リトル・ダンサー

目指すはロイヤル・バレエ団 ★★★★☆
[00/英] 1h51 1月27日よりシネスイッチ銀座ほかロードショー

監督:スティーヴン・ダルドリー
脚本:リー・ホール
出演:ジェイミー・ベル ゲアリー・ルイス ジュリー・ウォルターズ アダム・クーパー
配給:日本ヘラルド映画
宣伝:日本ヘラルド映画

昨年のカンヌ国際映画祭監督週間のクロージングや東京国際映画祭特別招待作品で上映され、観客を感動の渦に巻き込んだイギリス史上空前の大ヒット映画がやって来る。11歳の少年がダンスに目覚めバレエダンサーを目指す心温まる作品。監督は演劇界の顔として英国ではよく知られているスティーブン・ダルドリー。主人公ビリー役には2000人を超えるオーディションからジェイミー・ベル、「マイ・ネーム・イズ・ジョー」のゲアリー・ルイス、「ステッピング・アウト」のジュリー・ウォルターズ、そして熊川哲也と同級生で英国を代表する世界的トップ・ダンサーの一人アダム・クーパーが特別出演している。

1984年ストライキに揺れるイングランド北部の炭鉱町。ぼくビリーは11歳、パパと兄さんは炭鉱労働者だが今はストライキ中で生活は苦しい。ママは去年の暮れに死んじゃって、物忘れがひどくなったお婆ちゃんの面倒は僕が見ている。僕はおじいちゃんが使っていたグローブでボクシングジムに通っていたのだが、そこにウィルキンソン婦人のバレエ教室が引越して来た。婦人に鍵を渡すようにコーチに言われたが、まごついているうちに僕は見よう見真似で踊り出すと婦人は僕にバレエ・シューズを貸してくれた。踊ることでこれまでにない開放感を覚えた僕はパパに内緒でバレエを習い始めた。だが狭い街、バレエをしているのはすぐにパパにバレてしまい、バレエ教室は禁じられてしまった。僕はこの不満をステップにぶつけた。そしてなんとウィルキンソンさんが、僕にニューカスルで行われるロンドンで有名なロイヤル・バレエ学校のオーディションを受けろと無料で個人レッスンをしてくれる。でもオーディション当日に炭鉱労働者と警官隊が衝突して兄さんが逮捕されれてしまった。クリスマスが来てもストは続き、生活はますます苦しくなっていた。そしてまたもやパパに踊っているのを見つかった。でも僕の踊りを見たパパは才能を認めてくれてオーディションを受けさせてくれるという。でもそれは仲間たちを裏切るスト破り行為だった。

「フル・モンティ」「ブラス」「マイ・ネーム・イズ・ジョー」と貧しいながらも頑張る人たちの生き様を描いた作品。
主役がダンサーを夢見る少年ということもあり、共感できるシーンも多くて、特に頑固親父がビリーの才能を認めてスト破りをして人生で初めて屈辱を味わうシーンなどジーンとくるシーンも多く、完成度も高い。最後のエピローグはサービスだけど女性には嬉しいシーンでしょう。

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2001年1月26日 by p-movie.com

ファイナル・デスティネーション

運命の分かれ道は最終目的地で ★★★★☆
[00/米] 1h38 1月20日より日比谷みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

原案:ジェフリー・レディック
監督・脚本:ジェームズ・ウォン
出演:デヴォン・サワ アリ・ラター ショーン・ウィリアム・スコット
配給:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:リベロ

全米の人気TV番組「X-ファイル」や「ミレニアム」シリーズのスタッフが今までに見たことのないスリラーを作り上げた。今回彼らが挑んだテーマは《予兆》。全米では7週連続トップ10入りをして既に次の企画も動き出している。出演は若手の俳優を起用していて「クール ドライ プレイス」のデヴォン・サワ、「TATARI」のアリ・ラター、「アメリカン・パイ」のショーン・ウイリアム・スコット、そして1カット出演で「キャンディーマン」のトニー・トッドが出演している。

修学旅行生を乗せ離陸を待つ旅客機の中でアレックスは離陸直後に旅客機が爆発する夢を見た。パニックになったアレックスは機を降ろされ、先生を含む7人が空港に取り残されてしまった。だが、機は離陸直後に彼らの目の前で大爆破。アレックスの悪夢は的中した。しかしアレックスを信じて降りたクレア以外の5人やFBIも悪夢など信じてくれなかった。九死に一生を得た7人だったが〔運命〕は彼らを許さなかった。そして死が仕掛ける罠で一人ずつ葬られていく。アレックスはその順番が飛行機の座席順なのがわかり、次のターゲットに会いに行くのだが時既に遅かった。そしてまたもやFBIに疑いの目をかけられてしまう。

さすが、「X-ファイル」のスタッフが製作しただけあって、ストーリーもテンポもよく出来ていて面白い。仕掛けられる死が巧みで凄く凝っているのに驚かされた。日常生活の中で、こんなにも死が近くに感じられたのは初めてかもしれない。さて、あなたはどんな死に方を選びますか?

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2001年1月22日 by p-movie.com

バーティカル・リミット

史上最悪の壮絶な救出劇 ★★★★☆
[00/米] 2h04 12月9日より丸の内ルーブルほか松竹・東急系にて日米同時公開中

製作・監督:マーティン・キャンベル
出演:クリス・オドネル ロビン・タニー ビル・パクストン スコット・グレン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:トライアル

世界第二位の高峰であるK2を舞台に、予想もつかない決死のレスキュー・アドベンチャーが開始される。コントロール不可能な大自然の猛威と戦いながら、かつて観たこともないド迫力の映像で描くノンストップエンタテイメント山岳アクション。主人公の兄妹に「バチェラー」のクリス・オドネルに、「エンド・オブ・デイズ」のロビン・タニー。ほか「マイティー・ジョー」のビル・パクストン、「バック・ドラフト」のスコット・グレン、「007/ゴールデン・アイ」のイザベラ・スコルプコ。監督は「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル。

3年前のロック・クライミング中に巻き添えを食い、父親を亡くしたピーターとアニーの兄妹。現在、ピーターはネイチャー・フォトグラファーに、アニーは父親の跡を継いで登山家になっていた。アニーは父親が登頂出来なかったK2に挑もうとしていた。そこへピーターが立ち寄り久しぶりに顔を合わせる二人。そしてアニーほか4名の登頂隊はK2目指して出発するが、気象分析スタッフの観測ミスにより天候が急変、そして雪崩が起こる。 1人が犠牲になるが、偶然にもクレパスに落ち難を逃れるが巨大な岩に入り口を塞がれてしまった。3人の無事を確認したベース・キャンプは、岩を吹き飛ばすニトログリセリンを持ってピーターを入れた6人が3組に分かれて救出に向かう。タイム・リミットは22時間。命知らずの勇者によって想像を絶する作戦が開始された。

予告を見たときは「クリフ・ハンガー」のようにかっこいいアクション映画だと思いきや、これが手に汗握るスリルの連続で一時も気が抜けない。映画の中盤からニトログリセリンが、あることがきっかけで爆発することが分かり、しかもこれの威力がデカくて更にハラハラさせられ、セットバレバレのクレパスシーンにイライラさせられる。この作品では雪崩を起こすために頂上に爆弾を仕掛けて本物を撮影している。

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2001年1月15日 by p-movie.com

ただいま

いつもあなたのことを思ってました。 ★★★☆☆
[99/中・伊] 1h29 12月30日よりテアトル池袋にて正月感涙公開中

監督:チャン・ユアン
製作:チャン・ユアン
脚本:ユー・ヒュア ニン・ダイ ジュウ・ウェン
出演:リウ・リン リー・ビンビン リー・イェッピン リアン・ソン
配給:K2エンタテイメント
宣伝:K2エンタテイメント

「クレイジー・イングリッシュ」のチャン・ユアン監督が、家族愛をテーマに描いたヒューマン・ドラマ。「あの子を探して」とともに、99年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)受賞と中国映画のワン・ツー・フィニッシュを飾っている。出演は日本での登場がこれが初だが中国では映画出演が続いているリウ・リンに「赤い薔薇 白い薔薇」のリー・ビンビン。ほかは現実感を出そうと全て映画初出演者で固めている。脚本のひとりニン・ダイは監督の奥様。

16 歳のときに些細な事で血の繋がらない姉を殺してしまったタウ・ランは、17年の禁固刑に服していた。模範囚として特別に仮釈放を許されたタウ・ランであったが、彼女は気が重かった。家族へ手紙を出しても返事が来なかったからである。案の定、家族の迎えがなかったタウ・ランは駅で途方に暮れていると、出身地が同じだった私立刑務所主任のシャオジェと会う。彼女はタウ・ランを故郷まで送り届けることにするが、だがタウ・ランが少女時代に住んでいた家は無くなっていた。タウ・ランは家族との再会を果たして両親と和解することが出来るのだろうか。

今まで社会派の問題作や過激なドキュメンタリー作品などで国内上映禁止処分を受けたりと何かと話題だったチャン・ユアン監督とは思えない、ほのぼのとした作品。だが、残念なのがタウ・ランが服役していたシーンが、ほんのちょっとしかなかった事、この辺が中国映画と韓国映画の違うところだろうか。もう少し服役シーンでの説明があれば、タウ・ランへの感情移入がもっと早くできたと思うのだけど。資料を読んでみるとこの作品が、中国刑務所内部にカメラが入ることを政府に許された最初だという事でこれがまだ限界だったのだろうか。
でも今回の正月映画の中では、しみじみと感涙できる作品です。

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2001年1月8日 by p-movie.com

ベニスで恋して

人生楽しまなくちゃねぇ ロザルバ! ★★★★☆
[00/イタリア・スイス] 1h55 12月23日よりシャンテシネにてロードショー

監督:シルヴィオ・ソルディーニ
製作:ダニエレ・マッジョーニ
出演:リーチャ・マリエッタ  ブルーノ・ガンツ ジュゼッペ・バッティストン
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:リベロ・DML フィルムズ

映画「ベニスで恋して」は、2000年イタリア・アカデミー賞(ダヴィッド・デイ・ドナッテロ賞)で作品、監督、脚本など9部門!で最優秀賞を独占。イタリアで2000年最も愛されたラブストーリーです。
監督、脚本のシルヴィオ・ソルディーニは、日本初登場。90年の長編映画デビュー以来心理劇をとり続けてきた彼が今回は一転してラブコメに挑戦。古きよき時代の名画のようにハートフルかつ、日常生活の些事を愛情と洞察力をもって映す演出力に多くの賞賛が寄せられ、イタリアの映画賞を総なめにしたのです。主演のロザリバにはリーチャ・マリエッタ。舞台、映画で活躍する人気女優、本作のチャーミングな演技で多くの映画賞に輝く。彼女と恋に落ちるフェルナンドには、「ベルリン・天使の詩」「永遠と1日」の名優ブルーノ・ガンツが大人のおとぎ話に深いリアリティをあたえています。

陽気な主婦ロザルバ。夫は口うるさいし、思春期の息子は扱いづらいが、イタリア中東部の町、ペスカーラで平穏な日々を送っています。
ところがバス旅行の途中でトラブル続出、家族とはぐれ、ひょんな思いつきで憧れの街ベニスへ。まぁいいや!ってわけで家族には「休暇を楽しみます!」と手紙を出して自由を満喫。久しぶりのお洒落、おいしい食事、花屋でのバイト。大好きだったアコーディオンを弾いたり、といった毎日を過ごしているうちに結婚して錆び付いていた心が動き出し、よろこびを隠しきれない! そんな中でフェルナンドに出会ってしまう彼女。恋?でも結婚してるし? 何なのこの感情は?さてさてバカンスはいつか終わるモノ! どうなるんでしょうこの2人・・・。

最初は「あー、おばさんね。40半ばって感じか」と冷静に見ていた私もそのうちに「何か可愛いじゃんこの女!」なんて思う始末。確かにチャーミングな演技はいいねー。個人的にも抱きしめたくなっちゃた。年齢に関係なく”ときめく心”を持つことで人生がいかに豊かにすばらしいものとなって行くかを、ユーモアと切なさを絶妙にブレンドして描いた作品です。見終わって心がウキウキする楽しい作品。見逃してはいけませんよ。

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カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2000年12月23日 by p-movie.com