ミスティック・リバー

衝撃的な悲劇が、心の闇を炙り出す ★★★★☆
[03/米]2h18 1月10日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー

[製作]ロバート・ローレンツ ジュディー・G・ホイト クリント・イーストウッド
[原作]デニス・ルヘイン(ハヤカワ文庫刊)
[監督]クリント・イーストウッド
[脚本]ブライアン・ヘルゲランド
[出演]ショーン・ペン ティム・ロビンス ケビン・ベーコン ローレンス・フィッシュバーン ローラ・リニー
[配給]ワーナー・ブラザース
[宣伝]レオ・エンタープライズ

奇跡のアンサンブル・ドラマ:Mystic River 全米公開2003年10月10日 【PG-12】

デニス・ルヘイン原作のベストセラーを、クリント・イーストウッドが24作目の監督作品に選んだ作品。出演は「アイ・アム・サム」のショーン・ペン、「ヒューマンネイチュア」のティム・ロビンス、「コール」のケビン・ベーコン、「マトリックス」シリーズのローレンス・フィッシュバーン、「目撃」のローラ・リニー。

ジミー(ショーン・ペン)、デイブ(ティム・ロビンス)、ショーン(ケビン・ベーコン)の3人は、ボストンのダウンタウンに近いイーストバッキンガム地区で少年時代をともに過ごした幼なじみだ。11歳のある日、いつものように路上で遊んでいた3人に、警官を思わせる男が近づいてきた。男は、道路にいたずらをしていた3人を叱りつけると、デイブだけを車に乗せて走り去った。デイブが戻ってきたのはそれから4日後のこと。誘拐され、監禁された4日間。そのあいだにデイブの身に何が起こったのかは、語られなくてもわかった…。その日を境に、彼らの少年時代にピリオドが打たれ、3人は離れ離れになっていった。25年後に起きた殺人事件。それは、過去の出来事を呼び戻す、さらなる悲劇の幕開けとなった。無残な姿で殺されていたのは、19歳になるジミーの最愛の娘。今は刑事となったショーンが、相棒のホワイティー(ローレンス・フィッシュバーン)とともに事件の捜査にあたることになり、その捜査線上に、なんとデイブが容疑者として浮かび上がってきたのだ。殺された娘の父親と、刑事、そして容疑者。かつての幼なじみが果たしたあまりにも過酷な再会になった。

「ゴシカ」に変わって公開が、急遽決まった作品。今年はアカデミー賞が2月に早まり、候補作品の公開がその前に集中している。作品は、アカデミー賞に名を連ねるメンバーだけに、心に痛いほど突き刺さるほど見応えあるドラマ。見終わった後は、かなりヘコムかも。そして、チラシのキャッチコピーに「スタンドバイ・ミー」を持ち出すのは、どうかなとも思う。同じ日に公開の「半落ち」といい、やるせない気持ちになる作品で今年の公開はスタートです。

オフィシャルサイト:http://mysticrivermovie.warnerbros.com/ (英語版)
          http://www.warnerbros.co.jp/mysticriver/ (日本語版)

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2004年1月9日 by p-movie.com

ミッション・クレオパトラ

エンタテイメント・ルネッサンス ★★★☆☆
[02/仏]1h48 12月27日より六本木ほか全国ヴァージンシネマズにてロードショー

[製作]クロード・ベリ
[監督]アラン・シャバ
[原作]ルネ・ゴッシニー アルベール・ユデルゾ
[脚本]アラン・シャバ
[出演]モニカ・ベルッチ ジェラール・ドパルデュー クリスチャン・クラヴィエ ジャメル・ドゥブーズ
[配給]ギャガ・コミュニケーションズ
[宣伝]ギャガ宣伝サウスグループ×アニープラネッド

[マジカル・パワームービー:Asterix & Obelix : Mission Cleopatra]

1999年に、フランス横浜映画祭のみで上映された「アステリックスとオベリックス」の続編。昨年の東京ファンタで、上映されている。出演は、前作に続いて登場のジェラール・ドパルデュー&クリスチャン・クラヴィエ、「ティアーズ・オブ・ザ・サン」のモニカ・ベルッチ、「アメリ」のジャメル・ドゥブーズ。監督は、出演も兼ねているアラン・シャバ。

紀元前52年。エジプト女王クレオパトラは、生意気なローマ皇帝シーザーに対してある賭けをする。目的は、エジプトの民が地球で最も偉大であることを認めさせるため。賭けの内容は…たった90日間でシーザーのために豪華絢爛の宮殿を建てること!かくして、納期の守れない前衛建築家と不思議な力を持つ 2人のガリア人「アステリックスとオベリックス」による、壮絶な建築の旅が始まった。

フランスでは、テーマパークがあるほど有名なコミックの映画化で、4人に1人が見たという2002年度No.1作品。でも日本では知られてないし、前作がビデオも出てないのが致命的。史上最大のバカバカしいフレンチ・ギャグ満載だが、字幕が噛み合ってないのか外してる箇所も目立つし、無駄遣いなCGも目立つ。 TVのCMが、”トリビアの泉”のパロディーというとこから、ちょっと寒い。

オフィシャルサイト:http://www.gaga.ne.jp/cleopatre/

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カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2003年12月29日 by p-movie.com

最後の恋,初めての恋

永遠の愛を信じたいと願う恋人たちへ ★★★☆☆
[03/日・中]1h58 12月20日よりシネスイッチ銀座&シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開

[製作]牛山拓二
[監督]当摩寿史
[脚本]当摩寿史 長津晴子 山村祐二
[出演]渡部篤郎 シュー・ジンレイ ドン・ジェ チェン・ボーリン 松岡俊介 津田寛治 筧利夫 石橋凌
[配給]松竹
[宣伝]ムービーアイ・エンタテインメント

[涙と感動のラブ・ストーリー:最后的愛 最初的愛]

上海を舞台にオールロケーションで製作された日中合作の感動ラブストーリー。出演者は、「大河のー敵」の渡部篤郎、「スパイシー・ラブスープ」のシュー・ジンレイ、「至福の時」の ドン・ジェ、「藍色夏恋」のチェン・ボーリン、「白痴」の松岡俊介、「Is-A」の津田寛治、「命」の筧利夫、「AIKI」の石橋凌と、日・中・台から集められた。監督は「うつつ」の当摩寿史。

2003年の上海。日本の自動車メーカー、イムラ自動車の東京本社から上海支社に転任してきた早瀬高志には、辛い過去があった。婚約者が早瀬の親友の滝本の車に同乗中に事故死したのだ。あれから半年、愛と友情に同時に裏切られた早瀬の傷口は、相変わらず無残に開いたままだった。ホテルで睡眠薬を飲み過ぎた早瀬は、フロント係のミンに助けられる。それが二人の初めての出会いだった。会社から、中国語研修を受けるように命じられた早瀬は、任された上海大学の学生リンと出会う。リンの招待で家に招かれた早瀬は、ミンと会う。なんと二人は姉妹だった。明日への希望に満ち溢れた上海の街が、硬く凍りついていた早瀬の心を溶かし始める。

人と人との触れ合いが傷ついた魂を再生させ、そこで生まれた真実の恋が、愛という永遠に代わる過程を慈しむように描いた物語。死をも超えて行き続ける愛の存在を、もう一度信じてみようという。なんとも言いようがない物語であるのだけれどもね。でも、こういうキャラクターを得意としている渡部篤郎には、ピッタリの作品ではある。製作したムービーアイ・エンタテインメントは、これからも日中合作映画を年に 1本のペースで製作していくそう。東京国際で、2本の作品(1本は監督も兼任)が上映されたシュー・ジンレイは、現代中国4大女優の一人。ちなみに、あとの3人はチャン・ツィイー、「少林サッカー」のビッキー・チャオ、「中国のお針子」のジョウ・シュンです。

オフィシャルサイト:http://www.movie-eye.com/saigonokoi/index.html

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カテゴリー: アジア | 日本 | 映画レビュー

2003年12月22日 by p-movie.com

ジョゼと虎と魚たち

不思議で切ない恋愛映画 ★★★☆☆
[03/日]1h56 12月13日よりシネクイントほか全国順次ロードショー【PG-12】

[原作]田辺聖子(角川文庫)
[監督]犬童一心
[脚本]渡辺あや
[出演]池脇千鶴 妻夫木聡 上野樹里 新井浩文 SABU 荒川良々 佐山佐吉
[配給]アスミック・エース
[宣伝]アスミック・エース

田辺聖子の同名小説を「金髪の草原」の犬童一心監督が、映画化。出演は「きょうのできごと」の池脇千鶴&妻夫木聡、「チルソクの夏」の上野樹里、「さよなら、クロ」の新井浩文、最近は監督の方が本職の SABU、「恋する幼虫」の荒川良々、「キル・ビル」の佐山佐吉。

恒夫は麻雀屋でアルバイトする大学生。最近、麻雀屋で話題になっていることがあった。それは近所に出没する婆さんのこと。婆さんはいつも乳母車を押しながら道を歩いていると言う。ある日、恒夫が麻雀屋のマスターに頼まれて、犬の散歩をさせていると、坂道を走ってきた乳母車と遭遇。婆さんに言われて乳母車の中を覗くと、そこには包丁を振り回す少女がいた。それが、恒夫と、ジョゼと名乗る少女との出会いだった…。婆さんは、脚が不自由で歩けない孫のくみ子を乳母車で散歩に連れ歩いていたのだった。恒夫は御礼に振舞われた朝食を食べさせてもらいながら、くみ子の不思議な性格に惹かれる。くみ子は、フランソワーズ・サガンの小説から取った名前ジョゼを自分に名付けて、恒夫には常にジョゼと呼ばせる不思議な女の子だった。恒夫は次第にジョゼに惹かれていく。

恒夫はジョゼの作る料理の美味しさにまず惚れていき、彼女の脚の障害にも戸惑う素振りすら見せずに婆さんが亡くなりジョゼがひとりになると同棲まで始めてしまう。そういう恒夫を笑顔ひとつで演じてしまう妻夫木の自然な演技。だが、やはりマイペースで元気で逞しいジョゼを体当たり演じている池脇の方が輝いている。本年度の賞関係は「座頭市」が総取りだろうが、空いている女優賞は池脇が持っていくかも。

オフィシャルサイト:http://jozeetora.com/

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カテゴリー: 日本 | 映画レビュー

2003年12月15日 by p-movie.com

ファインディング・ニモ

≪父と子の絆≫愛の物語 ★★★★☆
[03/米]1h41 12月6日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

[製作総指揮]ジョン・ラセター
[製作]グラハム・ウォルターズ
[監督]アンドリュー・スタントン リー・アンクリッチ
[脚本]アンドリュー・スタントン ボブ・ピーターソン デイヴィッド・レイノルズ
[声出演]アルバート・ブルックス エレン・デジュネレス アレクサンダー・グールド ウィレム・デフォー
[声出演]木梨憲武 室井滋
[配給]ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
[宣伝]メイジャー

[冒険ファンタジー:Finding Nemo 全米公開2003年5月30日 日本語吹替版あり]

ディズニー映画史上最高のオープニング成績を記録し、全米アニメーション映画の興行成績歴代No.1に輝いたファンタジー・アドベンチャー。監督はピクサー作品の全ての脚本を手掛け、「バグズ・ライフ」では共同監督を務めたアンドリュー・スタントン 。

オーストラリアのグレート・バリアリーフ400個もの卵の中から、たったひとつだけ悲劇を逃れた奇跡の命があった。妻が自分の命とひきかえにして守り抜いたこの子を、夫のマーリンは《二モ》と名づけ、固く心に誓う。だが、6歳になったニモが初めて学校に行く日に、事件は起こった。マーリンの目の前で、ニモはダイバーにさらわれてしまったのだ!《人間の世界》に連れさらわれた魚は、二度と海には戻れない。ましてや、この途方もなく広い海の中から息子を見つけ出すことなど、できるわけがない。だが、マーリンは諦めなかった。父の愛はきっと、どんな海にも負けない程に大きいのだから。ニモは、かつて奇跡に救われた大切な命。そして、奇跡はもう一度起こるかもしれない。亡き妻のような愛と勇気が、マーリンにあれば…。マーリンは、ニモの行方を知っているというドリーに出会い、彼女と共に旅に出る。愛するニモを探して、マーリンとドリーの大冒険が、今始まった。

「トイ・ストーリー」では、顔の動き、「モンスターズ・インク」では毛並みと、CGのおかしくない動きに挑戦しているピクサー社が、ついに一番難しいと言われてきた水の動きに挑戦。3年の歳月を掛けて、宝石のようなファンタジックな海の世界を作り上げた。それと困難を乗り越えるという過程で、子供に自由を与えることの大切さや、父の愛の深さをさりげなく教えているのもヒットの要因でしょう。健忘症のドリーのキャラクターは、メメントからのヒントだろうか?室井滋のキャラクターにはピッタリ。このシリーズのお楽しみになっている前作のキャラクター登場だが、今回はエンド・ロールにやって来る。

オフィシャルサイト:http://www.disney.co.jp/movies/nemo/

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2003年12月8日 by p-movie.com