酒井家のしあわせ

“家族”って、かっこ悪い? ★★★★

[06/日] 1h42 12月23日 渋谷アミューズCQN にて全国順次ロードショー!
[監督] 呉美保
[製作] 若杉正明
[脚本] 呉美保
[撮影] 喜久村徳章
[音楽] 山崎まさよし
[美術] 禪洲幸久
[出演] 森田直幸、友近、鍋本凪々美、ユースケ・サンタマリア、濱田マリ、栗原卓也、谷村美月、洞口依子、笑福亭仁鶴、赤井英和、本上まなみ、高知東生、三浦誠己
[配給] ビターズ・エンド
[宣伝] Lem
オフィシャルサイト:http://www.sakaike.jp/
(C)「酒井家のしあわせ」フィルムパートナーズ

 ごく普通にある酒井家はお母さん、お父さん、長男14歳、長女4歳という家族である。14歳の長男・次雄は中学でサッカー部に所属し、この夏休みは毎日部活に忙しい。
今朝も関西弁ばりばりのお母さん(友近)から、うるさくまくし立てられたばかり。お父さん(ユースケ・サンタマリア)は母の再婚相手であるから次雄にとって継父だ。
だが明るい両親を少しうっとおしいと思う年頃が今の次雄だ。そんなある日、お父さんが家を出て行くと言い出した。
理由は好きな人が出来たから…さらに好きな人とは“男”だと言う…。

 ありふれた家族の話は父親がゲイであることを母親に告げたことによって、とんでもない方向へ転がり込む。
まず滅多にそんな話はあり得ないだろう、だからこそ家族は呆れ、笑いをも呼び込む。
だが父親のついた大きな“嘘”は、ありふれた家族をやっぱりありふれた普通に何処にでもいる家族にしてくれる。
家族ってどれだけ語りつくしても、本当は全員違う人間が集まるのが家族として繋がっていく。
その家族が色々な形を作ってくれて、更に愛情を言葉では言えないほどの深さを持つ。
ナレーションをしている14歳の長男の素直な気持ちと押し殺した気持ちのギャップが切なくも自然な視点が何かを思い出させてくれた。
自分が考えていた中学生の頃に見た両親への視点、それはまぎれもなく自分自身だったと思う。
そんな普通に居る家族から知るのは本作の中で生まれる普通の気持ち。その気持ちこそ家族なのだと再発見できるだろう。
余談だが、何よりも友近&ユースケ・サンタマリアという夫婦役があまりにもハマっていて本当にこのまま夫婦でいても良いのかも?…と錯覚まで起こさせるから凄い。
(佐藤まゆみ)


カテゴリー: 日本 | 映画レビュー

2006年12月19日 by p-movie.com