アイアンマン

スパイダーマン、ハルク、X-MENでお馴染みのマーベル・コミック陣営から、1963年生まれの古典ヒーローが遅ればせながらスクリーン・デビュー。主人公トニー・スタークには稀代のお騒がせ俳優ロバート・ダウニーJr.が就任し、無骨なアクション&カッコ良いオヤジっぷりを存分に見せ付ける。原作ファンのみならず映画ファンをもうならせる一大エンターテインメント、いま発進!
 
080926_ironman.jpg巨大軍事産業CEOにして天才発明家のトニー・スターク(ロバート・Jr.)は、新兵器デモンストレーションのために訪れたアフガニスタンで謎の武装勢力に拉致され、命と引き替えに新兵器の製作を強いられる。しかし彼は敵の目を盗んでこしらえた即席のパワード・スーツで、決死の大脱出。部下のもとに奇跡的な生還を果たす。

アフガンでの体験は彼を豹変させた。自分の手がけた戦争兵器が終わりなき戦いを生み出しているジレンマに終止符を打つべく、軍需産業を永久凍結し、自らがヒーローとなって平和を守ることを誓うスターク。パワード・スーツは【マークⅠ】から【マークⅢ】にまで改良され、彼の天才的な頭脳はいま「アイアンマン」として新時代の幕開けを迎えようとしていた・・・。

1億ドルを超えればヒットと見なされる全米興業において3億ドル越えの数字を叩きだし、いまやマーベル・コミック陣営ではスパイダーマンに続くドル箱ヒーローとなったアイアンマン。

その魅力といえば、鉄人28号やロボコンを想わせるハリボテ感たっぷりの【マークⅠ】にはじまり、その後、【マークⅡ】【マークⅢ】と試作を重ねるごとに格段のしなやかさを獲得していく進化の過程にある。

銃弾をはじく鋼の身体。細やかに空圧調整するパーツ。猛スピードで空へ飛び出す瞬間の金属のしなり。この全てに、戦う以前に必要不可欠な”ロボット物のカタルシス”が余すとこなく詰まっている。

そして『ザスーラ』(2005)の子ども心を忘れない演出が印象的だったジョン・ファヴロー監督は、この革新的な映像に伴うVFXはもちろん、ときにはドキュメンタリーを想わせる大胆なカメラワークさえ用いながら、アイアンマンの無骨なアクションに肉薄していく。

また、このすべてを凌駕するダウニーJr.の飄々たる存在感ときたら・・・これはもう、ぜひ劇場で目撃していただきたい。

すでに様々な媒体で伝えられているように、エンドロール明けにはちょっとしたサプライズ・ゲストが待っている。『インクレディブル・ハルク』の最後にトニー・スタークが出演したのと同様、”サプライズな彼”(ハルクじゃないよ!)は今後のマーベル・コミックの映画戦略を占う意味でも重要な布石となることだろう。

今後、ヒーロー物はいよいよコラボレーションの時代に突入。正義の中にも協調、対立、混沌が生まれ、世界はますます複雑化していく。『アイアンマン』だけで驚いてはいけない。これはまだ序章に過ぎないのだ。

映画「アイアンマン」オフィシャルサイト
http://www.sonypictures.jp/movies/ironman/
装着せよ― 強き自分
9月27日(土)より日劇3ほか全国ロードショー
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【映画ライター】牛津厚信

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2008年9月26日 by p-movie.com