友へ チング

韓国で社会現象を巻き起こした衝撃の感動作 ★★★☆☆
[01/韓]1h58 4月6日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

製作:ヒョン・キョンリム チョ・ウォンジャン
監督:クァク・キョンテク
脚本:クァク・キョンテク
出演:ユ・オソン チャン・ドンゴン ソ・テファ チョン・ウンテク キム・ボギョン
配給:東宝東和
宣伝:シネカノン

[胸を打つトゥルーストーリー:Friend 友人 R-15]
韓国映画史上のあらゆる興行記録を塗り替え、約4人に1人が観たというとてつもない社会現象にまでなっていった話題作がいよいよ日本公開。出演は「アタック・ザ・ガス・ステーション」のユ・オソン、仲村トオルと共演した「2009ロスト・メモリーズ」が控えているチャン・ドンゴン、「飛天舞」(公開予定)のソ・テファ。監督は本作が3本目のクァク・キョンテク。

ジュンソク、ドンス、サンテク、ジュンホの4人は釜山で一緒に遊びまわっていた幼なじみ。別々の中学に進んだ4人だったが、再び高校で顔を合わせ4人で一緒につるむようになる。しかし父親の職業のことで教師から侮辱されたジュンソクとドンスは学校に来なくなる。ジュンソクの父親は有名なヤクザ、一方のドンスは貧しい葬儀屋で父親の職業に劣等感を抱いていた。ある日、4人は映画館で他の高校の学生と大立ち回りを演じ、ジュンソクとドンスの二人は退学にされてしまう。数年後、平凡な家庭で育ったサンテクは、ジュンホと共に大学生になっていた。一方、ジュンソクは父親の死により暴力団のナンバー2になり、ドンスはジュンソクと対立する暴力団に入っていた。そして、血で血を洗う派閥抗争が始まった。

前半は、セピアがかった映像による四人の男友達の成長物語。そして後半は、そのうちの二人がヤクザになって対立する悲劇となる。監督が自らの体験を元にシナリオを執筆した自伝的作品で、劇中の登場人物には実在のモデルがいるそう。特に主役のジュンソクのモデルとなった人物は監督の友人で現在も服役中という。R-15指定なので、てっきり暴力描写の強い「仁義なき戦い」のような展開を期待していたのだが、ラストは香港映画のお株を奪う男の友情を前面に押し出し、ちょっと予想外。『韓国版スタンド・バイ・ミー』と呼ばれるのが分かる気がする。

オフィシャルサイト: http://www.chingu.jp/

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カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2002年4月5日 by p-movie.com

ブラックホーク・ダウン

死者だけが戦争の終りを見た ★★★★☆
[01/米]2h25 3月30日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

製作:ジェリー・ブラッカイマー、リドリー・スコット
原作:マーク・ボウデン「強襲部隊」(早川書房)
監督:リドリー・スコット
脚本:ケン・ノーラン
出演:ジョシュ・ハートネット ユアン・マクレガー トム・サイズモア エリック・バナ サム・シェパード
配給:東宝東和
宣伝:レオ・エンタープライズ

[衝撃の戦争スペクタクル:Black Hawk Down]
1993年10月3日に東アフリカのソマリアで起こった地獄絵図を真実だけ描き、本年度アカデミー賞の編集賞&音響賞を受賞した衝撃の戦争スペクタクル。出演は「パール・ハーバー」のジョシュ・ハートネット、「スター・ウォーズエピソード2/クローンの攻撃」のユアン・マクレガー、「プライベート・ライアン」のトム・サイズモア。「アルマゲドン」のウィリアム・フィシュナー、「超人ハルク」が控えるエリック・バナ、「ロード・オブ・ザ・リング」のオーランド・ブルーム、「パトリオット」のジェイソン・アイザックス、「ソードフィッシュ」のサム・シェパード。監督は「ハンニバル」「グラディエーター」のリドリー・スコット。

1993年10月3日。ソマリアの首都モガディシオのダウンタウンに、100名の米軍特殊部隊の兵士たちが舞い降りた。彼らの任務は、現地の独裁者アイティード将軍の副官2名を捕らえること。当初、作戦は1時間足らずで終了するはすだった。しかし、2機のブラックホーク・ヘリが撃墜されたことから、兵士たちの運命は一変。民兵の集中攻撃にさらされた彼らには、付近の建物に陣取って応戦する以外、できることは何もなくなってしまう。夜が深まりゆくなか、断続的な攻撃を浴びる彼らの前にようやく脱出の道が開けたのは、それからさらに12時間後のことだった……。

この作品は壮絶な市街戦の模様を、生々しい体感映像で再現したドキュメンタリータッチの作品。そこには「プライベイト・ライアン」のヒロイズムも、「パール・ハーバー」のロマンスもない。ここまでくると主役は俳優でなく、スコット監督が描く戦争の映像ビジュアルになってくる。それなのにアカデミー賞の撮影賞を「ロード・オブ・ザ・リング」になんてあげちゃうんだから。

オフィシャルサイト: http://bhd.eigafan.com/

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年4月1日 by p-movie.com

とらばいゆ

“勝負”が彼女たちの仕事 ★★★★☆
[01/日]1h58 3月23日よりテアトル新宿ほか全国順次公開

製作:武藤起一
監督:大谷健太郎
脚本:大谷健太郎
出演:瀬戸朝香 市川実日子 塚本晋也 村上淳 山口美也子 大杉漣 鈴木一真
配給:ザナドゥー/アミューズピクチャーズ
宣伝:ザナドゥー

[女流棋士難関ドラマ:A WOMA'S WORK Travail]
1999年に「アベック モン マリ」で、若者たちの圧倒的な支持を受けた大谷健太郎監督の第二作目は、またもや2組のカップルが繰り広げるマシンガントーク・コメディー。出演は女優棋士姉妹に「バレット・オブ・ラブ」の瀬戸朝香&フジテレビ・キャンペーンガールの市川実日子、姉の夫に塚本晋也、妹の恋人に村上淳、前作の主要キャストだった大杉 漣は、姉妹の将棋師匠役で登場。

女流棋士の麻美は、サラリーマンの夫・一哉と暮らしているが、このところ対局で負けつづけスランプ状態に。負けると晩飯を作らない妻に、最近は話すと喧嘩ばかり。麻美の妹の理奈には売れないミュージシャンの弘樹という恋人がいて同棲中。しかし恋人に家事を全て任せ、自分は元カレと遊んでいた事がバレて険悪な状態に。互いに維持の張り合いでグシャグシャに縺れた糸は更に絡まる。遂に麻美は次の対局に負けてランク落ちしたら離婚すると言い出す。しかも相手は理奈だった。一方、一哉は海外転勤を麻美に言えずに悩んでいた。

女流棋士の中倉彰子&宏美姉妹をヒントに、はじめて「女流棋士」を題材にした作品。仕事と恋愛のバランスに迷う2組のカップルの姿を、独特のセンスとユーモアで描く。前作の「アベック モン マリ」の2組に続いて、今回のカップルもハイテンションな演技で楽しませるなかで、瀬戸朝香だけが加わらずに、いつものちょっと生意気なキャラで、この役にはピッタリ。ひとりで芋けんぴをボリボリ食べるシーンには笑える。この2作で監督は、早くも大谷ワールドを作り上げた。

オフィシャルサイト: http://www.2002travail.net/

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カテゴリー: 日本 | 映画レビュー

2002年3月25日 by p-movie.com

聖石傳説

台湾版「ロード・オブ・ザ・リング」? ★★★☆☆
[00/台]1h36 3月16日より新宿シネマスクエアとうきゅうほかにてロードショー

製作:黄 文擇
監督:黄 強華
脚本:黄 強華
声出演:黄 文擇
声出演:さとう珠緒 原口あきまさ 石橋蓮司 内海賢二
配給:バンダイビジュアル/ メディアボックス
宣伝:ビー・ウイング

[SFハイパー・マリオネット劇:LEGEND OF THE SACRED STONE(吹き替え版あり)]
2月22日に、TVシリーズが発売された台湾のSFハイパー・マリオネット劇の映画版。2000年の東京国際ファンタスティック映画祭では、デジタルプロジェクタでの120分が上映されたが、今回は映画祭バージョンとは異なる96分もの。

武勇の誉れが高い〈素還真〉は、剣の3達人〈葉小叙〉〈剣君〉〈乱世狂刀〉を呼び集めて、武術の世界に災いをもたらす〈魔魁〉を捕らえて投獄した。これで、武術の世界は平和が訪れるものと誰もが思っていた。 しかし、長い間“天問石”という不思議な石の行方を探して様々な悪事を働いていた異星人の〈非善類〉が、〈魔魁〉を獄中から救い出し、その上“天問石”まで手に入れることになった。〈魔魁〉の脱獄を知った〈素還真〉は、義弟の〈青陽子〉と共に〈非善類〉の目的を調査し始める。彼らは、道中で〈剣如水〉という美しい娘と〈傲笑紅塵〉に出会った。何と、彼らも“天問石”を探しているという。彼らは語る。「2つの“天間石”を手に入れらば強大な力を得ることが出来る…」と言うのだが・・・。

台湾の伝統芸能だった人形芝居が、1969年に「雲州大儒教」としてテレビ放送され大ヒット。一旦は、人気が下火になったが、90年代に入りケーブルTVやレンタル・ビデオにより新たな世代にブレイク。小説・玩具・ゲーム・写真集・インターネット・フィギュアとマルチメディアへと発展している。既に海外でも上映されていて、日本はバンダイビジュアルが仕掛けている。映像は、ワイヤー・アクションもビックリのスピーディーさで圧倒。しかもマリオネットは血まで流すという凝り具合。今の時代に受けたのも分かるような気がする。でも、吹き替え版はちょっと調子に乗りすぎ。

オフィシャルサイト: http://emotion.bandai.co.jp/seiseki/

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2002年3月16日 by p-movie.com

ヒューマンネイチュア

みんな自然に帰ろうよ ★★★★☆
[01/米・仏] 1h36 3月9日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー

製作:スパイク・ジョーンズ チャーリー・カウフマン アンソニー・ブレグマン テッド・ホープ
監督:ミシェル・ゴンドリ
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:パトリシア・アークエット リス・エヴァンス ティム・ロビンス ミランダ・オットー
配給:アスミック・エース エンタテインメント
宣伝:アスミック・エース

[哲学的風刺コメディー:Human Nature]
「マルコヴィッチの穴」で話題をかっさらった脚本家のチャーリー・カウフマンの2作目。今回も奇想天外なコメディーだ。主演は「トゥルー・ロマンス」のパトリシア・アークエット、「ノッティングヒルの恋人」のリス・エヴァンス、「監視 サベイランス」のティム・ロビンスの3人、ほか「ホワット・ライズ・ビニース」のミランダ・オットー、「ジャッキー・ブラウン」のロバート・フォスター、「あなたに降る夢」のロジー・ペレス。監督はミュージックビデオ&CM業界で活躍していたミシェル・ゴンドリ。

小さな頃からホルモンの病気で全身が毛だらけだが美しい動物学者のリラは、大自然に心を癒されて森に住み本を執筆してベスト・セラーに。小さい頃からの躾で強迫観念に取りつかれれ、ネズミにテーブル・マナーを教えているネイサン博士と恋に落ちた。ある日、二人は森で精神の異常な父親に野生で育てられた野生児と遭遇。パフと名付けられたサル男は、ネイサンの研究所でテーブル・マナーを躾られる。だが、アシスタントにネイサンを寝取られたリラは、紳士にまで成長したパフを自然に帰し、彼の自由を守ろうとする。

「マルコヴィッチの穴」と同じく奇妙な恋愛の三角関係かと思いきや、今回は四角関係。「ターザン」や「北京原人」を連想させるが、自然も文化も理想だとしている文明社会の気まぐれさや人間が抱えるコンプレックスを味付けして、またまたシビレル作品に仕上がった。なんといってもリス・エヴァンスとパトリシア・アークエット の服を脱いでの体を張った演技は驚き。有名スターもスパイク・ジョーンズやチャーリー・カウフマンと関わってしまうと、とんでもない道化者になってしまう。恐るべし。

オフィシャルサイト: http://www.nifty.ne.jp/forum/fcinema/index.htm

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2002年3月11日 by p-movie.com