アバウト・ア・ボーイ

精神未熟なグータラ男の日記 ★★★★☆
[02/仏・英・米]1h40 9月14日より日劇3ほか全国東宝洋画系にて全国ロードショー

[製作]ティム・ベバン エリック・フェルナー ジェーン・ローゼンタール ロバート・デ・ニーロ
[原作]ニック・ホーンビィ(文庫刊)
[監督]ポール・ウェイツ、クリス・ウェイツ
[脚色]ピーター・ヘッジズ
[出演]ヒュー・グラント ニコラス・ホルト トニ・コレット レイチェル・ワイズ ビクトリア・スマーフィット
[配給]ユナイテッド・インターナショナルピクチャーズ ファー・イースト
[宣伝]UIP映画

[珠玉のハートフルなドラマ:About a Boy 全米公開2002年4月26日]
ヒュー・グラントも惚れこんだという、「ハイ・フィデリティ」の原作者でもあるニック・ホーンビィの同名小説を映画化。英国では100万部突破のベストセラーで、「ブリジット・ジョーンズの日記」男性版登場と本年度 No.1のオープニングを記録している。ほかの出演者は、本作でデビューしたニコラス・ホルト、「シックス・センス」のトニ・コレット、「ザ・ビーチ」のビクトリア・スマ-フィット、そして「ハムナプトラ」シリーズのレイチェル・ワイズ。監督は「アメリカン・パイ」のポール&クリス・ウェイツ兄弟。

ウィルは、フリーマンという名字が示すとおり、何の束縛もなし、人生を謳歌している男。高級車を乗り回し、美容室でグルーミングに励み、クイズ番組とネット・サーフィンで時間をつぶす。毎日が日曜日な生活を満喫中の彼は、一期一会の交際相手を求め、今日もシングル・マザーのナンパに精を出す。一方、12歳のマーカスにとって、人生はもっと深刻なものだ。学校ではいじめの標的になり、情緒不安定な母親は自殺騒ぎを起こす始末。その母をたまたま病院へ運んだウィルに「いい人」の素質を見出したマーカスは、毎放課後ウィルのアパートへ通うようになる。マイペースな生活をかき乱され、迷惑顔のウィル。しかし、いつしか彼は、マーカスと過ごす時間を自分が楽しんでいることに気づく。そして、そんな彼の変化は、新しい恋のチャンスを呼び込むことになるのだが…。

責任の二文字と無縁の暮らしを送っていた男が、12歳の少年との関わりあいを通じて、「自分の人生に欠けていたものは何か?」に気づいていく。オトナになりきれないオトナの心情を等身大で描きながら、人間同士の絆・孤独・愛・家族といったテーマを浮き彫りにしていくという内容。ヒュー・グラントが惚れこんだだけあり、彼にピッタリの作品。彼のような生活に憧れる男性は日本にもいるのでは? ニコラス・ホルト演じるマーカスも、デビル眉毛で図々しい奴だけど何故だか憎めない。

オフィシャルサイト: http://www.uipjapan.com/aboutaboy/index.htm

カテゴリー: アメリカ | ヨーロッパ | 映画レビュー

2002年9月14日 by p-movie.com

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

痛烈にして愛に満ちたイマジネーション ★★★★☆
[01/米]1h49 9月7日よりシネスイッチ銀座、恵比寿ガーデンシネマズほか全国順次ロードショー

製作:ウエス・アンダーソン、バリー・メンデル、スコット・ルーディン
監督:ウエス・アンダーソン
脚本:ウエス・アンダーソン、オーウェン・ウィルソン
出演:ジーン・ハックマン アンシェリカ・ヒューストン ベン・ステイラー グウィネス・パルトロウ ルーク・ウイルソン オーウェン・ウィルソン ビル・マーレー ダニー・グローバー
配給:ブエナビスタインターナショナル(ジャパン)
宣伝:ムービーテレビジョン

[悲劇と喜劇が隣り合わせの《家族の再生》物語:The Royal Tenenbaums]
ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする有力メディアがこぞって《2001年度ベスト・ムービー》に選び、世界中の映画ファンの圧倒的な支持を集めた話題作が遂に日本で公開。出演者はとても豪華で「ザ・プロフェッショナル」のジーン・ハックマン、「バッファロー’66」のアンシェリカ・ヒューストン、「ズーランダー」のベン・ステイラー、「愛しのローズマリー」のグウィネス・パルトロウ、「キューティ・ブロンド」のルーク・ウイルソン、「エネミー・ライン」のオーウェン・ウィルソン、「チャーリーズ・エンジェル」のビル・マーレー、「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローバー、そしてナレーションを務めているのはアレック・ボールドウィン。監督は、ベンとオーウェンと仲の良いウエス・アンダーソン。共同で脚本を書いた監督とオーウェン・ウィルソンは、アカデミー賞脚本賞にノミネートされている。

有能な弁護士であるロイヤルと、考古学者である妻エセルには、3人の子供がいたが「性格の不一致」を理由に別居した。長男チャスは子どもの頃から不動産売買に精通し、10代にして国際金融に並外れた能力を発揮する〈天才〉だった。長女(養女)のマーゴは少女の頃から戯曲の才にあふれ、10代前半で5万ドルの懸賞金を得た〈天才〉だった。次男リッチーはテニス・プレイヤーで、全米ジュニア選手権で前人未到のV3を達成し、将来を嘱望されプロデビューを果たした〈天才〉だった。「天才一家」と呼ばれたテネンバウム家だったが、しかし夫婦・家族による22年間に渡る裏切りと失敗と絶望と悲観と災難で「天才一家」はいつしか「天災一家」へと変転する。そして、いま、この「世界で一番自分勝手な男」ロイヤルが「もう一度、家族でやり直したい」と言い出した。22年ぶりの冬、テネンバウム家に思いがけない転機が訪れる。果たして、家族の再生はなるか…。

なんとも不思議で楽しいコメディー。むかし松竹が得意としていたハチャメチャ・ホームドラマにも似ているし、ジョン・アーヴィングの世界にもかなり似ている。オープニングは3人の子供の回想シーンから始まるのだが、この子役たちがソックリ。ベン・ステイラーの息子たちまでソックリだ。どうして日本はこれが出来ないんだろう?これだけ個性の強い登場人物を豪快に纏めてしまうウエス・アンダーソン監督は天才かもしれないと思ったら、次回作はベンとオーウェン共演の「刑事スタスキー&ハッチ」の映画化だとか。そんなに長く待てないよと、言う方は同じく2人が共演した「ズーランダー」(9月14日公開)をどうぞ。

オフィシャルサイト: http://bventertainment.go.com/movies/royal/

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年9月9日 by p-movie.com

バイオハザード

悪夢のようなサバイバル戦 ★★★☆☆
[02/独・英・米]1h41 8月31日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

製作:ポール・アンダーソン ジェレミー・ボルト ベルント・アイヒンガー サミュエル・ハディダ
原案:カプコン「バイオハザード」
監督:ポール・アンダーソン
脚本:ポール・アンダーソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ ミシェル・ロドリゲス エリック・メビウス ジェームズ・ピュアフォイ
配給:アミューズピクチャーズ
宣伝:アミューズピクチャーズ

[アクロバティックなアクション・ムービー:Resident Evil]
世界中で2,000万本を超える売上を記録した同名ゲームシリーズの映画化で、早くもシリーズ化決定。「モータル・コンバット」「イベント・ホライゾン」「ソルジャー」のポール・アンダーソン監督は、トム・クルーズ製作・主演最新作『Death Race 3000』や「エイリアンVSプレデター」に指名されている。全米では「アイスエイジ」に次ぐ興行成績第2位でスタートし、ヨーロッパでは初登場1位となったフランスを筆頭に、ドイツ、イタリアなどで好成績をあけ、アジアでもシンガポール、マレーシアで興行成績1位を獲得するなど、全世界的に旋風を巻き起こしている。出演は「フィフス・エレメント」「ジャンヌ・ダルク」のミラ・ジョヴォヴィッチ、「ガールファイト」「ワイルド・スピード」のミシェル・ロドリゲス、「クルーエル・インテンションズ」のエリック・メビウス、「ロック・ユー!」のジェームズ・ピュアフォイ。

21世紀初頭、巨大企業アンブレラ・コーポレーションが技術の粋を尽<して地中深くに作り上げた超近代的秘密研究所ハイブ。ここで開発中のウィルスが何者かの手によって空気中に漏洩するという事件が発生した。メインコンピューターは汚染が地上に拡大するのを防ぐために研究所を封鎖。これによって500名以上の所員の生命が失われた。アンブレラ社はコンピューターをシャットダウンするために、少数精鋭の特殊部隊を派遣。だが、ハイブに進入した彼らを待っていたのは、ウィルス汚染によって見るも無残な生ける屍“アンデッド”と化した所員だった!!

ゲーム版の世界観を継承しながらも、まったく新しいキャラクターによるオリジナル・ストーリーで、ゲームファンにもゲームを知らない観客にも広くアピールするエンタテインメント映画に仕上がっている。構成は主人公たちと観客が同じ立場に立ち進行していき、徐々に内容が分かっていくスタイル。様々な仕掛けが用意されているので、あまり情報を詰め込まないで鑑賞あれ。

オフィシャルサイト: http://biohazard-movie.jp/biohazard/

カテゴリー: アメリカ | ヨーロッパ | 映画レビュー

2002年9月2日 by p-movie.com

オースティン・パワーズ ゴールドメンバー

このおバカは誰にも止められないっ! ★★★★☆
[02/米]1h35 8月24日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

製作:ジョン・リヨンズ/マイク・マイヤーズ
製作:エリック・マクリード/スザンヌ・トッド/ジェニファー・トッド
監督:ジェイ・ローチ
脚本:マイク・マイヤーズ/マイケル・マクリース
出演:マイク・マイヤーズ ビヨンセ・ノウルズ マイケル・ケイン ヴァーン・トロイアー セス・グリーン
カメオ出演:トム・クルーズ グウィネス・パルトロウ ケビン・スペイシー ダニー・デヴィート スティーヴン・スピルバーグ ジョン・トラボルタ ブリトニー・スピアーズ クインシー・ジョーンズ
共同配給:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:ギャガ・コミュニケーションズ

[超豪華スター続々登場!:Austin Powers in Goldmember 全米公開2002/7/26]
おバカパワー炸裂のオースティン・パワーズ・シリーズの第3弾。今回の舞台は、えっ日本? そして又もやタイムスリップだ。出演は御馴染みマイク・マイヤーズ、今回は1人4役に挑戦。オースティン・ギャルにはグラミー受賞でギネスブックにも載ったスーパーユニット、デスティニーズ・チャイルドのビヨンセ。オースティン・パパには、60年代のスパイもの「国際諜報局」でオースティンの元ネタとも言えるハリー・パーマーを演じていた元祖スパイ俳優、サー・マイケル・ケイン、ほかイーブルの息子のセス・グリーン、ミニ・ミーのヴァーン・トロイヤー、イーブルの腹心の部下ナンバー2のロバート・ワグナー、英国情報局局長のマイケル・ヨーク、イーブルの部下ミンディー・スターリングと御馴染みのメンバー。監督も引き続きジェイ・ローチ。

今回のDr.イーブルの世界征服計画は、隕石を誘導して地球の氷を溶かして水没させようという計画。だが、オースティンによりイーブルはあっけなく捕まってしまう。しかし今度は、オースティンのパパが誘拐されてしまう。犯人は謎の悪党ゴールドメンバー。パパを救うべく1975年へタイムスリップしたオースティンは75年当時の公私に渡るパートナー、フォクシー・クレオパトラとゴールドメンバーに立ち向かうが、逃げられてしまう。その頃、イーブルは脱獄してゴールドメンバーと日本で落ち合っていた。クレオパトラと現代に戻ったオースティンは日本へ向かう。そして、いつもの宿命の対決と同時に、オースティンとイーブルの出生の秘密も明らかになる。

日本で1作目の公開はミニ・シアターでこっそりだったが、2作目が全米で「SW:1」と争ったことが話題なりあっという間に人気爆発。そして今回の3作目の舞台は何故か日本。今年の夏休み映画はあまり勢いがよくないが、これで起爆剤になるか?。何といっても驚くのが、オープニングのカメオ出演達。このシーンだけでも充分入場料を払う価値あり。中身は相変わらずのパロディと下ネタに、訳が分からないシーンのオンパレード。この分だとシリーズは、まだ続きそう。その前に劇中作品のほうが見たいけど。ゴールドメンバーが、1975年に経営している「スタジオ69」は実際にあった「スタジオ54」と言うディスコのこと。これを舞台にした青春ドラマ「54 フィフティ★フォー」で、経営者に扮しているのもマイク・マイヤーズです。

オフィシャルサイト: http://www.austinpowers-gold.jp/

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年8月25日 by p-movie.com

モンスーン・ウェディング

2001年ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞 ★★★★☆
[01/印]1h54 8月17日よりbunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

[製作]キャロライン・バロン、ミラ・ナイール
[監督]ミラ・ナイール
[脚本]サブリナ・ダワン
[出演]ナジルラディン・シャー リレット・デュベイ ヴァソンダラ・ダス イシヤーン・ナイール
[配給]メディア・スーツ
[宣伝]メディア・スーツ

[躍動感にあふれた人生讃歌:Monsoon Wedding 全仏公開2001年12月12日]
「サラーム・ボンベイ!」「ミシシッピー・マサラ」「太陽に抱かれて」「カーマ・スートラ 愛の教科書」の作品が日本でも公開されているミラ・ナイール監督の2001年ヴェネチア国際映画祭で、インド人女性監督初のグランプリ(金獅子賞)に輝いた作品は、結婚式を素材にした群像ドラマ。出演者は日本では馴染みがないが、インドを代表する俳優が揃っている。ラリット・バルマを演じるのは、国内外を問わず125本以上の映画に出演している偉大な俳優ナシルディン・シャー。その妻にベテランの舞台女優で監督としても知られるリレット・デュベイ。娘のアディティには有名なポップシンガーで映画出演はこれが2作目となるヴァソンダラ・ダス。花嫁の従姉リアに扮するのは1998年「Satya」でインドのアカデミー賞といわれるフィルムフェア批評家賞で最優秀主演女優賞を獲得したシェファリ・シェティ。ウェディング・プランナーには、インド国立レパートリー劇団に所属する演技派ヴィジェー・ラーズ。そのお相手となるメイド役には、デリー大学の学生でこの映画がデビュー作となるティロタマ・シヨーム。スタッフには、ハリウッドやフランス映画界で活躍している人達が名を連ねている。

インドのデリーに住むビジネスマン、ラリット・べルマ氏の庭では結婚式の準備が始まった。長女アディティが親の決めた縁談を急に承諾。相手は現在、アメリカで仕事をするエンジニアのヘマント・ライ。彼女はテレビ局の仕事も辞めて、彼の住むヒューストンについていくことになっていた。ベルマ氏はモンスーンの時期に親戚縁者を集めて伝統にのっとった式を挙げようとする。式の前日、アディティはヘマントを呼び出し、彼女は不倫関係にあった恋人がいたことを打ち明ける。彼女の告白を聞いたヘマントは混乱しながらある決断をする。季節は厳しい夏の日差しを一掃するモンスーン。生命の再生と喜びをもたらすモンスーンの雨が苦悩を洗い流し、躍動感に満ち溢れた未来を指し示していく。

結婚を承諾しても不倫を精神的に清算できないアディティの顛末。幼い頃に受けた忌わしい出来事をひた隠しにしてきた従姉の葛藤。従兄に一目ぼれしてしまったセクシーなティーンエイジャーの情熱的なアプローチ。式を引き受けたウェディング・プランナーとバルマ家の貞淑なメイドの恋。そして式の成功に心を砕くバルマ氏にも大きな試練と、5つのストーリーがゴージャスな映像のなかに紡がれていく。勿論、インド映画御馴染みの歌と踊りもインド北部の結婚式にのっとって披露される。登場人物が多いので、あらかじめ役名と役柄をチェックしてからご鑑賞あれ。

オフィシャルサイト: http://www.monsoon-wedding.jp/

カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2002年8月19日 by p-movie.com