2006 | Perfect Movie Guide

家門の危機

家門に恥じないエリートの嫁探し! ★★★★
[原題] 家門の栄光2
[05/韓] 1h55 11月18日 シネマート六本木、シネマート心斎橋にてロードショー!

[監督] チョン・ヨンギ
[製作] キム・ウテク、チョン・テソン
[脚本] キム・ヨンチャン
[撮影] ムン・ヨンシク
[音楽] キム・ウチョル
[衣装] ム・ジョンウォン
[出演] シン・ヒョンジュン、キム・ウォニ、キム・スミ、タク・チェフン、コン・ヒョンジン、イム・ヒョンジュン、シニ
[配給] リベロ

オフィシャルサイト:http://www.kamon-kiki.jp/
(C)2005 Showbox/Mediaplex Inc.

  韓国の大ヒットラブコメディ「家門の栄光(邦題:大変な結婚)」シリーズの第2弾。
前作でマフィアと一般人の結婚を大騒ぎの中、描いてくれ楽しませてくれたが、今回もまたあり得ない状況の結婚観で笑わせてくれる。
 前作では、韓国マフィア一家の4人兄妹で、上の三人の兄達が一番末っ子の妹の結婚相手にエリートのIT社長とくっつけようと奮闘するストーリー。
今回は別のマフィアが舞台となるが、やはり三人兄弟が頑張ってるヤクザの一家が家門を守る為に奮闘するストーリー。白虎組の女ボス、ホン・ドクチャは、長男インジェ(シン・ヒョンジュン)にエリートの花嫁を迎えることが夢。だが、長男インジェは、どんな女性とも付き合う気が無い。仕方なくドクチャは自分の還暦の誕生日までに嫁を連れてくるようにと命令を出す。
ところが突如、インジェの目を奪う女性が現れた。その女性、ジンギョンは学歴、美貌、性格ともに完璧。しかし、彼女の職業はヤクザの天敵である敏腕検事だった…。
インジェは、そして弟二人は、この危機を乗り越えられるのか?!

 前作同様、“マフィア”なんだけど、いまいちピンと来ない暴力団なのだ。やっぱり前作同様に兄弟がマフィアらしくない面白い三兄弟として描かれてしまう
からかもしれない。長男インジェ演じるシン・ヒョンジュンが一番怖くて良いハズなのに、恋してる時の表情と仕事してる時の表情が全然変化しない。
でも最初からインジェは、カッコつけの男じゃないのだ。常にビシっとしてるわけじゃない。劇中、彼の過去までも回想されてしまうシーンは80年代の若い時代だけに現在の彼とは掛け離れた姿は大いに笑わせてくれる。特に検事を演じたキム・ウォニは一人二役というカメレオン的な演じ方をするから笑いが止まらない人も多いだろう。
どっちにしろ今回はヤクザと検事じゃ結ばれるかどうか微妙な線で切なくもあり、結婚するという事にパワフルな勇気が必要と感じる。
慎重になり得る結婚が、愛さえあればここまでするのか?!という驚きの展開がちょっと感動的。
(佐藤まゆみ)

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カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2006年12月19日 by p-movie.com

酒井家のしあわせ

“家族”って、かっこ悪い? ★★★★

[06/日] 1h42 12月23日 渋谷アミューズCQN にて全国順次ロードショー!
[監督] 呉美保
[製作] 若杉正明
[脚本] 呉美保
[撮影] 喜久村徳章
[音楽] 山崎まさよし
[美術] 禪洲幸久
[出演] 森田直幸、友近、鍋本凪々美、ユースケ・サンタマリア、濱田マリ、栗原卓也、谷村美月、洞口依子、笑福亭仁鶴、赤井英和、本上まなみ、高知東生、三浦誠己
[配給] ビターズ・エンド
[宣伝] Lem
オフィシャルサイト:http://www.sakaike.jp/
(C)「酒井家のしあわせ」フィルムパートナーズ

 ごく普通にある酒井家はお母さん、お父さん、長男14歳、長女4歳という家族である。14歳の長男・次雄は中学でサッカー部に所属し、この夏休みは毎日部活に忙しい。
今朝も関西弁ばりばりのお母さん(友近)から、うるさくまくし立てられたばかり。お父さん(ユースケ・サンタマリア)は母の再婚相手であるから次雄にとって継父だ。
だが明るい両親を少しうっとおしいと思う年頃が今の次雄だ。そんなある日、お父さんが家を出て行くと言い出した。
理由は好きな人が出来たから…さらに好きな人とは“男”だと言う…。

 ありふれた家族の話は父親がゲイであることを母親に告げたことによって、とんでもない方向へ転がり込む。
まず滅多にそんな話はあり得ないだろう、だからこそ家族は呆れ、笑いをも呼び込む。
だが父親のついた大きな“嘘”は、ありふれた家族をやっぱりありふれた普通に何処にでもいる家族にしてくれる。
家族ってどれだけ語りつくしても、本当は全員違う人間が集まるのが家族として繋がっていく。
その家族が色々な形を作ってくれて、更に愛情を言葉では言えないほどの深さを持つ。
ナレーションをしている14歳の長男の素直な気持ちと押し殺した気持ちのギャップが切なくも自然な視点が何かを思い出させてくれた。
自分が考えていた中学生の頃に見た両親への視点、それはまぎれもなく自分自身だったと思う。
そんな普通に居る家族から知るのは本作の中で生まれる普通の気持ち。その気持ちこそ家族なのだと再発見できるだろう。
余談だが、何よりも友近&ユースケ・サンタマリアという夫婦役があまりにもハマっていて本当にこのまま夫婦でいても良いのかも?…と錯覚まで起こさせるから凄い。
(佐藤まゆみ)

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カテゴリー: 日本 | 映画レビュー

2006年12月19日 by p-movie.com

ヘンダーソン夫人の贈り物

これがオンナの生き方 ★★★★
[原題] Mrs Henderson Presents
[05/英] 1h43 12月23日 Bunkamura ル・シネマ ほかにて全国順次ロードショー

[監督] スティーヴン・フリアーズ
[製作] ノーマ・ヘイマン
[脚本] マーティン・シャーマン
[撮影] アンドリュー・ダン
[音楽] ジョージ・フェントン
[美術] ヒューゴ・ルジック・ウィオウスキ
[衣装] サンディ・パウエル
[出演] ジュディ・デンチ、ボブ・ホスキンス、ウィル・ヤング、クリストファー・ゲスト、ケリー・ライリー、セルマ・バーロウ
[配給] ディーエイチシー
[宣伝] 樂社

オフィシャルサイト:http://mrshenderson.jp/

 時には英国女王陛下までも演じるジュディ・デンチ。彼女が70歳超えて、面白おかしくコメディとして成立させてしまったのは、実在した女性ローラ・ヘンダーソンの晩年を描いた人間ドラマである。

 1937年、ローラ・ヘンダーソン(ジュディ・デンチ)は夫を亡くし、残ったのは莫大な遺産だけ。
未亡人として今後の生き方を悩み、嘆き悲しむ。そんなある日、閉鎖されて古びたウィンドミル(風車)劇場が売りに出されているのを見て、思い切って買ってしまう。内装を施し、後は支配人を決めるだけ。そこで紹介されたのがショービジネスのプロ、ユダヤ人のヴィヴィアン・ヴァンダム(ボブ・ホスキンス)だった。当時のイギリスでは劇場経営者が上流階級の人間が決して多くない時代にヘンダーソン夫人は自らショービジネスの世界へ飛び込む。彼女は斬新かつ画期的なアイディアの持ち主でもあった。
経営不振になった時にでさえ、突如美女の裸体を演目の中に取り入れるという想像もつかないミュージカルまで上演したのである。
戦中となった時でさえも若い兵士たちがこぞって美しい女性たちを観に行くという盛況ぶり。
それは決して卑猥なモノではなく、華が咲いているように女性の姿が描かれる。
この世にこんなに美しいモノが他にあるのだろうか?と思える演出のやり方にも感激する。
 ドイツ軍に空爆に遭っていてもヘンダーソン夫人は劇場で上演を辞めない。その理由は劇中で描かれるのでネタバレはしたくないので伏せて置くが、そんな戦中に関わらず劇場での上演を無理にでも続けようとする姿勢こそが彼女の過去との人生を切り離せないモノだったのだ。そのバイタリティ溢れるヘンダーソン夫人の老後を観ているとこんな生き方があったんだ!と驚く女性が多いに違いない。女性が、最後まで女性であり女性を貫く生き方を見せ付けられた気がする。
実在したヘンダーソン夫人も、演じたジュディ・デンチも、やっぱり女性として生き抜いている。
ヴァンダム支配人演じるボブ・ホスキンスもとことんヘンダーソン夫人と喧嘩しながらも、自分の生き方を貫いて演出家として一歩も引き下がらない。
この二人の演技は、まさにコント仕様で大笑いせずには居られない。コメディなのに頑張る大人の姿はやはり感動的である。
(佐藤まゆみ)

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カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2006年12月19日 by p-movie.com

愛されるために、ここにいる

変わらない毎日から一歩踏み出すチャンス! ★★★

[原題] Je ne suis pas la pour etre aime
[05/仏] 1h33 12月16日 東京ユーロスペースにてロードショー!
[監督] ステファヌ・ブリゼ
[製作] ミレナ・ポワヨ、ジル・サクト
[脚本] ジュリエット・セイルズ、ステファヌ・ブリゼ
[撮影] クロード・ガルニエ
[音楽] クリストフ・H・ミュラー、エドゥアルド・マカロフ
[美術] ヴァレリー・サダジアン
[衣装] アン・ダンスフォード
[出演] パトリック・シェネ、アンヌ・コンシニ、ジョルジュ・ウィルソン、リオネル・アベランスキ、シリル・クトン、アンヌ・ブノワ、オリヴィエ・クラヴリ
[配給] セテラ・インターナショナル
[宣伝] セテラ・インターナショナル
オフィシャルサイト:http://www.cetera.co.jp/tango/index.html
(C)TS Productions

 2006年セザール賞3部門(主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞)にてノミネートされた本作。一見、ダンスを通して初老の男性の生き甲斐になるかと思われがちなイメージが先行するが、あくまでもダンスがキッカケとして人生を見つめなおそうとする男の物語である。

 ジャン=クロードは父から引き継いだ執行官の仕事をこなす50歳を過ぎた男である。
裁判所命令に従い、家賃滞納をしている人へ強制退去の執行を行う役目だ。
あまり人に歓迎されるような仕事では無い為、彼自身が疲れ果てている。
更に毎週末には老人ホームに居る父親に面会し小言を聞かされながらも文句ひとつ言わずに帰る。
別れた妻との間に出来た息子に今の仕事を引き継がせようと思っているのだが、息子なのにまともに会話することも出来ずにいる。
そんな日々の中、事務所から見えるタンゴ教室の風景。習ってみたいと思ったジャン=クロードは思い切ってタンゴ教室に通い始める。
そこで出逢う若い女性、フランソワーズ。彼女はジャン=クロードを一目見て、古い知人だと解かり話しかけ、打ち解けていく。
久しぶりに女性とのタンゴを踊るジャン=クロードの心は自然と明るくなり恋にも似た感情が芽生える。
だがフランソワーズは数週間後に結婚する予定なのだ。フランソワーズは結婚までもうすぐ、という時期に婚約者の態度に不安感を抱えていた。
こんな状態を抱えている二人の人生が交差しはじめる…。

 孤独な50代のオジサンが自分の人生を振り返った時、既に取り戻せない過去だと諦め、仕方なく毎日を過ごす。
別れた妻との間に出来た息子にさえ、父親としてぎこちない会話しか出来ず、老人ホームにいる高齢の父親とも実際のところ会話が交わらない。
人間関係に幻滅し続けて生きている救いの無いオジサンにしか見えない。だが、一歩踏み出すきっかけとなるのがタンゴ教室である。
男女が向かい合い相手の身になって踊る練習を続ける主人公。彼は、このタンゴによって自分自身と向き合い、他人とも向き合うキッカケとなったのだろう。
人生をもう一度生きる為に歩き出す彼の今後に希望と明るさを予感させてくれる優しい仕上がりになっている。
(佐藤まゆみ)

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カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2006年12月19日 by p-movie.com

とかげの可愛い嘘

なかなか捕まらない彼女との切ない物語 ★★★

[原題] Love Phobia
[05/韓] 1h57 12月16日 シネマート六本木、シネマート新宿 ほかにてロードショー!
[監督] カン・ジウン
[製作] チョン・スンヘ
[脚本] ファン・イノ
[撮影] キム・ヨンフン
[音楽] パク・ギホン
[美術] キム・ヒョシン
[出演] チョ・スンウ、カン・ヘギョ
[配給] エスピーオー
[宣伝] アステア

オフィシャルサイト:http://www.cinemart.co.jp/tokage/
(C)2006 CINEMA SERVICE CO.,ALL RIGHTS RESERVED.

 とかげのように捕まえようとしてもなかなか捕まえられない初恋の人を思い続け、同時に切ない想いを抱える長い時間を越えてのラブストーリー。
 8歳の時に転校生がやってきた。名前はイ・アリ(カン・ヘジョン)。
雨の日でもないのに黄色いレインコートに身を包み、とかげをポケットに入れている不思議な女の子。
彼女がレインコートを常に着ているのは、自分が呪われた子だからと言う。自分に触れば呪いが移るからと…。
だが席が隣になった男の子ジョガンはそんな変わったアリに夢中になる。
アリの話す言葉を全部信じて二人だけの秘密を持ったりして楽しんでいた。だがジョガンの家は引越ししてしまい、アリとは会わず別れてしまう。そして10年後、突然アリがジョガンに連絡を取ってくる。
以前と同じお寺で暮らしてるから一緒に勉強をしようと。10年ぶりに再会しても子供の頃と同様にジョガンはアリの不思議な話しに夢中になる。互いの気持ちが同じだと確認した後、ジョガンとアリは急接近する。
翌日、ジョガンは発病。アリは前回と同じように責任を感じ、姿を消す。そして8年後、銀行員となったジョガンの働く銀行に突然現われたアリ。だがアリは翌日、NASAに呼ばれアメリカへ旅立つと言い出す。何度も姿を突然消し、そして突然現われるアリ…。
アリの言う言葉が大人になったジョガンには信じられなくなっていた…。
そしてアリのついた嘘の裏にはすべて悲しい真実が詰まっていたのである。

 子供のときに恋をした相手をずっと何年も想っていられるものだろうか。そんな純粋な話など滅多に無いのも現実だが、あり得ないことじゃない。
8歳の頃から恋した女の子が幾度も姿を消そうとも、想いは消えない主人公の純粋さに女性としては感激する。
そして不思議な少女アリが数度、姿を消し、何年か経ってから突如と現われる素朴なシーンは優しい風が吹くかのようにその場をパァーっと明るくさせる。
カン・ヘジョンは、現在公開中の「トンマッコルへようこそ」で素朴で不思議な少女を演じているが、本作でもその面が見られるし、本気で恋をする女性の切ない想いをありのまま演じている。その表情は女性として痛々しくもあり、共感し自分と重ねてしまうに違いない。
ただ、真実のアリの驚愕の事実だけは観ている側も切なさでいっぱいになり胸が詰まる。
(佐藤まゆみ)

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カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2006年12月19日 by p-movie.com