クライム・アンド・ダイヤモンド
過去の名画へオマージュを捧げた作品 ★★★★☆
[00/米]1h32 8月10日よりシネマメディアージュほか全国順次ロードショー
製作総指揮:ダニエル・ダイヤモンド
監督:クリス・バーウェル
脚本:クリス・バーウェル
出演:クリスチャン・スレイター ティム・アレン リチャード・ドレイファス ポーシャ・デ・ロッシ
配給:ギャガコミニュケーションズ
宣伝:トライアル ギャガコミニュケーションズ宣伝第3グループ
[サスペンス、コメディ、ロマンスなどを絶妙にミックス:WHO IS CLETIS TOUT?]
クライムサスペンス、コメディ、ロマンスなどの様々な要素を絶妙にミックスして過去の名画へのオマージュを捧げた作品。監督・脚本のリス・バー・ヴェルは劇場用長編映画デビューだが、往年の犯罪映画の様相を呈し、あるときはロマンティックな名画の雰囲気を醸しだす。セリフや映像として随所に現れる過去の名画の引用からは、彼の映画への愛情が感じさせられ、集まったメンバーは「ウインド・トーカーズ」のクリスチャン・スレイター、「ギャラクシー・クエスト」のティム・アレン、「陽のあたる教室」のリチャード・ドレイファス、「アリー・myラブ」クールな弁護士のポーシャ・デ・ロッシ、「3人のエンジェル」の強烈なドラッグ・クイーンのルポール。
場末のホテルの一室、椅子に縛り付けられたトレバー・フィンチは、古い名画ファンの殺し屋 毒舌ジムに捕まっていた。ジムは、“いい話”を聞かせてくれたら命を助けてやると約束する。絶体絶命の危機の中、フィンチは、刑務所で知り合ったマイコーと連邦刑務所を脱獄する話を始める。 2人の目的は、マイコーが25年前に盗み出して、片田舎に埋めた大量のダイヤを掘り返すことだった。だが、ダイヤは驚いたことに 25年の間に作られてしまった刑務所の庭に埋まっていた。フィンチは自分の命を狙う殺し屋から逃れ、ダイヤも手に入れる為の計画を思いつく。マフィアの殺人に関する重要参考人として刑務所に逃げ込むのだ。そしてダイヤ奪回は成功したが、殺し屋に捕まってしまったのだ。果たして殺し屋には、この話は“いい話”なのか?
何と言ってもこの作品の面白さは、古い名画ファンの殺し屋 毒舌ジムにつきる。フィンチが話を始めると舞台がNYだとロケが高くつくとか、回相シーやサイド・ストーリーが必要だとか、まるで何処か大手のプロデューサーのよう。そして事あるごとに名画のセリフを引用する。これが「脱出」「レベッカ」「深夜の告白」「ラスト・シューティスト」「天国から来たチャンピオン」「愛と追憶の日々」「マルタの鷹」「サンセット大通り」「特攻大作戦」「ティファニーで朝食を」。ラストは「雨に唄えば」のパロディも登場する。でも一番笑えるのは、スレイターに向かって、「お前は、○○に似てるな」のセリフかな。
オフィシャルサイト: http://www.gaga.ne.jp/crime-diamond/
アメリカ, 映画レビュー
イン・ザ・ベッドルーム
愛とは、正義とは、そして夫婦とは・・・ ★★★☆☆
[01/米]2h10 8月3日より日比谷シャンテほか全国順次ロードショー
製作:グラハム・リーダー、ロス・ケイツ、トッド・フィールド
原作:アンドレ・デュバス
監督:トッド・フィールド
脚色:ロブ・フェスティンガー、トッド・フィールド
出演:トム・ウィルキンソン シシー・スペイセク ニック・スタール マリサ・トメイ ウィリアム・マポーザー
配給:ユナイテッド・インターナショナルピクチャーズ ファー・イースト
宣伝:UIP映画
[予測できない奥行きのある物語:IN THE BEDROOM 全米公開2001年12月25日]
アカデミー賞主要5部門ノミネートされ、本年度ゴールデングローブ賞の最優秀主演女優賞をシシー・スペイセクが受賞したインディペンデント作品。出演は。「キャリー」から「ロンリー八ート」まで5度もアカデミー賞にノミネートされ、「歌え!ロレッタ愛のために」で見事オスカーを手にしたシシー・スペイセクと、イギリス出身ながら「フル・モンティ」「恋におちたシェイクスピア」でハリウッドでも引っ張りだこになったトム・ウィルキンソン、「いとこのビニー」「ハート・オブ・ウーマン」のマリサ・トメイ、12歳のとき「顔のない天使」でメル・ギブソンの相手役を務めた、「シン・レッド・ライン」のニック・スタール、「M:1-2」「マグノリア」のウィリアム・マポーザー。監督は「アイズ・ワイド・シャット」などで知られるベテラン俳優のトッド・フィールド。
ニューイングランド、メイン州の小さな町。マット・ファウラーは開業医で、妻ルースは合唱隊の教師をしている。夏休みで帰省している一人息子のフランクは、幼い2人の子供がいる年上の女性ナタリーと愛し合っている。しかし、彼女とよりを戻したい夫リチャードは離婚に応じず、度々彼女の家にやって来る。そして、短い夏が終わりに近づいたころ、彼らは思いもよらぬ悲劇に見舞われる。
悲劇に直面した時、初めて鮮明になる夫婦の関係。お互いをいたわり合うように見えて、いつの間にか歯車が狂い、溝が深まっていく。妻は心を閉ざし、今この時をやり過ごすことだけを考え、夫はそんな妻にどう対応すればいいのかわからない。ある時、彼らは正直な気持ちを、ぶつけ合う。そして、やがて本来の自分を取り戻し、再び絆で結ばれる。しかし、それは以前のように幸せな家族の形ではない。その豊かで奥行きのある物語が醸し出すサスペンスは一級のミステリーのように画面に緊張感をみなぎらせる。そして同時にここで描き出されることのすべてがリアルに映る。事件に直面した人たちの心理を丁寧に描きながら、息詰るほどの緊迫感があるのは、ベテラン俳優のなせる技。見応えアリ。
オフィシャルサイト: http://www.uipjapan.com/bedroom/index.htm
アメリカ, 映画レビュー
快盗ブラック★タイガー
トムヤンクン・ウエスタンムービー ★★★★☆
[00/泰]1h54 7月27日よりシネクイントにて全国順次快進撃ロードショー
製作:ノンスィ・ニミブット
監督:ウィシット・サーサナティヤン
脚本:ウィシット・サーサナティヤン
出演:チャッチャイ・ガムーサン ステラ・マールギー スパコーン・キッスワン
配給:日活+トライエム
宣伝:トライエム
[タイ版西部劇:Tears of the Black Tiger/Fa talai jone]
ノンスィ・ニミブット監督のデビュー作「Dang Bireley’s and Young Gangsters」(未)や日本でも公開された「ナン・ナーク」の脚本家ウィシット・サーサナティヤンのデビュー作は異色のトムヤンクン・ウエスタン。出演は「Dang・・・」で共演済みのチャッチャイ・ガムーサンとスパコーン・キッスワン。スパコーンは「デッド・アウェイ」や日本公開予定の「MONRAK TRANSISTOR」にも出演している。ヒロインのステラ・マールギーは、イタリア育ちでモデルなどを経て映画は初出演。もうじき父親の事業を継いで社長になるとか。主人公の少年時代を演じたスウィニット・パンジャマワットは、秋公開のニミブット監督新作「ジャンダラ」や最新作「THREE」にも出演している。(詳しくは「タイ旅行映画日誌-その13-」をどうぞ)
戦争中に疎開した村でダムとラムプイは出逢った。9年後にバンコクの大学で2人は運命的な再会を果たして結婚を誓う。だが、ダムの父親が村長の座を狙う盗賊に殺され、ダムは復讐へ挑む。形成不利なところを悪名高い盗賊団に助けられたダムは“ブラック・タイガー”の名で身を投じる。数年後、捕らえた警部の処刑を命じられたダムは、警部の婚約者がラムプイと知ると、仲間に嘘をつき逃がしてしまう。盗賊団が、ラムプイの婚礼に襲撃を企てる計画を知ったダムは、ラムプイを守る事を決意。だが長年の相棒でライバルでもあった仲間は許さなかった。
セットや衣装は原色で、インド映画や「ディック・トレイシー」を思い出すほどの総天然色。そして戦闘シーンは、ロケット砲まで飛び出す滅茶苦茶ぶりさが凄まじい。こんな珍品は、タイでは2度と見れないでしょう。監督は作品が日本の映画や漫画の影響を受けていると告白している。それは鈴木清順作品と「愛と誠」。さあー、ぜひ大勢でワイワイ騒いで見てね(多分、大勢で見に行くと割引制度もあると思うし)。そして、みんなでハーモニカを吹こう!!
オフィシャルサイト: http://www.cinema-angel.com/blacktiger/
アジア, 映画レビュー
カテゴリー: アジア | 映画レビュー
2002年7月27日 by p-movie.com
チョコレート
初のアカデミー黒人最優秀主演女優賞作品 ★★★★☆
[01/米]1h53 7月20日よりシャンテシネほか全国順次ロードショー
製作:リー・ダニエルズ
監督:マーク・フォースター
脚本:ミロ・アディカ、ウィル・ロコス
出演:ハル・ベリー ビリー・ボブ・ソーントン ヒース・レジャー ピーター・ボイル
配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ
宣伝:ビターズ・エンド
[再生と許しを描いた、心にしみる珠玉のラヴストーリー:Monster's Ball]
ご存知ハル・ベリーが、黒人初のアカデミー最優秀主演女優賞を受賞した心にしみる珠玉のラヴストーリー。出演は、ほかに「バーバー」の ビリー・ボブ・ソーントン、「ロック・ユー!」のヒース・レジャー、「ドリーム・チーム」のピーター・ボイル、「ショウタイム」のモス・デフ。監督は25歳にしてデビューしインディペンデント界で活躍、これが日本初登場の新鋭マーク・フォースター。原題の「Monster’s Ball」とは、処刑前夜に囚人のために開くというパーティの名前。邦題の「チョコレート」は、ハル・ペリーの肌の色。
ハンク・グロトウスキーはジョージア州にある最重度警戒刑務所の生え抜きの看守。しかも、一般の看守とは違い、死刑囚棟に勤務するグループのリーダーである彼の任務は、死刑囚を監視してその時がくれば刑の執行を取り仕切ること。ハンクの息子のソニーは、看守になったばかりで、父親はこの仕事をこなすにはソニーは気弱すぎるのではないかと懸念する。そして黒人の囚人ローレンスが取り乱した時ソニーも気が動転し、ハンクがやむなく割って入る。処刑後、ハンクは息子を厳しく責める。だが彼の言葉は悲惨な結果を招いた。ソニーが自ら命を絶ったのだ。悲しみと自責の念に打ちのめされたハンクは、仲間達の反対を振り切って退職した。ある日の雨の夜、道端で息子をひき逃げされたレティシアを助けるハンク。レティシアに惹かれるハンクは、彼女との交際を求めるようになり遠慮がちに好意を示す。もう死に向かう人々を後押しするのではなく、生きようとする誰かを手助けできるのだ。レティシアを愛することが、彼自身の救済となっていた。しかし、レティシアはハンクが夫だったローレンスの最後を見届けた人物だと知らなかった。
愛を注ぐことを覚える前に息子を失った孤独な男と、夫と幼い息子を相次いで亡くした幸せ薄い女。失意の底で出会い、互いを求め合わずにはいられなかったふたりの愛と癒し、再生と許しを描いた大人のラブストーリー。ハル・ベリーの体当たり演技は、アカデミー最優秀主演女優賞も納得。相手役のビリー・ボブ・ソーントンもいつもながらの貫禄演技。出番の少ないヒース・レジャーは、過労で降板したウエス・ベントリーのピンチヒッターで出演した。そして忘れちゃいけないのが監督のマーク・フォースター。次作も配給して下さいねGAGAさん。
オフィシャルサイト: http://www.monstersballthefilm.com/
アメリカ, 映画レビュー
スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃
今度はミステリー&ラブロマンス ★★★★☆
[02/米]2h22 7月13日より日劇1&スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
製作:リック・マッカラム
監督:ジョージ・ルーカス
脚本:ジョージ・ルーカス&ジョナサン・ヘイルズ
出演:ユアン・マクレガー ナタリー・ポートマン ヘイデン・クリステンセン サミュエル・L・ジャクソン クリストファー・リー フランク・オズ テムエラ・モリソン イアン・マクダーミド
配給:20世紀フォックス(極東)映画会社
宣伝:20世紀フォックス
[Star Wars: Episode II - Attack of the Clones 全米公開2002年5月16日]
「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」より10年後から始まる最新章。19歳のアナキン・スカイウォーカー役を射止めたのは、7月20日から公開の「海辺の家」に出演しているカナダで活躍していたヘイデン・クリステンセン。今回の新たな出演者は「ロード・オブ・ザ・リング」のクリストファー・リー、「ヴァーティカル・リミット」のテムエラ・モリソン、「マッリの種 」のアイーシャー・ダルカール。ジョージ・ルーカスと脚本を書いてるのは、「スコーピオン・キング」のジョナサン・ヘイルズ。
日本での公開は、アジアでは一番遅く、世界でもブビー上映。これは昨年に比べてサマームービーに目玉作品がないから。そして、全米では夏公開のフォックス作品「マイノリティ・リポート」(トム・クルーズ主演、スピルバーグ監督 12月7日公開)は、日本では正月映画になった(東京国際映画祭2002のオープニング作品に決定!) 。それと「スパイダーマン」との公開を避けたのも正解。劇場も同じだしね。
「ロード・オブ・ザ・リング」同様に、説明ばかりでダラダラとしていた「SWエピソード1」にガッカリし、まったく期待していなかったのもあり、今回はかなり楽しめた。今回も議会や討論のシーンはあるが、全体的なテンポはノンストップで見所も満載。全体の半分を、女王を退冠したにも係わらず賞金稼ぎに命を狙われたアミダラの護衛に就くアナキンとのラブストーリーと、オビ=ワンが刑事のように賞金稼ぎを探し出す攻防と黒幕探しのミステリー仕立てにしてストーリーを分かり易くしている。これは子供や女性にも見て貰おうという作戦。アメリカでは、テロ直後から始まった予告編からラブストーリーを前面に押し出し展開していた。アミダラの衣装も東洋的なものから、真似しやすいカジュアルなものになっている。
(ネタバレバレ注意報)
今回の作品には登場人物それぞれにスポットが当たっていて主要メンバーは、みんな戦う。ジェダイの仲間もたくさん登場して、こんなに居たのかと驚いてしまった(なかには東洋人の顔も)。ヨーダを操る監督としても有名なフランク・オズが、「今回は楽をさせてもらった」とコメントしていたのでもしやとは思ったが、ヨーダも遂に戦う。フォースを使う白熱のシーンは、ドラゴンボールのピッコロのようで、拍手もの。これは実写版の予行演習かな? ルーカスはC-3POよりもジャー・ジャー・ビンクスの方がお気に入りだと言う事が今回でハッキリした。
オフィシャルサイト: http://www.foxjapan.com/movies/episode2/index.html
アメリカ, 映画レビュー