判は陪審員が評決を下す。そこに目をつけた陪審員が、被告と原告の弁護士に金で評決を売ろうとする命懸けの頭脳合戦が炸裂。今まで映画化されなかったのが、おかしいくらい。こんな事が実際に起こっていたら、ちょっと恐ろしい。ラストのオチが、ある日本映画に似ているが、どちらが先に書かれたんだろう?ちょっと気になる。

オフィシャルサイト:http://nt.eigafan.com/

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2004年2月2日 by p-movie.com

シービスケット

諦めるな、立ち向かえ! ★★★★☆
[03/米]2h21 1月24日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

[製作]ゲイリー・ロス キャスリーン・ケネディ フランク・マーシャル ローラ・ヒレンブランド
[原作]ローラ・ヒレンブランド(ソニー・マガジンズ)
[監督]ゲイリー・ロス
[脚本]ゲイリー・ロス
[出演]トビー・マグワイア ジェフ・ブリッジス クリス・クーパー エリザベス・バンクス
[配給]ユナイテッド・インターナショナルピクチャーズ ファー・イースト
[宣伝]P2

[勇気と感動の実話:Seabiscuit 全米公開2003年7月25日]

436万部を超えるベストセラーの『シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説』を「カラー・オブ・ハート」で、トビー・マグワイアを起用したゲイリー・ロスが、製作・脚本・監督した感動作。全米では2ヶ月以上に渡ってベストテンに入った。出演は、「スパイダーマン」のトビー・マグワイア、「ザ・コンテンダー」のジェフ・ブリッジス、「アダプテーション」のクリス・クーパー、「」のエリザベス・バンクス。

大恐慌によって、一家離散に見舞われた天涯孤独の騎手ジョニー・“レッド”・ポラード、巨万の富を手にしながら、愛する者を失った西部の自動車王チャールズ・ハワード、そして、故郷というべき“西部”を近代化の波によって奪われた孤独なカウボーイ、トム・スミス。彼らは、《シービスケット》という一頭の小柄なサラブレッドに導かれるように出逢い、まるで家族のような絆で結ばれ、生きる希望を掴み取る。と同じに、逆境を跳ね返し、過酷な毎日を生きる人々に勇気を与え、“貧しき者たちのヒーロー”として、熱狂的な人気を獲得する。ところがそんな折、レッドは騎手として再起不能な重傷を負い、そして《シービスケット》もまた競走馬として致命的なケガをしてしまう。こうして、彼らの奇跡にも似た再起への闘いが、今、幕を開ける…。

役作りの為に10キロも痩せたトビー・マグワイアは、過酷なトレーニングと撮影で腰を痛めて、一時は「スパイダーマン2」の製作が危ぶまれるほど気合の入った作品。前回紹介した「油断大敵」もそうだったが、こちらも実話だと思えないほどの感動作。レースを真上から撮影するという、今まで見たことの無い映像も堪能できる。永遠のライバルを演じたゲイリー・スティーヴンスは、実際の名誉殿堂入りしたジョッキー。俳優初体験とは、思えない堂々たる名演も見所のひとつ。

オフィシャルサイト:http://www.uipjapan.com/seabiscuit/

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2004年1月26日 by p-movie.com

油断大敵

刑事と泥棒の本当にあった話 ★★★★☆
[03/日]1h15 1月17日よりスバル座にて全国公開

[製作]成澤章 笠原和彦 石川富康 升水惟雄
[原作]飯塚訓「捕まえるヤツ 逃げるヤツ」(文藝春秋社刊)
[監督]成島 出
[脚本]小松興志子 真辺克彦
[出演]役所広司 柄本明 夏川結衣 菅野莉央 前田綾花 水橋研二 津川雅彦 奥田瑛二 淡路恵子
[配給]ゼアリズエンタープライズ ケングルーヴ
[宣伝]ライスタウンカンパニー

「ザ・中学教師」「お引越し」「空がこんなに青いわけがない」などの助監督として参加し、「シャブ極道」「恋極道」「少女」「笑う蛙」「T.R.Y」の脚本を担当した成島 出の念願だった監督デビュー作品。元刑事の飯塚訓による実体験を基にした原作を映画化。出演は、「東京原発」の役所広司、「ドラッグストアガール」の柄本明、「座頭市」の夏川結衣、「仄暗い水の底から」の菅野莉央、「BORDER LINE」の前田綾花、「サル」の水橋研二、「いつかA列車に乗って」の津川雅彦、「海は見ていた」の奥田瑛二 「ぷりてぃ・ウーマン」の淡路恵子。

関川仁は妻を亡くし、駐在勤務から離れて泥棒刑事になったばかりの新米刑事。ある日、ひょんなことから仁はプロの大泥棒・猫田定吉を捕まえる。刑事っぽくない実直な仁に惹かれたネコは、「捕まえるヤツがとろいんじゃ、逃げるヤツも面白くねえ」と泥棒テクを教え始める。ネコに刺激されて、刑事の仕事が大好きな仁は泥棒専門刑事として腕を磨いていく。「逃げんなよ!きっと本物の泥棒刑事になっから!」ここから奇妙な真剣勝負、刑事と大泥棒の追いつ追われつが始まる。

本当にこんな事あったの?と驚いてしまう物語。これは、実際の刑事からするとファンタジーの世界だろう。まるでコミックのようなミラクルの世界。男でひとつで必死に育てきた娘の親離れに、思わず取調室で泥棒に相談する刑事には、思わず感動してしまった。それにしても夏川結衣は、なんでこんなにも幸薄い役しかやらないんだろう。

オフィシャルサイト:http://www.yudantaiteki.com/

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2004年1月18日 by p-movie.com

ミスティック・リバー

衝撃的な悲劇が、心の闇を炙り出す ★★★★☆
[03/米]2h18 1月10日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー

[製作]ロバート・ローレンツ ジュディー・G・ホイト クリント・イーストウッド
[原作]デニス・ルヘイン(ハヤカワ文庫刊)
[監督]クリント・イーストウッド
[脚本]ブライアン・ヘルゲランド
[出演]ショーン・ペン ティム・ロビンス ケビン・ベーコン ローレンス・フィッシュバーン ローラ・リニー
[配給]ワーナー・ブラザース
[宣伝]レオ・エンタープライズ

奇跡のアンサンブル・ドラマ:Mystic River 全米公開2003年10月10日 【PG-12】

デニス・ルヘイン原作のベストセラーを、クリント・イーストウッドが24作目の監督作品に選んだ作品。出演は「アイ・アム・サム」のショーン・ペン、「ヒューマンネイチュア」のティム・ロビンス、「コール」のケビン・ベーコン、「マトリックス」シリーズのローレンス・フィッシュバーン、「目撃」のローラ・リニー。

ジミー(ショーン・ペン)、デイブ(ティム・ロビンス)、ショーン(ケビン・ベーコン)の3人は、ボストンのダウンタウンに近いイーストバッキンガム地区で少年時代をともに過ごした幼なじみだ。11歳のある日、いつものように路上で遊んでいた3人に、警官を思わせる男が近づいてきた。男は、道路にいたずらをしていた3人を叱りつけると、デイブだけを車に乗せて走り去った。デイブが戻ってきたのはそれから4日後のこと。誘拐され、監禁された4日間。そのあいだにデイブの身に何が起こったのかは、語られなくてもわかった…。その日を境に、彼らの少年時代にピリオドが打たれ、3人は離れ離れになっていった。25年後に起きた殺人事件。それは、過去の出来事を呼び戻す、さらなる悲劇の幕開けとなった。無残な姿で殺されていたのは、19歳になるジミーの最愛の娘。今は刑事となったショーンが、相棒のホワイティー(ローレンス・フィッシュバーン)とともに事件の捜査にあたることになり、その捜査線上に、なんとデイブが容疑者として浮かび上がってきたのだ。殺された娘の父親と、刑事、そして容疑者。かつての幼なじみが果たしたあまりにも過酷な再会になった。

「ゴシカ」に変わって公開が、急遽決まった作品。今年はアカデミー賞が2月に早まり、候補作品の公開がその前に集中している。作品は、アカデミー賞に名を連ねるメンバーだけに、心に痛いほど突き刺さるほど見応えあるドラマ。見終わった後は、かなりヘコムかも。そして、チラシのキャッチコピーに「スタンドバイ・ミー」を持ち出すのは、どうかなとも思う。同じ日に公開の「半落ち」といい、やるせない気持ちになる作品で今年の公開はスタートです。

オフィシャルサイト:http://mysticrivermovie.warnerbros.com/ (英語版)
          http://www.warnerbros.co.jp/mysticriver/ (日本語版)

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2004年1月9日 by p-movie.com

ミッション・クレオパトラ

エンタテイメント・ルネッサンス ★★★☆☆
[02/仏]1h48 12月27日より六本木ほか全国ヴァージンシネマズにてロードショー

[製作]クロード・ベリ
[監督]アラン・シャバ
[原作]ルネ・ゴッシニー アルベール・ユデルゾ
[脚本]アラン・シャバ
[出演]モニカ・ベルッチ ジェラール・ドパルデュー クリスチャン・クラヴィエ ジャメル・ドゥブーズ
[配給]ギャガ・コミュニケーションズ
[宣伝]ギャガ宣伝サウスグループ×アニープラネッド

[マジカル・パワームービー:Asterix & Obelix : Mission Cleopatra]

1999年に、フランス横浜映画祭のみで上映された「アステリックスとオベリックス」の続編。昨年の東京ファンタで、上映されている。出演は、前作に続いて登場のジェラール・ドパルデュー&クリスチャン・クラヴィエ、「ティアーズ・オブ・ザ・サン」のモニカ・ベルッチ、「アメリ」のジャメル・ドゥブーズ。監督は、出演も兼ねているアラン・シャバ。

紀元前52年。エジプト女王クレオパトラは、生意気なローマ皇帝シーザーに対してある賭けをする。目的は、エジプトの民が地球で最も偉大であることを認めさせるため。賭けの内容は…たった90日間でシーザーのために豪華絢爛の宮殿を建てること!かくして、納期の守れない前衛建築家と不思議な力を持つ 2人のガリア人「アステリックスとオベリックス」による、壮絶な建築の旅が始まった。

フランスでは、テーマパークがあるほど有名なコミックの映画化で、4人に1人が見たという2002年度No.1作品。でも日本では知られてないし、前作がビデオも出てないのが致命的。史上最大のバカバカしいフレンチ・ギャグ満載だが、字幕が噛み合ってないのか外してる箇所も目立つし、無駄遣いなCGも目立つ。 TVのCMが、”トリビアの泉”のパロディーというとこから、ちょっと寒い。

オフィシャルサイト:http://www.gaga.ne.jp/cleopatre/

カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2003年12月29日 by p-movie.com