シンデレラ


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エラ(リリー・ジェームズ)は、両親の愛情を一身に受け、幸せな子供時代を過ごしていた。しかし母は病に倒れ、この世を去ってしまう。「勇気と優しさを忘れないで。」という教えを残して…。エラは悲しみにくれながらも、母の教えを守り、まっすぐな女性へと成長していった。父は、後妻と連れ子である2人の娘、ドリゼラとアナスタシアを迎え入れる。だがエラの父が事故で帰らぬ人となると、継母(ケイト・ブランシェット)とその娘姉妹はエラに辛くあたり、「灰まみれのエラ」を意味する「シンデレラ」(シンデレラ(Cinderella)の“cinder”は燃え殻を意味し、名前の“ella”とあわせて“燃え殻エラ”つまり「灰まみれのエラ」)と呼び、召使い同然に扱うようになった。

ある日、耐えきれずに家を飛び出したエラは、森の中で、城で働いているという青年キット(リチャード・マッデン)と出会い、実は王子だと知らぬまま、恋心を抱くようになった。国と息子の将来を案じた王は、政略結婚を勧めるが、王子は森で出会った女性のことが忘れられない。彼女を探すために、国中のあらゆる未婚女性を招待して舞踏会を開き、そこから妃を選ぶことを約束する。招待状はエラの家にも届き、「もう一度キットに会えるかもしれない」と考えたエラは、亡き母のドレスを着て、自分も連れて行って欲しいと頼む。しかし継母と姉妹は、エラのドレスを引きちぎり、彼女を置いて舞踏会へ出かけてしまう。

「もう何を信じればいいのかわからない」エラが希望を捨てかけたその時、みすぼらしい身なりをした老女が現れる。エラが親切に接したことで、老女は妖精に姿を変えた。彼女はエラの夢を叶えてくれるフェアリー・ゴッドマザー(ヘレナ・ボナム=カーター)だったのだ! 魔法の杖をふるい、カボチャを馬車に、ネズミを馬に、トカゲを御者に仕立て、エラの破れたドレスを美しいドレスに変え、光り輝くガラスの靴を与えた。「魔法が続くのは12時まで。さぁ、楽しんでおいで」。城に到着したエラは、そこで初めてキットが王子であることを知る。夢のようなひとときを過ごし、お互いの気持ちを確かめ合う2人。そのとき12時を告げる鐘の音が…。


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時を超えて愛され続けてきた珠玉のディズニー・ラブストーリーは、クラシック・アニメーションの傑作『シンデレラ』を原点に、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』といった名作を生み出し、『アナと雪の女王』『マレフィセント』では古典的なラブ・ロマンスを超えた新しい愛の物語としてドラマティックに進化を遂げた。2015年、『シンデレラ』がついに実写化された。ガラスの靴、カボチャの馬車、魔法の力によって“運命の人”と結ばれるヒロイン…。誰もが知っている『シンデレラ』のロマンティックなイメージはそのままに、シンデレラの勇気と優しさから生まれる“奇跡の愛”が感動的に描かれていく。また、「夢はひそかに」や「ビビディ・バビディ・ブー」といった『シンデレラ』の挿入歌は、本作でも、オマージュとしてエンドクレジットで聞くことができる。まさにディズニー・ラブストーリーの原点にして頂点というべき作品である。

ディズニー映画のヒロインは、時代を映す鏡。1950年のアニメーション映画『シンデレラ』は、ガラスの靴、お城での舞踏会、12時の鐘の音…。ファンタジックな要素を散りばめながらも、多くの女性たちの心を捉えたのは、戦後の時代を反映したヒロインの姿。逆境にあっても明るさを失わず、夢が叶う日を待ち続ける。そんなヒロインの一途な気持ちは、彼女を運命の愛へと導いてくれる。シンデレラは女性たちの憧れとなり、“信じれば夢はきっと叶う”というメッセージとともに、ディズニーを象徴する存在になっていった。

本作『シンデレラ』では、王子を待つ“受け身なヒロイン”のイメージを一新。継母のいじめに耐え、酷い仕打ちを受けながらも、そこに描かれているのは、強い目的意識と道徳心、自らの意思で行動し、勇気をもって運命を切り開く、ヒロインの姿、現代的でポジティブな女性だ。(でも、今回は『イントゥ・ザ・ウッズ』のシンデレラのように、王子の愛を確かめられるように意図的に靴は落としていない!)そんなヒロインに合わせて、ヒーロー像も現代的に描き直された。アニメーションに登場する王子は、あくまでシンデレラの補助的な存在でしかなかったが、本作ではより人物像を掘り下げ、王子をシンデレラに匹敵する魅力的な人物として描いている。2人が舞踏会の前に森で出会い、お互いの身分には関係なく、純粋に人間的な部分で惹かれあうという設定も、現代の私たちには受け入れやすい。王子は、お妃選びだけでなく、王国の未来や自分の王として資質についても考えをめぐらせる、聡明で思慮深いヒーローだ。また、継母やフェアリー・ゴッドマザーのキャラクターも掘り下げられ、深みを増した人間ドラマが展開している。


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さて、おとぎ話の実写版と言えば、1998年に『エバー・アフター』が公開された。グリム童話「シンデレラ」を現代風にアレンジして映画化した作品だったがシンデレラ役(ダニエル)のドリュー・バリモアに可憐さが足りなかったかな?パワフルな女性として描かれていて笑えた。近年、主なもので『白雪姫』→『スノーホワイト』(1997)、(2012)、『白雪姫と鏡の女王』(2012)。『美女と野獣』→『美女と野獣』(2014)。『ピーター・パン』→『ピーター・パン』(2003)、異色作として『フック』(1991)。『ポカホンタス』→『ニュー・ワールド』(2005)。『ピノキオ』→『ピノッキオ』(2002)などがあり、更に今秋にはワーナー・ブラザース配給ではあるが、『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~/ピーター・パン』が控えている。だが、いずれもディズニー・スタジオ以外の実写化作品。本家による実写版は『101』(1996)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2012)、『マレフィセント』(2014)があるが、現在、わかっているだけで、『アリス・イン・ワンダーランド』続編(鏡の国のアリスを中心とした物語)。『ジャングル・ブック』『美女と野獣』『チップとデール』『ダンボ』『ムーラン』と続々実写化されるようだ。ついには『くまのプーさん』『ピノキオ』もという情報も入ってきた。今後もディズニー・アニメーションの実写化は止まらない。そしてディズニーへの期待感も益々高まるだろう!

時代にあった女性の生き方、愛のあり方を描き続けてきたディズニーが、満を持して贈る『シンデレラ』は、現代に生きるすべての女性たちに捧げる新しいディズニー・ラブストーリー。シンデレラは、ディズニー・ヒロインが持つ優しさ、強さ、純粋さ、そして人生に対する前向きな姿勢と勇気を、すべて兼ね備えた進化形ヒロインだ。1950年のアニメーション映画がそうであったように、やがてはこの実写版が、数あるシンデレラ物語のマスターピースになるはずだ。

<CREDIT>

■出演者リリー・ジェームズ、ケイト・ブランシェット、リチャード・マッデン、 ヘレナ・ボナム=カーター
■監督:ケネス・ブラナー
■配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
■2015年/アメリカ/105分
■原題:『CINDERELLA』

2015年4月25日全国ロードショー
公式ホームページ http://www.disney.co.jp/movie/cinderella.html

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【ライター】戸岐和宏


カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2015年4月13日 by p-movie.com