白い船
思いは届き、夢は叶う ★★★★☆
[02/日]1h48 7月6日よりシネ・ラ・セットほかにて全国公開
製作:白い船製作委員会
監督:錦織良成
脚本:錦織良成
画文集:文・早坂真紀 画・山口はるみ(新潮社)
出演:中村麻美 濱田岳 中村嘉葎雄 尾美としのり 竜雷太 大滝秀治 田山涼成 高橋理奈 ほか
配給:ゼアリズエンタープライズ
宣伝:ゼアリズエンタープライズ
島根県平田市の小さな小さな塩津小学校と、沖合いを行く大きなフェリーとの心あたたまる交流実話を地元島根出身錦織良成「守ってあげたい」監督が映画化。全編島根ロケーションを敢行し、地元の人達と一体となって作られたインディーズ作品。出演は「富江」「東京ゴミ女」の中村麻美、「ウルトラマンガイア」の濱田岳、「どら平太」の大滝秀治、「赤い橋の下のぬるい水」の中村嘉葎雄、「チキン・ハート」の尾美としのり、「座敷童・百物語」の竜雷太、「とらばいゆ」の山口美也子、「うつつ」の田山涼成、「イノセントワールド」の長谷川初範、「守ってあげたい」の宮下順子、「激しい季節」の高橋理奈、戸田菜穂の妹・戸田麻衣子、白石美帆。音楽を映画音楽初挑戦の人気ミュージシャン角松敏生が担当している。
島根県平田市の塩津。日本海を見下ろす全校生徒数17名の塩津小学校に、佐藤静香が赴任してくる。静香が担当するのは5・6年生の男女6人。その中に窓の外ばかり見ている好平がいた。 青い海原の遥か沖合いを白い船が行く、と言う。毎日、同じ時刻に通る船。それは博多と新潟の直江津を行き来する定期フェリー「れいんぼうらぶ」だった。「白い船に乗りたい!」生徒たちは思い、フェリーの船長に手紙を書き始める。先生たちも「白い船に乗せたあげたいと」思い始める。好平は「れいんぼうらぶ」をもっと近くで見たくなり友達2人と漁船で出かけてしまう。しかしテレビの気象情報は台風の接近を告げていた。
実にシンプルな内容だが、これがほのぼのとして妙にハマル。船に乗ってるだけなのにどうして、こんなに泣けるんだろうと言うセリフがあるが、そのシーンを見ているだけで泣けるのだ。角松敏生の音楽もいい。ちょっと大袈裟だが心が洗われるようだ。最近の○○製作委員会は、代理店や出版社などが集まっているが、本作は地元の平田市から島根県の観光教会や教育委員会と商業目的でないのが、また泣かせる。
オフィシャルサイト: http://www.shiroifune.com/
日本, 映画レビュー
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2002年7月6日 by p-movie.com
この素晴らしき世界
チェコから届いた珠玉の感動作 ★★★★☆
[00/チェコ]2h03 6月29日より岩波ホールにてロードショー
製作:オンドジェイ・トロヤン
監督:ヤン・フジェベイク
原作:ペトル・ヤルホフスキー(集英社刊)
脚本:ペトル・ヤルホフスキー
出演:ボレスラフ・ポリーフカ アンナ・シィシェコヴァー ヤロスラフ・ドゥシニク チョンゴル・カッシャイ
配給:大映株式会社
宣伝:大映(株)宣伝部
[やさしく慈しむ感動作:MUSIME SI POMAHAT(私たちは共に助けあわねば)]
チェコからやって来た戦争という冬の時代に懸命に生きる人々の姿を柔らかな眼差しでとらえた珠玉の感動作。チェコ国内の主要な映画賞をすべて独占して大ヒットを記録。作品の評判はヨーロッパ中に拡がり、アメリカではアカデミー賞最優秀外国語映画賞にノミネートされた。出演者はチェコとスロバキアのベテラン俳優が結集し、ボレスラフ・ポリープカはチェコのコメディアン、アンナ・シィシェコヴァーはスロバキアの劇場出身、ヤロスラフ・ドウシェクは即興の名人として知られ、チェコ映画の脇役に欠かせない存在、チョンゴル・カッシャイは、スロバキア出身の俳優。またチェコ映画の伝説的俳優であり、数々の賞を受賞しているシモナ・スタショヴァーとイジー・ペハ、イジー・コデットが脇をかためている。監督のヤン・フジェベイクは発表した3本の長編劇映画全てが権威あるチェコ・ライオン賞を受賞した、世界の注目する新鋭。
第二次世界大戦下、戦場から遠く離れたチェコの小さな町にもナチスの影が忍び寄る。ある日、子宝に恵まれない夫婦ヨゼフとマリエは、収容所から逃げてきたユダヤ人青年ダヴィトを匿うことになる。ダヴィトはヨゼフのかつての上司の息子だった。この家に出入りするナチスシンパのホルストは、マリエに横恋慕していた。ホルストは隠し事をしているような夫婦の様子に疑いを持ち始める。ホルストは夫婦を試すかのように部屋を貸して欲しい人を寄越した。そこでマリエは、自分が妊娠していて生まれる子供のために部屋は空いていないと嘘をつく。ホルストは夫婦に子供が出来ないのは、ヨゼフに原因があることをうすうす感づいていた。崖淵に立たされたヨゼフは絶望の末にある策を考える。そして、ダヴィトに頼みマリエを本当に妊娠させようというのだ。嫌がる二人を説き伏せるヨゼフ。マリエとダヴィトは生き延びるためにこの運命を受け入れなければならなかった。だがマリエが臨月を迎えた頃、ナチスの勢力が弱まってしまう。突然産気づいたマリエに、慌てたヨゼフは医者を求めて町をさまよう。そこでホルストが捕らえられているのを偶然見つけたヨゼフは、彼を妻の主治医だと偽り、助け出そうとするのだが・・・。
チェコがナチス支配から解放されるまでの厳しい歳月、人々が生き抜いてゆく姿を描いた作品。思いテーマになりがちな題材だが、笑いと涙をまじえて敵と味方を隔てることなく、可笑しくて哀しくもある人間の行いをやさしく慈しむ。特に物語佳境での畳み掛けるストーリー展開には大笑い。役名のヨゼフとマリエは、イエス誕生のヨセフとマリアで、ダヴィトはダビデと聖書から付けられている。
オフィシャルサイト: http://www.daiei.tokuma.com/kono-suba/
ヨーロッパ, 映画レビュー
マジェスティック
静まり返った街に奇跡が起こる ★★★★★
[01/米]2h33 6月22日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
製作:フランク・ダラボン、マイケル・スローン
監督:フランク・ダラボン
脚本:マイケル・スローン
出演:ジム・キャリー マーティン・ランドー ローリー・ホールデン
配給:ワーナー・ブラザース
宣伝:レオ・エンタープライズ
[フランク・ダラボンの奇跡と感動の3部作完結:THE MAJESTIC]
「ショーシャンクの空に」であきらめない希望、「グリーンマイル」で”希望”が生み出した奇跡を描いたフランク・ダラボン監督による3つ目の希望の物語。主演は「マン・オン・ザ・ムーン」「トゥルーマン・ショー」で 2度のゴールデン・グローブ賞に輝いたジム・キャリー、「エド・ウッド」のオスカー俳優マーティン・ランドー、 TVシリーズ「X-ファイル」のローリー・ホールデン。
1951年のハリウッド。新進脚本家のピーター・アプルトンは、デビュー作の「サハラの海賊」が、ジョン・ヒューストン監督の『アフリカの女王』とともにチャイニーズ・シアターで上映されることになり幸福の絶頂にあった。しかし、運命は突然暗転する。おりしもハリウッドに赤狩りの嵐が吹き荒れる中、非米活動委員会から突然共産主義者と名指しされ、審問会に呼び出されたのだ。がっくりきたアプルトンは車に飛び乗り、夜通し西海岸を走らせる。途中で事故を起こして川に転落。見知らぬ海岸に打ち寄せられた。辿り着いたのはローソンという街。しかしピーターは記憶喪失になっていた。町に足を踏み入れたピーターは、老人に声を掛けられる。「ルーク!よく戻った。生きていると信じていた、わが息子よ!」。涙ながらにピーターを抱きしめる老人ハリー。ハリーはピーターを自分の息子のルークと勘違いする。街は、第二次世界大戦で62人の若者を失っていた為に、ピーターは街のヒーローになってしまう。しかもルークにはアデルという恋人がいて二人は戦争が終わったら結婚しようと約束していたのだった。ハリーはかつて、「マジェスティック」という映画館を経営していた。今は見る影もなく荒れ果てたその映画館を、かつてルークはこよなく愛していたという。ルークを失った悲しみから、映画館を閉めてしまったハリーだが、最愛の息子が戻ってきたことで映画館を再建しようと決意する。町にも活気が戻り、ピーターは記憶が戻らなくても、この町で生きて行こうと心に決めていた。しかし「マジェスティック」で『サハラの海賊』が上映され、ピーターは記憶が甦ってしまう。そこに彼の居所を突き止めた警察がピーターを逮捕しにやって来た。
「マン・オン・ザ・ムーン」「トゥルーマン・ショー」と賞狙いに来ていたジム・キャリーが、フランク・ダラボンと組んで勝負に出た作品だが、あまりにもミエミエだったかアカデミー会員には見向きもされなかったが、映画を愛している人達、特にフランク・キャプラや、「ニュー・シネマ・パラダイス」の好きな方には絶対に見て欲しい作品。ジム・キャリーは、次回作が勝負。
オフィシャルサイト: http://www.themajestic.jp/
アメリカ, 映画レビュー
ニューヨークの恋人
赤い糸は時を越える ★★★★☆
[01/米]1h58 6月15日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
製作:キャシー・コンラッド、スティーヴン・ロジャース
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェームズ・マンゴールド、スティーヴン・ロジャース
原作:ステイーヴン・ロジャース
出演:メグ・ライアン ヒュー・ジャックマン リーヴ・シュレイバー ブレッキン・メイヤー
共同配給:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:オメガ・エンタテインメント
[時を越えた奇跡のラブ・ストーリー:Kate & Leopold]
メグ・ライアンと言えば、ラブコメ。今度はどんな赤い糸を結びつける?絶対にありそうも無い事。そうだ、タイムスリップはどうだろう!? と決まったかどうかは知らないが、今回は時を越えた奇跡のラブ・ストーリー。お相手は、「X-メン」「ソードフィッシュ」「恋する遺伝子」のヒュー・ジャックマン、元カレに「ザ・ハリケーン」のリーヴ・シュレイバー、弟に「ラットレース」のブレッキン・メイヤー、上司に「ハリウッド・ミューズ」のブラッドリー・ウィットフォード。監督は「コップ・ランド」「17歳のカルテ」のジェームズ・マンゴールド。
現代のニューヨーク。広告会社で働くケイトは、一人暮らしのアパートメントの階上に住む元ボーイフレンドのスチュアートのところに、やたらとクラシックな服を着て完壁な王立英語を話す不思議な男が転がり込んできたのを知る。彼が何者なのかを説明する暇もなく、スチュアートは突然故障したエレベーターから落下して病院送りに。どこか奇妙だがハンサムで礼儀正しい闖入者はレオポルドと名乗る。仕事にも恋にも疲れたキャリアウーマンで、自分の人生に奇跡なんか起こらないと考えているリアリストのケイトと、人生には愛と誠実さが不可欠と考えるロマンティストのレオポルド。非常階段で行き来できるアパートメントの上階と下階で、二人の風変わりな半同居生活が始まった。ケイトのもとに遊びに来た役者志望のケイトの弟チャーリーは、レオポルドの隙のない完壁な身のこなしと美しい発音に、彼が役者だと思い込む。だが、レオポルドは、19世紀のニューヨークで、愛する女性とめぐり逢えないまま結婚相手を決めざるを得ない状況にいた公爵だった。彼は、125年の時を行き来していたスチュアートにの後をつけて 2001年に来てしまったのだった。
“有能なキャリアウーマン”だったケイトを“幸福なレディ”にしたのは、現代男性にはないレオポルドの騎士道精神。あらゆる女性に「こんなふうに愛されてみたい!」と思わせる率直さと誠実さ、そしてどんな状況にあっても命がけで守ってくれる男らしさが抜群。セントラルパークでバッグをひったくられたケイトを観光馬車の馬を見事な手綱さばきで泥棒を追いかけ、バッグを取り返して戻ってくるレオポルド。その姿はまさに「白馬に乗った王子様」。こういうシーンが許せてしまうのも、この二人だからでしょう。タイムスリップ映画としては落第だが、デートムービーとして、見て損はなし。そういえば、上司がオフィスでケイトに枝豆を勧めるシーンがあったが、これはギャグ?それとも流行?
オフィシャルサイト: http://www.ny-love.com/
アメリカ, 映画レビュー
きれいなおかあさん
忘れかけていた大切な家族の絆を思い出させてくれる ★★★★☆
[99/中]1h30 6月8日よりシャンテシネほか全国ロードショー
製作:ユー・ジーユエン、タイ・ズーホイ、リュウ・イー
監督:スン・ジョウ
脚本:リュウ・ホン、スン・ジョウ、シャオ・シャオリー
出演:コン・リー ガオ・シン シー・ジンミン グアン・ユエ ユエ・シウチン
配給:ムービーテレビジョン
宣伝:ムービーテレビジョン
[厳しくもぬくもりのある親子関係を綴る作品:Breaking Silence 漂亮媽媽]
「活きる」と同じくコン・リーが、障害を持つ子供と一緒に逞しく生きていく生活を描いた感動作。この作品でコン・リーは、第24回モントリオール国際映画祭で最優秀女優賞に、第10回中国百花賞では最優秀主演女優賞に輝いた。息子役には、幼いころの医療ミスが原因で耳が不自由になってしまった本当の聾者ガオ・シン。監督は1977年に映画会社に入社して以来、キャメラマンとして多くのテレビや映画作品に参加、数々の栄誉ある賞に輝き、その後「コーヒーに砂糖を」で監督デビュー。「心の香り」では金鶏賞最優秀監督賞、撮影賞、録音賞を受賞し、各国の映画祭でも絶賛されたスン・ジョウ。
中国の大都市・北京。リーインは、ひとり息子の名はジョン・ダーと二人暮し。夫はタクシー運転手をしているが、息子の聴覚に障害があることを理由に去っていった。折りしも世の中は改革開放政策のひずみで何をするにもお金に振り回される次第。リーインは「息子は補聴器を付けている以外、他の子と変わらない」と、気丈にもジョン・ダーを小学校の入学試験に合格させようと大奮闘。けれど運命は健気に生きる母と息子の味方に容易くなってくれようとはしない。次から次へと立ちはだかる難題に、母と息子は力を合わせて生き抜いていこうと誓う。困難を乗り越える度に強さを増していくリーイン。生きていくためにリーインは息子と二人で生き抜く覚悟を決める。それは、勇気をもって試練を乗り越える親子の絆を深める旅の始まりでもあった。
聴覚に障害のある息子と共に生きる母と息子の厳しくも温もりのある親子関係を綴り、家族関係の希薄さが問われる時代だからこそ、忘れかけていた大切な家族の絆を思い出させてくれる作品。ぜひ一人暮らしをしている方には見て欲しい。不慮の事故で亡くなってしまった父親の事を息子に教えようとするシーンには涙もの。中国の厳しい社会情勢も見えてくる。
オフィシャルサイト: http://www.movietv.co.jp/product/kirei.html
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