ペイ・フォワード [可能の王国]

1人の少年が奇跡を起こす ★★★★★
[00/米] 2h03 2月3日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹系ロードショー

監督:ミミ・レダー
原作:キャサリン・ライアン・ハイド
出演:ケビン・スペイシー ヘレン・ハント ハーレイ・ジョエル・オスメント ジム・カヴィーゼル
配給:ワーナー・ブラザース
宣伝:レオ・エンタープライズ

『シックス・センス』で天才少年との評価を得たハーレイ・ジョエル・オスメントの新作。『アメリカン・ビューティー』のケビン・スペイシーに、『恋愛小説家』のヘレン・ハントとアカデミー賞受賞者が共演する超ゴージャスで見応えがある作品。監督は『ピースメーカー』や『ディープ・インパクト』のミミ・レダー。今回は派手なアクションなどはないが、繊細な人物描写でより重厚なヒューマンドラマに仕上がっている。

「自分が受けた好意を相手に返すのではなく、手助けを求めている誰か3人に送る。そして、その3人もまたそれぞれ他の3人へ…。」これが「自分の手で世界を変えよう」という中学校新学期の社会科の課題に対してトレバー少年が考えた「ペイ・フォワード(先へ贈る)」なる計画だ。そのアイディアはすごく簡単で誰にでもできること。しかし、彼には簡単にできることでも現実の厳しさを知る大人にはとても難しいものだった。ドラッグに依存して社会復帰できないホームレスや冒険せずに今までの安定した生活を望むユージーン先生…。「ペイ・フォワード」できない大人たちを見て、この計画は失敗だったとガッカリするトレバー少年だったが、彼の知らないところで「ペイ・フォワード」が思わぬ広がりを見せていた。

「社会を良くしたい」という気持ちは誰にでもあるもの。でも、「大人」はいろいろな経験から行動することに臆病になってしまう。そういった人達の背中をポンと押してくれるのがこの映画。見ていた人に「自分も何かやらなくちゃ」という気を起こさせてしまうのだ。「自分の手で世界を変えよう!」なんて恐れ多くて考えられないけど、3人くらいなら人を助けることができる。そして「そんな簡単に世の中は良くならないよ…」なんて思いつつも、トレバー少年の健気な「ペイ・フォワード」にグッときてしまう。そうだよなぁ、初めの1歩が大切なんだよなぁ。


カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2001年2月12日 by p-movie.com