ユリョン

韓国潜水艦映画 ★★★☆☆
[99/韓国] 1h43 3月3日よりシネ・リーブル池袋にてロードショー

監督:ミン・ビョンチョン
脚本:ミン・ビョンチョン ポン・ジュノ チャン・ジュンファン ク・ソンジュ
出演:チェ・ミンス チョン・ウソン ソル・ギョング ユン・ジュサン
配給:日活
宣伝:スキップ

昨年の東京ファンタで上映され、2000年の大鐘賞(韓国アカデミー賞) で6部門を受賞した韓国製潜水艦映画ユリョンとは幽霊のことで、旧ソ連から借款の代わりに引き受けた原子力潜水艦の名称。乗組員は艦長に「シュリ」のユン・ジュサン、副艦長に「リベラ・メ」が公開予定のチェ・ミンス、ミサイル責任者の431に「モーテルカクタス」のチョン・ウソン、「ペパーミント・キャンディー」主役のソル・ギョング。監督はこれが長編デビューのミン・ビョンチョン。

訓練と実践の区別がつかなくなった艦長を射殺して軍事裁判で死刑を宣告されたイ・チャンソクは、南海の核兵器基地にある原子力潜水艦ユリョンに搭乗を命じられた。ユリョンの存在は勿論、乗組員に関しても全て1級機密。チャンソクも記録で死んだことにされ431の番号で呼ばれた。作戦内容を知るのは艦長のみで、ミサイル班に配属された431に艦長は核ミサイル発射の鍵を密かに渡した。艦内で時限爆弾が発見された。艦長に不信感を抱いた副艦長はクーデターを起こし、艦長を暗殺して部下全員を味方につけて日本への攻撃計画を明らかにする。そして唯一犯行する431を拘束して鍵を奪うと、日本の主要各都市に核ミサイルの照準を次々と仕掛けていく。しかし、異変に気づいた日本も潜水艦で攻撃してきた。

「シュリ」の大成功で自信を強めた韓国映画界は金融関係会社や韓国政府も映画界に積極的に支援し、1本あたりの制作費が跳ね上がった。そんな中で企画されたのがこの作品。韓国の 99年映画観客動員数でも、第8位に飛び込んだ。韓国は日本にずっと踏みにじられてきたからという祖国愛から日本を攻撃しようとする副艦長と、人間的で心優しいのに、又もや上官に恵まれなかった431との孤立無縁の中でのクライマックスとなる全面対決。それにかぶさる音楽もなかなか。「U-571」のように実物大は作れなかったようだが映像技術もよく出来ている。でも敵が日本というのにはねー。潜水艦映画にハズレはなしというが、この時期の公開もどうかな?

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カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2001年3月5日 by p-movie.com

ツバル

不思議な夢の国へようこそ ★★★★★
[99/独] 1h32 2月17日よりイメージフォーラムにて公開

監督:ファイト・ヘルマー
製作:ファイト・ヘルマー
脚本:ミヒャエラ・ベック ファイト・ヘルマー
出演:ドニー・ラヴァン チュルパン・ハマートヴァ フィリップ・クレー
   E.J.カラハン
配給:アルシネテラン
宣伝:アルシネテラン

ツバルとは南太平洋の南北に並ぶ9環礁からなる諸島で、大きさは八丈島の約3分の1。でも、そんな事はこの際関係ない。知って欲しいのは、この作品が字幕が全くなく、モノクロで撮影したフィルムに後からカラーで色付けした不思議ファンタジーであるという事。世界中の人が理解できる言語にするために、おおげさなジェスチャーを交えた英語や仏語など幾つかの言語を組み合わせて大人が楽しめる娯楽作品になっている。

出演は、「ポンヌフの恋人」ほかレオス・カラックスの常連のドニー・ラヴァンと「ルナ・パパ」のチュルパン・ハマートヴァ。ほか「葡萄酒色の人生 ロートレック」のフィリップ・クレー、「コンゴ」のE.Jカラハン。そして監督は彗星のごとく登場したファイト・ヘルマーで、これが初長編作品で世界中の映画祭にて数々の賞を獲っている。

舞台は荒果てた古い室内プール。プールのオーナーで盲目の父親の手伝いをしている息子のアントンは受付のマルタと一緒に父親にプールが繁盛していると信じ込ませて暮らしていた。ある日プールに若い娘のエヴァが来る。若い女性を見たことのなかったアントンはすぐに彼女に惚れてしまった。一方、アントンの兄グレーゴルは土地の再開発プロジェクトを企ててプールの取り壊しを考えていた。父親に断られたグレゴールは天上から石を投げ込んだ。石はエヴァの父親に命中して帰らぬ人に。事故現場の検証の結果、プールの管理状態が次の検査迄に改善されない限り営業停止になってしまう。アントンは寝床がなく訪ねてくるホームレスと作戦を練り始める。エヴァは父親の残した船で航海の旅に出ることにするが、船はピストンがないと動かない。島にはピストンの予備がなく、唯一あるのはプールの温水を出すための機械に付いてるものだけ。エヴァはピストンを盗みにプールへ行く。プールでは検査が行われていて、そこでエヴァは再び石を落とそうとしているグレゴールを発見する。

普段は字幕に目をとられて見落としがちな映像に集中出来て、この摩訶不思議な映像やコミカルな演技を思う存分楽しめた。奇妙な登場人物たちや受付女性のボタン収集やプールを支える巨大なボイラーと監督の演出も面白い。そして忘れちゃいけないのが、チュルパンがプールに全裸で入り、金魚と戯れる美しい映像。「ルナ・パパ」を見て、彼女のことがになった人は見逃せないぞ。

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カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2001年2月26日 by p-movie.com

キャスト アウェイ

トム・ハンクス漂流する ★★★☆☆
[00/米] 2h24 3月より日本劇場ほか全国東宝洋画系にて漂着ロードショー

製作・監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ウィリアム・ブロイルスJr
出演:トム・ハンクス ヘレン・ハント
配給:UIP
宣伝:UIP

「フォレスト・ガンプ/一期一会」のトム・ハンクス&ロバート・ゼメキスコンビが挑んだ無人島サバイバル映画。 4年間の漂流した体型の為に、1年間撮影を休止してトム・ハンクスは25キロも体重を落とした。数少ない共演者は、「ハート・オブ・ウーマン」のヘレン・ハント。撮影はモスクワ・メンフィス・フィジー北西部にある諸島。

チャックは宅配会社のシステム Fed-Ex・エンジニア。配達時間を短縮するためならモスクワでも飛んで行く。帰国してメンフィスに着くと恋人のケリーと一時を過ごしてクリスマスプレゼントを交換した。プレゼントはケリーの写真入の懐中時計。「すぐ戻るよ」と言う言葉を残してチャックは南米行きの飛行機に乗り込んだ。しかし、飛行機は太平洋上で嵐の海に墜落する。気が着くとチャックは無人島に流れ着いた。時間ばかり短縮することしか頭になかった男に、孤独で長い漂流生活が始まる。

(ネタバレが多いので新鮮な気持ちで見たい方は、鑑賞後にお読みください。)





上映時間のうち約2時間が、トム・ハンクスの無人島生活の一人芝居というかドキュメンタリー風景。見ていて電波少年のRマニアを思い出してしまった。でもこちらはハンクス一人なので、ほとんど字幕も出てこないけど。そういえば、ハリソンとアン・へッシュも6泊7日で無人島生活してたっけ、あちらは丁寧に海賊まで来たけど、Rマニアの無人島生活と違うところは、島に流れ着いたFed-Exの荷物が生活を助けてくれるところ。何が流れ着いたかは見てのお楽しみ。そして火を起こす事に成功して生きる希望が湧いたところで、いきなり字幕が、「4年後」と表示されてトムが原人のようになってから脱出を試みるのだけど、この間トムは一体何をしていたのだろう? Rマニアは確か2~3ヶ月ぐらいで脱出したと思ったけど。それぐらいのブランクがないと、そのあとのシーンが活きて来ないから?あっ、忘れてたけど墜落シーンは度肝を抜くほど凄いよ。

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2001年2月19日 by p-movie.com

ペイ・フォワード [可能の王国]

1人の少年が奇跡を起こす ★★★★★
[00/米] 2h03 2月3日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹系ロードショー

監督:ミミ・レダー
原作:キャサリン・ライアン・ハイド
出演:ケビン・スペイシー ヘレン・ハント ハーレイ・ジョエル・オスメント ジム・カヴィーゼル
配給:ワーナー・ブラザース
宣伝:レオ・エンタープライズ

『シックス・センス』で天才少年との評価を得たハーレイ・ジョエル・オスメントの新作。『アメリカン・ビューティー』のケビン・スペイシーに、『恋愛小説家』のヘレン・ハントとアカデミー賞受賞者が共演する超ゴージャスで見応えがある作品。監督は『ピースメーカー』や『ディープ・インパクト』のミミ・レダー。今回は派手なアクションなどはないが、繊細な人物描写でより重厚なヒューマンドラマに仕上がっている。

「自分が受けた好意を相手に返すのではなく、手助けを求めている誰か3人に送る。そして、その3人もまたそれぞれ他の3人へ…。」これが「自分の手で世界を変えよう」という中学校新学期の社会科の課題に対してトレバー少年が考えた「ペイ・フォワード(先へ贈る)」なる計画だ。そのアイディアはすごく簡単で誰にでもできること。しかし、彼には簡単にできることでも現実の厳しさを知る大人にはとても難しいものだった。ドラッグに依存して社会復帰できないホームレスや冒険せずに今までの安定した生活を望むユージーン先生…。「ペイ・フォワード」できない大人たちを見て、この計画は失敗だったとガッカリするトレバー少年だったが、彼の知らないところで「ペイ・フォワード」が思わぬ広がりを見せていた。

「社会を良くしたい」という気持ちは誰にでもあるもの。でも、「大人」はいろいろな経験から行動することに臆病になってしまう。そういった人達の背中をポンと押してくれるのがこの映画。見ていた人に「自分も何かやらなくちゃ」という気を起こさせてしまうのだ。「自分の手で世界を変えよう!」なんて恐れ多くて考えられないけど、3人くらいなら人を助けることができる。そして「そんな簡単に世の中は良くならないよ…」なんて思いつつも、トレバー少年の健気な「ペイ・フォワード」にグッときてしまう。そうだよなぁ、初めの1歩が大切なんだよなぁ。

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2001年2月12日 by p-movie.com

デッド・アウェイ バンコク大捜査線

ここでは正義も悪になる! ★★★★☆
[99/タイ]1h50 2001/2/3よりキネカ大森にて爆裂ロードショー

監督:チャルーム・ウォンピム
出演:ドーム・ヘータクン スパコーン・キッスワン ピーター・ルイス・マイオックス
配給:ファインアーツ・エンタテインメント

 タイへ旅行したことがある人はわかると思うけれど、「暑い!」国である。日本のねっとりした暑さとは違い、爽やかな風と共に暮らす人々の笑顔が熱い国なのだ。そんなホットなタイから来た本作はまさに超ホットなアクションで観客を沸かしてくれる!

物語は警察官であるゴン(!名前が可愛い)がお金の為にしているアルバイト(していいのか?)で要人のボディガードをすることから始まる。アルバイトしているおかげで色々な怪しい情報を同僚で友人の特殊部隊のヌイに流すこともちゃっかりと忘れないという普通の人間だ。それにより麻薬密輸現場もしっかりと押さえ、犯人逮捕なんてしちゃうんだから大したもの。これで”めでたし、めでたし”って終わればいいけど、終わりません!更にこの事件から犯罪が勃発しちゃうのだが、それから本当の「悪人」がゾロゾロと出現!次々と簡単に人を殺してしまう悪人たち。いったいコイツらは何なんだ?!とムカツク私をよそに、次々と今回の麻薬密輸事件の隠された真実が見えてくる。その間には、激しい銃撃戦、タイの町を走り抜けるカーアクション、ハリウッド映画以上の火薬を使った爆発など手に汗を握るほどの大袈裟な仕掛けがたっぷり。

タイの街が壊れちゃうよ、と嘆くほど激しい!寒い冬を本作の二時間弱のドラマで熱いアジアを体験したら気分爽快!になること間違いナシ!

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カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2001年2月1日 by p-movie.com