コードネームU.N.C.L.E.


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米・ソ冷戦中の1960年代。核兵器で世界破滅を企む、凶悪テロ計画の情報をキャッチした両国は、カギを握る女ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)を確保しようと動く。アメリカはCIAで最も有能だが女性関係に問題アリのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カビル)を、ロシア(当時はソ連)はKGBに史上最年少で入った超エリートだがメンタルに問題アリのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)を東ベルリンへ送り込む。1歩先んじたソロが、ハデな追跡劇の果てに逃げ切るが、初めて出会った両国のナンバー1スパイは、互いに相手へのライバル意識に燃えていた。

ところが、なんと彼らに与えられた次なる任務は、二人でチームを組んで凶悪テロに立ち向かうこと!恐るべき核兵器拡散を前に、両国は長年の政治的対立を超えて手を組むことになったのであった。

ギャビーは、元ナチスの天才科学者ウド・テラー博士の娘。博士は戦後、アメリカの核計画に貢献していたが、2年前に何者かに拉致された。その後の捜査から、イタリアの大企業ヴィンチグエラへの疑惑が浮上する。表向きは海運と航空宇宙業の会社だが、実はナチスの残党と組んでいる巨大な国際犯罪組織であり、組織を仕切るのは社長夫人のヴィクトリア(エリザベス・デビッキ)であった。もし博士の研究が成功すれば、誰でも簡単に原爆を作れるようになる。ソロとクリヤキンの任務は、組織に潜入して博士と研究データを奪回すること。キャラも思考も真逆。腕は最強・相性は最悪の2人はギャビーとともに、最大の敵に立ち向かう。しかし、最高レベルの重大ミッションはさらにその先だった。世界最強の国家となれるデータを、決して“相棒”に渡してはならない。必要なら命を奪ってでも…。


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1960年代の人気TVシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』を、『スナッチ』『シャーロック・ホームズ』などのガイ・リッチー監督が新たな視点で映画化。最も嫌いなタイプの男とコンビを組まなければならないという究極の設定で、バディムービーをさらに進化させた。東西冷戦下、CIAとKGBのエージェントが協力し合い世界規模のテロ事件を阻止すべく奮闘する。プレーボーイのソロと堅物クリヤキンという真逆のスパイコンビを、『マン・オブ・スティール』のヘンリー・カビルと、『ローン・レンジャー』のアーミー・ハマーが熱演。そのほか『アンナ・カレーニナ』のアリシア・ヴィキャンデル、テロ組織のトップに立つ魅惑的な悪女には『華麗なるギャツビー』のエリザベス・デビッキ、名優ヒュー・グラントらが脇を固める。

オリジナルTVシリーズでも原題は『THE MAN FROM U.N.C.L.E.』であるが、原題のU.N.C.L.E(アンクル)とは、=United Network Command of Law and Enforcement
国際秘密捜査機関。世界の平和を守るため国境を越えて法を執行する国際連合ネットワーク司令部 という設定。当時は実際の国連(United Nations)の機関であると勘違いされていた(笑)らしいし、国連そのものがTV番組に名称が使われることを良しとしなかったため、スタッフが適当に単語を組み合わせて作ったらしい。またMENでなく MANなのは当初、ソロ(ロバート・ヴォーン)メインのスパイシリーズの予定だったからだとか。話が進むにつれて、相棒のクリヤキン(デヴィッド・マッカラム)が大人気となり、登場回数も増え、名実ともにバディムービーへと変化していった。

さて、今回の作品、冷戦中、ナチスの残党、原爆、米ソ共同作戦、というまさにスパイ映画に欠かせない魅力的なプロットであるが、それを別にしても、60年代という珍しくて魅力的な時代の芸術、ファッション、音楽、考え方から視点に至るまで、当時格好いいとされた全てのものを正確に抽出しながらも、今世紀の躍動感を融合させた素晴らしい映画である。

ベルリンのセットは全体的に寒々とした飾り気のない色味が用いられ、それに比べてイタリアのロケ地は鮮やかで美的感覚に訴える色彩と質感が使われている。男と女の衣装もそのトーンに見事に調和しており、東ベルリンでは冷たくて固くて陰気。物語が西ベルリンと交わり始めるとプリント柄と模様になり、イタリアに入ると色彩は暖かくなり、全体が洗練されていくのである。撮影はわざと昔風、イキなセリフと緻密な謎解き、舞台となる1960年代のハイブランド・ファッション。世界初のラグジュアリー&クール&スタイリッシュ、でも時々熱いスパイ・サスペンス・エンターテイメントが完成した! 『キングスマン』『コードネームU.N.C.L.E』『007スペクター』今年はスパイ映画の当たり年。どれを見てもハズレなし!

<CREDIT>

■出演:ヘンリー・カビル、アーミー・ハマー、アリシア・ヴィキャンデル、エリザベス・デビッキ、ヒュー・グラント
■監督:ガイ・リッチー
■配給:ワーナー・ブラザース映画
■2015年/アメリカ/116分
■原題:『THE MAN FROM U.N.C.L.E.』

2015年11月14日(土)全国ロードショー
公式ホームページ 
http://wwws.warnerbros.co.jp/codename-uncle/

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【ライター】戸岐和宏

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2015年11月9日 by p-movie.com

アントマン


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仕事も家庭も失い、別れた妻と暮らす幼い娘の養育費も払えない、絶体絶命の男、スコット(ポール・ラッド)。このままでは娘に会えない!追い詰められた彼は、気のいい仲間ルイス(マイケル・ペーニャ)の情報をたよりに豪邸に忍び込む。だが目指した金庫の中には、現金も宝石もなく、あったのは古びたバイク用らしきスーツとヘルメットだけ。見込み違いに落胆しながらも、仕方なくスーツだけを持ち帰る。だが、部屋に戻って興味半分にそのスーツを着てみると…。なんとスコットは1.5cmの小さな体に縮んでしまったのだ!やっとのことで元の大きさに戻った彼は、そのスーツを早く返そうと、再び豪邸に侵入したところで警官に捕まり、留置場に…。

その夜、考え込む彼の元に、アリたちが小さな何かを運んで来た。発光とともに出現したのは、あのスーツとヘルメット。彼は、慌ててスーツを着込むと、小さく変身した。ヘルメットから聞こえてくるのは、謎の男の声。その指示に従って、留置場を脱出した小さなスコットの前に、背中に鞍をつけた羽アリが着陸した。躊躇しつつも、それにまたがり飛び立った彼は、空へと上昇し…。激しい動きに身が持たず、気絶した彼が目覚めたところは、謎の男の家。それは彼が忍び込んだあの豪邸だった。

あり得ない状況に次々と巻き込まれ、呆然とするスコットの前に謎の男ハンク・ピム(マイケル・ダグラス)が現れ、“ある仕事”をオファーする。その“仕事”とは、なんとスーツを着て特殊な能力を持つ“アントマン”になること。実はずっとスコットを監視していたピムは、その素質をテストするために、わざとスーツを彼に盗ませるよう仕向けたのだった。ピムは言う。「これは人生をやり直すチャンスだ。君をヒーローだと思っている娘の期待に応えろ」。

スコットの思いはただひとつ、娘のために人生をやり直すこと。だがヒーローへの道は長く険しい道。果たしてスコットは、ヒーローとなり、人生のセカンド・チャンスをつかめるのか? そして、ピムが託そうとしている、世界を揺るがす驚きのミッションとは?


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映画史上、“最小”にして“最大”のアクション・エンターテイメントが日本上陸!スパイダーマン、アイアンマンなど、数々の魅力あふれるキャラクターを生み出してきたマーベル・スタジオから誕生した、かつてないユニークなヒーロー、それが、スーツによって身長わずか1.5cmに変身する“最小”ヒーロー、アントマンだ! しかし…“仕事もクビになり、養育費が払えないため最愛の娘にも会えない”主人公の スコット・ラング。思わず、同じマーベルコミックのスーツ・ヒーロー『アイアンマン』のトニー・スタークと比べてしまった。

スーツの特性:最新テクノロジーで常に変化→70年代に開発。1着のみ
戦いの舞台:宇宙・全世界→生活圏内
戦う目的:世界平和のため→娘の養育費を払うため
戦いのパートナー:アベンジャーズ→アリ
職業:大富豪→無職
家族:独身貴族→バツイチ・子持ち

もちろん矢印右側、太字が『アントマン』スコット・ラング。実に庶民的、現実的である。何か前にも似たヒーローがいた…。そう、『スパイダーマン』ピーター・パーカーだ。彼も不幸な身の上の苦学生だった。こんなに日々の生活に困窮するヒーロー他にいないと思っていたら、スコットはそれ以上であった。元泥棒だし…。そもそも、アントマンほどユニークで愛すべきヒーローはいない。「ドア下の隙間から脱出可能」「羽アリに乗って空中移動」…(よく考えたら少々せこい!)。身長1.5cmだからこそのメリットは、笑えるシーンとスリルをもたらす。彼はその境遇ゆえ、今一番感情移入できるヒーローかもしれない。

だがそれだけでなく、身体を縮小させることで超人的なパワーを発揮できるのが、アントマンの真骨頂。見えない弾丸のようなスピード感あふれるアクションは、観る者の意表を突き、かつ度胆を抜く。さらには、ドラマチックな視点の変化も映画の大きな魅力だ。主人公の身体が縮めば、観る者もアントマンの目線の世界に入り込む。上空から舞い降りる羽アリは、あたかも軍用ヘリ(ブラックホーク)のよう。世界を脅かす小さな敵=イエロージャケットとの壮絶なバトルは、その世界を揺るがすほどの大迫力で、その臨場感に誰もが圧倒される。その激しい死闘も、ひとたび娘の目線に変わると、おもちゃの機関車トーマスが倒れ、小型花火のような小さな爆発が起こるミニチュアの世界に変貌。その対比は、他に類を見ない面白さだ。スケール感あふれるアクションを描出する変化に富んだ驚異の映像。強いコメディ要素。登場人物たちが織り上げるユーモアと深い人間ドラマ。これらが融合した素晴らしいエンターテイメントが誕生した。早くもアントマンは、『キャプテン・アメリカ/ シビル・ウォー』にも出演が決定しており、今後アベンジャーズシリーズに絡むキャラクターでもあるので、今後が非常に楽しみだ。

『アイアンマン』から始まるマーベル・シネマティック・ユニバースの作品群『アベンジャーズ』『キャプテン・アメリカ』などは、確かに作品自体の世界観がどんどん大きくなり、映画自体も本当にお金かかっているなとわかる。最新の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は製作費が2.8億ドルとのこと。なるほどその通りのスケール感とダイナミック感を感じさせる、ヒットすることが約束された大迫力の映画であった。だがこれらのアクション映画もいささか食傷気味となってきた。今回の『アントマン』は製作費が1.3億ドル。『アイアンマン』や『インクレディブル・ハルク』あたりとほぼ同じ額だとのこと。何か原点に戻った感じの、ここで一息、コーヒーブレークのような作品であり、今までのマーベル作品を観ていなくともとても楽しめる映画である。


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<CREDIT>

■出演:ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、コリー・ストール、ボビー・カナヴェイル、マイケル・ペーニャ、マイケル・ダグラス
■監督:ペイトン・リード
■配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
■2015年/アメリカ/117分
■原題:『ANT-MAN』

9月19日(土)2D/3Dロードショー
公式ホームページ http://marvel.disney.co.jp/movie/antman.html

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【ライター】戸岐和宏

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2015年9月3日 by p-movie.com

シンデレラ


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エラ(リリー・ジェームズ)は、両親の愛情を一身に受け、幸せな子供時代を過ごしていた。しかし母は病に倒れ、この世を去ってしまう。「勇気と優しさを忘れないで。」という教えを残して…。エラは悲しみにくれながらも、母の教えを守り、まっすぐな女性へと成長していった。父は、後妻と連れ子である2人の娘、ドリゼラとアナスタシアを迎え入れる。だがエラの父が事故で帰らぬ人となると、継母(ケイト・ブランシェット)とその娘姉妹はエラに辛くあたり、「灰まみれのエラ」を意味する「シンデレラ」(シンデレラ(Cinderella)の“cinder”は燃え殻を意味し、名前の“ella”とあわせて“燃え殻エラ”つまり「灰まみれのエラ」)と呼び、召使い同然に扱うようになった。

ある日、耐えきれずに家を飛び出したエラは、森の中で、城で働いているという青年キット(リチャード・マッデン)と出会い、実は王子だと知らぬまま、恋心を抱くようになった。国と息子の将来を案じた王は、政略結婚を勧めるが、王子は森で出会った女性のことが忘れられない。彼女を探すために、国中のあらゆる未婚女性を招待して舞踏会を開き、そこから妃を選ぶことを約束する。招待状はエラの家にも届き、「もう一度キットに会えるかもしれない」と考えたエラは、亡き母のドレスを着て、自分も連れて行って欲しいと頼む。しかし継母と姉妹は、エラのドレスを引きちぎり、彼女を置いて舞踏会へ出かけてしまう。

「もう何を信じればいいのかわからない」エラが希望を捨てかけたその時、みすぼらしい身なりをした老女が現れる。エラが親切に接したことで、老女は妖精に姿を変えた。彼女はエラの夢を叶えてくれるフェアリー・ゴッドマザー(ヘレナ・ボナム=カーター)だったのだ! 魔法の杖をふるい、カボチャを馬車に、ネズミを馬に、トカゲを御者に仕立て、エラの破れたドレスを美しいドレスに変え、光り輝くガラスの靴を与えた。「魔法が続くのは12時まで。さぁ、楽しんでおいで」。城に到着したエラは、そこで初めてキットが王子であることを知る。夢のようなひとときを過ごし、お互いの気持ちを確かめ合う2人。そのとき12時を告げる鐘の音が…。


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時を超えて愛され続けてきた珠玉のディズニー・ラブストーリーは、クラシック・アニメーションの傑作『シンデレラ』を原点に、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』といった名作を生み出し、『アナと雪の女王』『マレフィセント』では古典的なラブ・ロマンスを超えた新しい愛の物語としてドラマティックに進化を遂げた。2015年、『シンデレラ』がついに実写化された。ガラスの靴、カボチャの馬車、魔法の力によって“運命の人”と結ばれるヒロイン…。誰もが知っている『シンデレラ』のロマンティックなイメージはそのままに、シンデレラの勇気と優しさから生まれる“奇跡の愛”が感動的に描かれていく。また、「夢はひそかに」や「ビビディ・バビディ・ブー」といった『シンデレラ』の挿入歌は、本作でも、オマージュとしてエンドクレジットで聞くことができる。まさにディズニー・ラブストーリーの原点にして頂点というべき作品である。

ディズニー映画のヒロインは、時代を映す鏡。1950年のアニメーション映画『シンデレラ』は、ガラスの靴、お城での舞踏会、12時の鐘の音…。ファンタジックな要素を散りばめながらも、多くの女性たちの心を捉えたのは、戦後の時代を反映したヒロインの姿。逆境にあっても明るさを失わず、夢が叶う日を待ち続ける。そんなヒロインの一途な気持ちは、彼女を運命の愛へと導いてくれる。シンデレラは女性たちの憧れとなり、“信じれば夢はきっと叶う”というメッセージとともに、ディズニーを象徴する存在になっていった。

本作『シンデレラ』では、王子を待つ“受け身なヒロイン”のイメージを一新。継母のいじめに耐え、酷い仕打ちを受けながらも、そこに描かれているのは、強い目的意識と道徳心、自らの意思で行動し、勇気をもって運命を切り開く、ヒロインの姿、現代的でポジティブな女性だ。(でも、今回は『イントゥ・ザ・ウッズ』のシンデレラのように、王子の愛を確かめられるように意図的に靴は落としていない!)そんなヒロインに合わせて、ヒーロー像も現代的に描き直された。アニメーションに登場する王子は、あくまでシンデレラの補助的な存在でしかなかったが、本作ではより人物像を掘り下げ、王子をシンデレラに匹敵する魅力的な人物として描いている。2人が舞踏会の前に森で出会い、お互いの身分には関係なく、純粋に人間的な部分で惹かれあうという設定も、現代の私たちには受け入れやすい。王子は、お妃選びだけでなく、王国の未来や自分の王として資質についても考えをめぐらせる、聡明で思慮深いヒーローだ。また、継母やフェアリー・ゴッドマザーのキャラクターも掘り下げられ、深みを増した人間ドラマが展開している。


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さて、おとぎ話の実写版と言えば、1998年に『エバー・アフター』が公開された。グリム童話「シンデレラ」を現代風にアレンジして映画化した作品だったがシンデレラ役(ダニエル)のドリュー・バリモアに可憐さが足りなかったかな?パワフルな女性として描かれていて笑えた。近年、主なもので『白雪姫』→『スノーホワイト』(1997)、(2012)、『白雪姫と鏡の女王』(2012)。『美女と野獣』→『美女と野獣』(2014)。『ピーター・パン』→『ピーター・パン』(2003)、異色作として『フック』(1991)。『ポカホンタス』→『ニュー・ワールド』(2005)。『ピノキオ』→『ピノッキオ』(2002)などがあり、更に今秋にはワーナー・ブラザース配給ではあるが、『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~/ピーター・パン』が控えている。だが、いずれもディズニー・スタジオ以外の実写化作品。本家による実写版は『101』(1996)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2012)、『マレフィセント』(2014)があるが、現在、わかっているだけで、『アリス・イン・ワンダーランド』続編(鏡の国のアリスを中心とした物語)。『ジャングル・ブック』『美女と野獣』『チップとデール』『ダンボ』『ムーラン』と続々実写化されるようだ。ついには『くまのプーさん』『ピノキオ』もという情報も入ってきた。今後もディズニー・アニメーションの実写化は止まらない。そしてディズニーへの期待感も益々高まるだろう!

時代にあった女性の生き方、愛のあり方を描き続けてきたディズニーが、満を持して贈る『シンデレラ』は、現代に生きるすべての女性たちに捧げる新しいディズニー・ラブストーリー。シンデレラは、ディズニー・ヒロインが持つ優しさ、強さ、純粋さ、そして人生に対する前向きな姿勢と勇気を、すべて兼ね備えた進化形ヒロインだ。1950年のアニメーション映画がそうであったように、やがてはこの実写版が、数あるシンデレラ物語のマスターピースになるはずだ。

<CREDIT>

■出演者リリー・ジェームズ、ケイト・ブランシェット、リチャード・マッデン、 ヘレナ・ボナム=カーター
■監督:ケネス・ブラナー
■配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
■2015年/アメリカ/105分
■原題:『CINDERELLA』

2015年4月25日全国ロードショー
公式ホームページ http://www.disney.co.jp/movie/cinderella.html

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【ライター】戸岐和宏

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2015年4月13日 by p-movie.com

シェフ 三ツ星フードトラック始めました


(C) 2014 OPEN ROAD FILMS

一昔前はアメリカというと、イギリスに並ぶ“食事に期待してはいけない国”ランキング上位の常連国だった。しかし時代は変わり、いまではオーガニック食品やフェアトレードのおいしいコーヒーなど、質の良い食べ物が気軽に手に入るようになった。『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』は、このような“量より質”の新しい価値観を持ったアメリカ人たちの物語だ。

ロサンゼルスの一流レストランの総料理長であるカール・キャスパー。彼は保守的な店のオーナーとそりが合わず、どこか満たされない毎日を過ごしていた。ある日、彼の店に有名フードブロガーが来店、オーナーの指示でいつも通りのメニューを振る舞うが、酷評されてしまう。腹いせにツイッターで中傷を送りつけたカールだが、誤って公表される形で投稿してしまったためにネットが大炎上。オーナーとの対立も決定的となり店を飛び出した彼は、シェフを始めた思い出の街・マイアミを訪れ、キューバサンドのフードトラックを開店することを思いつく。相棒と息子を引き連れ、トラックでロサンゼルスを目指す3人だったが…?


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『アイアンマン』シリーズの監督として知られるジョン・ファヴローが監督、そして主演も務める本作。『アイアンマン3』の製作依頼を断って撮影したというだけあり、彼の仕事哲学が垣間見える、渾身のコメディドラマだ。「自分の作りたいもの、表現したいものを作るんだ!」というスピリットを持つカール(もといファヴロー)の姿勢はまるでロックスターのようで、そう考えるとこれは“ビジネス”と“表現”の狭間で揺れる、一人のアーティストの話とも言うことができる。“新しい”価値観のキャラクターによる“普遍的”なストーリー、この関係が面白いと思う。

ツイッターなどのソーシャルメディアの使い方も興味深い。昨今の映画ではネットメディアの存在が必要不可欠だが、今回はSNSがきっかけで炎上事件が起こり、キャスパーたちはSNSを通してフードトラックの宣伝をし、シェフとして復活する。ソーシャルメディアが小道具としてだけでなく、物語を推し進める働きも担っているのだ。ここまでSNSをフィーチャーした作品も珍しい。ちなみに、カールの息子がこれらのメディアやインスタグラム、タンブラーなどを駆使してフードトラックの宣伝をしていくシーンは軽妙な音楽と編集も相まって見ているだけでウキウキしてくるような、楽しいシーンとなっていた。


(C) 2014 OPEN ROAD FILMS

そして、ここまで語っておいて何だが、そんなテーマなんてどうでもよくなるくらい、カールの作る料理たちが素晴らしい!!彼の彩る料理は、言うなれば真の主役。深夜に作るペペロンチーノやポークソテー、エビやフィレ肉を使用したメインなど、思わず唾を飲み込んでしまう料理たちばかりだ。いまネットで流行りの“フードポルノ”(日本流に言うと“飯テロ”?)とでも言うべきの圧巻の映像は一見の価値がある。それに加えて、マイアミでのキューバサンドにニューオーリンズで食べる“カフェ・デュモンド”のベニエ(=揚げドーナツ)、テキサスでの燻製にした牛肉のバーベキューなどアメリカならではのご当地グルメ巡りも、意外と知らないことが多く興味深かった。
しかし、それだけある料理のなかで何よりも食欲を刺激されるのは、間違いなくカールが息子に作る朝のホットチーズサンドだろう。カリカリに焼けたトーストからオレンジ色のチーズがとろけだす様はまさしく“ポルノ”!ファヴロー自身も気に入っているのか、本編中で作り方すべてを映しているだけでなく、フードスタイリストからファヴロー本人がレクチャーを受けている映像がエンドロールで流れる、というオマケも用意されている。ぜひとも楽しみにしてほしい。

ちなみにフードスタイリストを務めるのは韓国系アメリカ人のロイ・チョイ。彼はフードトラック文化の創始者の一人で、韓国系メキシカンフードトラック「Kogi」のシェフである。彼のトラックにあるメニューは“スパイシーポークタコス”や“キムチ・ケサディーヤ”など既存の概念に捉われない自由な発想のメニューばかり。コチュジャンやライム、シナモンといったエスニックな食材を好んで使っていたカールはロイ・チョイ本人の分身でもあるのだろう。

ファヴローとロイ・チョイ、二人のスピリットを受け継いだカールとその仲間に魅了されてしまうこと間違いなし。ぜひともお腹を空かせて観に行くことをオススメしたい。

<CREDIT>

■出演者
ジョン・ファブロー、ソフィア・ベルガラ、ジョン・レグイザモ、スカーレット・ヨハンソン、ダスティン・ホフマン 他
■監督/脚本:ジョン・ファブロー
■原題:『Chef』
■配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
■2014年/115分

2014年2月28日(土)大ヒット公開中!
公式ホームページ http://chef-movie.jp/

(C) 2014 OPEN ROAD FILMS

【ライター】石井絵理香

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2015年3月19日 by p-movie.com

イントゥ・ザ・ウッズ


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「子を授かりたければ、4つのアイテムを森から持ち帰るのだ」
魔女にかけられた呪いのせいで子供に恵まれなかったパン屋の夫婦は、呪いを解くために4つのアイテム“血のように赤いずきん”“ミルクのように白い牝牛”“黄金に光り輝く舞踏会の靴”“トウモロコシのように黄色い髪”が必要だと告げられ、彼らは子供を授かるという願い(wish)を叶えたい一心で森へと向かった。

時を同じくして、同じ王国に住む赤ずきん(グリム童話)は森に住むおばあさんのお見舞いへ。貧乏暮らしをしているジャック(イギリスの童話)は隣町に大事な牛を売りに出かけていく。意地悪な継母とその娘たちにいじめられていたシンデレラ(ペロー童話集)はお城の舞踏会で王子に見初められることを祈る。実はパン屋の主人の妹でありながら、魔女に連れ去られ森の中の塔に閉じ込められて外の世界を知らずに暮らすラプンツェル(グリム童話)は、いつか自由の身になれることを願いながら暮らしていた…。


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赤ずきんはオオカミに騙されて食べられてしまうが、通りがかったパン屋の主人に助けられ、「誰もが善人ではない」と学んで少し大人になる。ジャックは牛と交換にパン屋から手に入れた魔法の豆から生えた巨大な豆の木のおかげで、巨人の国から大金を得ることに成功する。シンデレラは舞踏会で王子の心を射止めて結婚する。ラプンツェルはもう一人の王子(シンデレラの王子の弟)と外の世界で結ばれる。パン屋夫婦を通してそれぞれが森の中で出会い、全員の願い(wish)が叶った。全てがハッピーエンドで終わるかと思ったその時、王国に衝撃の事件が訪れ、事態が一変する。願いを叶えたはずのおとぎ話の主人公たちを待ち受けていた、驚くべき運命とは?

『イントゥ・ザ・ウッズ』はブロードウェイの生ける伝説、『ウエスト・サイド物語』のスティーヴン・ソンドハイムのロングラン・ミュージカルをディズニーがついに映画化。彼が自ら手掛けたオリジナル舞台の楽曲に加え、ディズニーで描かれる映画のために新曲も提供し“おとぎ話の主人公たち”が、それぞれの願い(wish)を叶えるため迷い込む“魔法の森”を魅力的に描き出すミュージカルとして完成した。

本作の魔女役にはオスカー常連のメリル・ストリープ(初めての魔女役)。赤ずきんのオオカミ役にジョニー・デップ(究極のコスプレイヤーぶりは健在)というハリウッドのトップスターが名を連ね、さらに、シンデレラ役にはアナ・ケンドリック、その王子役にクリス・パイン、さらにパン屋の妻役にエミリー・ブラントが抜擢されるなど、名実ともに超豪華キャストが集結し、作品を完璧なものに仕上げた。


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おとぎ話の主人公たちが同じ王国内に住んでいたというユニークな設定がこれから始まる物語の楽しさを感じさせ、「~めでたし、めでたし」のハッピーエンド…で終わらず、新たな物語が突然始まるところが更に笑える。『赤ずきん』、『ミッキーのジャックと豆の木』、『シンデレラ』、『ラプンツェル』、ディズニーには元になったアニメ作品が存在するが、できれば、本作の前に復習しておくことをお勧めしたい。「実写化されても、やはりディズニーだね」と再度感動できるはずだ。また、アニメ版とは少々違ったキャラクター設定にも気づくかもしれない。今回、私が4人の主人公の中で注目したいのが、シンデレラ。今までは、継母とその娘たちにいじめられても、耐える、心優しいまっすぐな女性という受け身なイメージのヒロインであったが、今回は現代的で欠点もある存在として描かれている。例えば、王子の愛を確かめられるように意図的に靴を落としているのだ。おとぎ話にも時としてリアルな設定が必要ということか? ディズニー次回作、実写版の「シンデレラ」ではどのように描かれているのかは実に楽しみなところである。

本作『イントゥ・ザ・ウッズ』はおとぎ話の“その先”を描いた大人のためのミュージカルである。王国内の“魔法の森”を舞台の中心にしたグランドホテル方式の作品だが、華やかでエンターテイメント性にあふれた作品である一方で、実はその奥に「人生は“願いがかなってめでたし、めでたし”だけでは終わらない。願いがかなった後も続いていく長い人生において、本当の“幸せ”とは何か?」というメッセージを持っている。

しかし、「“幸せ”とは何か?」という問いかけの答えは一つだけではない。だからこそ『イントゥ・ザ・ウッズ』はおとぎ話を卒業し、人生の深みを知った“大人のための”ミュージカルなのである。ディズニーは『アナと雪の女王』『マレフィセント』で「王子と結ばれてめでたし、めでたし」という王道のハッピーエンドを覆し、「現代の“愛”」とは何かと問いかけた。そして『イントゥ・ザ・ウッズ』では「現代の“幸せ”」とは何かを我々に問いかける。

<CREDIT>

■出演者
メリル・ストリープ、エミリー・ブラント、ジェームズ・コーデン、 アナ・ケンドリック
クリス・パイン、ジョニー・デップ、リラ・クロフォード
■監督:ロブ・マーシャル
■配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
■2014年/アメリカ/125分
■原題:『Into the Woods』

2015年3月14日(土)全国ロードショー
公式ホームページ http://www.disney.co.jp/movie/woods.html

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【ライター】戸岐和宏

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2015年2月27日 by p-movie.com