めざめ

女たちの秘密が闘牛の部位で、目覚める ★★★★☆
[02/仏・ベルギー・スペイン・スイス] 2h12 3月6日よりユーロスペースほか全国順次ロードショー

[製作]ジェローム・ドプフェール
[監督]デルフィーヌ・グレーズ
[脚本]デルフィーヌ・グレーズ
[出演]アンヘラ・モリーナ キアラ・マストロヤンニ ルシア・サンチェス リオ ジャック・ガンブラン
[配給]ユーロスペース
[宣伝]ユーロスペース

[Carnages 全仏公開2002年11月22日]

2002年のカンヌ映画祭で「第二のフランソワ・オゾン」と呼ばれ、称賛を浴びた女流監督デルフィーヌ・グレーズの鮮烈なデビュー作品。出演は「ライブ・フレッシュ」のアンヘラ・モリーナ、「シックス・パック」のキアラ・マストロヤンニ、「ホームドラマ」のルシア・サンチェス、「ジェラシー」のリオ、「カンゾー先生」のジャック・ガンブラン。

保育園に勤めるジャンヌは、5歳までの記憶がなく、母親のアリスに問いただすが、曖昧な答えしか返ってこないため不安になっている。初めての出産をひかえたベティは、夫ジャックに大事なことを伝えないまま臨月を迎えている。キャンピングカーで息子と二人暮しのロージーは、父親が不在の真の理由を口にできずに剥製作りで生計をたて、息子のリュックを溺愛している。売れない女優カルロッタは母親譲りの黒子(ホクロ)がトラウマのようになり、情緒不安定に陥っている。いちばん大切なことを伝えられない女たちは、片目の闘牛ロメロと敗れた若きマタドール(闘牛士)の魂に導かれ、ささやかな幸せに辿り着く。

物語は、闘牛ロメロ(スペイン語で全ての病を癒すローズマリーの位)が解体されバラバラとなった各部位が、登場人物の運命を再生させるというお伽噺のような作品。部位は、眼球・角・骨・肉に分けられ、向き合えない夫婦・会えない家族・アンバランスな家族と孤独なふたり、家族の秘密が解き明かされる。アイディア勝負の作品だけど、これなかなかのお勧めです。

オリジナルサイト:http://www.carnages-lefilm.com/

カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2004年3月8日 by p-movie.com

マスター・アンド・コマンダー

魂を揺さぶる空前のスペクタクル・ロマン ★★★☆☆
[03/米]2h19 2月28より日劇1ほか全国東宝洋画系にて全国ロードショー

[製作]サミュエル・ゴールドウィン・ジュニア ピーター・ウィアー ダンカン・ヘンダーソン
[原作]パトリック・オブライアン(ハヤカワ文庫刊)
[監督]ピーター・ウィアー
[脚本]ピーター・ウィアー ジョン・コーリー
[出演]ラッセル・クロウ ポール・ベタニー ビリー・ボイド ジェームズ・ダーシー リー・イングルビー
[配給]ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
[宣伝]ブエナ ビスタ

[Master and Commander: The Far Side of the World]

パトリック・オブライアンの海洋冒険小説の映画化。「ビューティフル・マインド」のラッセル・クロウ&ポール・ベタニーが再び共演。ほか今後に活躍が期待される若手俳優が大挙出演。監督は「グリーン・カード」「トゥルーマン・ショー」のピーター・ウィアー。

1805年。ヨーロッパ征服を狙うナポレオンの前に、多くの兵士の尊い命が犠牲となり、イギリス軍はその兵力を補うために、幼い少年達までも戦場に送らざるをえなかった。弱冠12歳の士官候補生ブレイクニーら少年たちは、伝説的な名艦長として名を馳せるジャック・オーブリー率いるサプライズ号に乗り込む。この艦の使命は、ナポレオン率いるフランス軍の武装艦アケロン号を拿捕するという、危険極まりない大追跡だった。攻撃力では圧倒的な優位に立つアケロン号と、荒れ狂う大海原を相手に、戦う術も知らない幼い少年達はひたすらにジャック・オーブリー艦長を信じ、愛する家族に再び会える日を夢見て戦いに旅立つ。

ミラマックス&ユニバーサルと20世紀フォックスが製作したが、何故か日本はブエナビスタが配給。作品は実際に船まで造った、ほとんどが海上で繰り広げられる男臭い航海映画。見所は迫真の嵐と何といっても戦闘シーン。海の上で2艘の船を横付けにして、展開される追撃戦は圧巻。残虐な描写も多いけど。原作は長編だけあり、航海は続く。続編は、作られるのか?

オフィシャルサイト:http://www.movies.co.jp/masterandcommander/

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2004年2月28日 by p-movie.com

ヘブン・アンド・アース

日本へ帰りたくば友を暗殺せよ ★★★☆☆
[03/中]1h58 2月21日よりニュー東宝シネマほか全国東宝洋画系にてロードショー

[製作]イェン・イーユン ワン・チョンチョン
[監督]フー・ピン
[脚本]フー・ピン チャン・ルイ
[出演]中井貴一 チアン・ウェン ヴィッキー・チャオ ワン・シュエチー ハースパーカン
[配給]ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
[宣伝]メディア・スーツ

[WARRIORS OF HEAVEN AND EARTH "天地英雄" ]

東京国際映画祭でワールドプレミアされた、ソニー・ピクチャーズ ワールドシネマのアジア作品。出演は「陰陽師2」の中井貴一、「ミッシング・ガン」のチアン・ウェン、「クローサー」のヴィッキー・チャオ。監督は「双旗鎮刀客」のフー・ピン。

紀元7世紀の中国、唐王朝の最盛期。13歳で大陸に渡り、25年間皇帝の密使として働いてきた遣唐使の来栖に念願の帰国許可が下りた。だが、皇帝は彼に帰国前の最後の任務を命じる。それは、逃亡中の反逆者で、元唐軍の英雄、李の討伐だった。李はインドからの皇帝への重要な献上品“黄金の仏塔(パゴタ)”を運ぶキャラバン隊の護衛をしていた。来栖は李を処罰する前に長安の皇帝に届けることを優先させるべく、キャラバンの護衛に協力、砂漠のシルクロードを共に旅する。だがそれは、仏塔を狙う異民族や盗賊団との待ち受ける苛酷な旅だった。

紀元前7世紀のシルクロードを舞台に、男達の同士と名誉を描いたスペクタクル活劇。砂煙をあげての騎馬軍団との決戦や中井貴一とチアン・ウェンとの対決は素晴らしい。敵対しながらもお互いの実力と立場を尊重する来栖と李の静かな交流、見事なリーダーシップを発揮する李と彼を慕う部下の絆は心に沁みる。これで、CGにもう少しお金が掛かってればなー。

オフィシャルサイト:http://www.sonypictures.jp/heavenandearth/

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2004年2月21日 by p-movie.com

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還

壮大なファンタジー、ここに完結 ★★★★☆
[03/米]3h23 2月14日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

[製作]バリー・M.オズボーン フラン・ウォルシュ ピーター・ジャクソン
[原作]J.R.R.トールキン「指輪物語」(評論社)
[監督]ピーター・ジャクソン
[脚本]フラン・ウォルシュ フィリッパ・ボウエン ピーター・ジャクソン
[出演]イライジャ・ウッド イアン・マッケラン リヴ・タイラー ヴィゴ・モーテンセン ショーン・アスティン
[配給]日本ヘラルド・松竹
[宣伝]日本ヘラルド

[The Lord Of The Rings: The Return Of The King 日本語吹き替え版あり]

長くてつらい旅路も遂にここに完結。全米では、まだまだトップ10に健在。興収も 3億5000万ドルを超え、歴代6位まであとわずか。アカデミー賞にも、作品賞・監督賞・脚色賞ほか11部門と今回の最多ノミネートされている。

冥王サウロンの20万もの軍が、今度はもう一つの人間の国ゴンドールに襲いかかる。ゴンドールは今や最後の砦、ここが陥落すれば中つ国も滅んでしまう。旅の仲間はもちろん、ローハンの人々も、長らく国交が途絶えていたゴンドールを救うために立ち上がる。そして、戦いなど全く経験のないメリーとピピンまでが剣をとるのだ。しかし、サウロンの力はあまりにも強大で、次々と尊い命が失われてしまう。愛する者の死に流される悲痛な涙…。誰もが気付き始めていた。もはや戦いで勝利を収めることなど出来ないことに。それでも、彼らは決して諦めない。すべては指輪を捨てるフロドのためだ。汚れを知らない平和を愛する小さき者が、指輪の魔力に身も心も押しつぶされていく。それでも彼は、たった一人で世界を救おうとしていた。

3時間23分とインド映画もビックリの長さだが、後半はバトル・アクションの壮絶な戦いだらけ。最終でしぼんだ「マトリックス」とは比べるのも失礼な出来。主な登場人物の一人一人の見せ場もあり、見所は満載。遂に、ホビット族にもカッコいいシーンが用意されている。見終わった後は、何ともいなない寂しさが待っているかもしれないが、監督は1作目の50年前に時代を設定した、第4弾の構想もあるらしいので気長に待ちましょう。

オフィシャルサイト:http://www.lotr.jp/

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2004年2月14日 by p-movie.com

ラブ・アクチュアリー

19人が織り成すそれぞれの愛のカタチ ★★★★☆
[03/英・米]2h15 2月7日より日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー

[製作]ダンカン・ケンワーシー/ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー
[監督]リチャード・カーティス
[脚本]リチャード・カーティス
[出演]ヒュー・グラント コリン・ファース アラン・リックマン キーラ・ナイトレイ エマ・トンプソン リーアム・ニーソン ローワン・アトキンソン ビル・ナイ ローラ・リニー ビリー・ボブ・ソーントン
[配給]ユナイテッド・インターナショナルピクチャーズ ファー・イースト
[宣伝]オフィス・エイト

[ハートフル・ドラマ:Love Actually 全米公開2003年11月14日]

現代は、憎しみと欲だけになってしまった? いやいや実際(ACTUALLY)のところ、この世にはまだたくさんの愛(LOVE)が、溢れています。 そんな事を感じさせてくれる作品を『フォー・ウェディング』『ノッティング・ヒルの恋人』『ブリジッド・ジョーンズの日記』の脚本家リチャード・カーティスが、今回は監督も兼ねて製作した作品。 ハリウッドでも活躍しているイギリス人俳優たちを集めておくる、様々な愛によって輝く人生の素晴らしさを御賞味あれ。 出演は「ブリジッド・ジョーンズの日記」のヒュー・グラント&コリン・ファース、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のキーラ・ナイトレイ、『ギャング・オブ・ニューヨーク』のリーアム・ニーソン、『いつか晴れた日に』のエマ・トンプソン、そして『ビーン』『ジョニ-・イングリッシュ』のローワン・アトキンソンが、相変らずのスットボケ演技を披露している。

クリスマス目前のロンドン。年齢・人種・性別・職業の多種多様な19人が、ちょっぴりままならない人生を生きている。お茶くみの秘書に恋心を抱いてしまう独身の首相。弟に恋人を取られ傷心旅行へ出かけた南米で、言葉も分からぬメイドに恋する作家。2年7ヶ月も職場の同僚を思いつづけるOL、学校一のマドンナに淡い恋を抱き、モンモンと悩む11歳の少年、親友の新妻への思いをひた隠しにする画家。思わず「わかるわかる」と、うなずく共感でいっぱいです。

オフィシャルサイト:http://www.loveactually.jp/

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2004年2月7日 by p-movie.com