初恋のきた道

2000 年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞 ★★★★☆
[00/中国・米] 1h29 12月2日よりBunkamuraル・シマにてロードショー

原作・脚本:パオ・シー
監督:チャン・イーモウ
出演:チャン・ツィイー スン・ホンレイ チェン・ハオ チャオ・ユエリン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:樂 舎

「グリーン・デスティニー」でチョウ・ユンファやミッシェル・ヨーと激しい攻防戦を繰り広げたチャン・ツィイーの映画デビュー作は「グリーン~」とは好対照な愛らしく、とっても純粋な恋愛映画。「あの子を探して」のチャン・イーモウ監督に抜擢されたチャン・ツィイーは、第2のコン・リーと注目を集め、ベルリン映画祭で銀熊賞受賞の快挙となっている。

父の葬儀のために数年ぶりに故郷に帰ってきた息子は、母親が古いしきたり通りに葬式をあげたいと言って譲らないのに頭を痛めていた。病院から遺体を村まで運び、棺に掛ける布も自分で織るという。だが、村には老人と子供しかいなく担ぎ手がいないのである。父母の新婚当時の写真を手に取りながら息子は二人のなれそめを思い出す。それは村の語りぐさになった恋の物語であった。村をあげて校舎の建設が始まり、町から赴任してきた教師に一目惚れした18歳のディ(ツィイー)は、学校のそばの遠くの井戸に通ったり、建設に携わる村人の食事をどうにか教師に食べて貰おうと置き場所を工夫したり、子供達を家に送るところを待ち伏せしたりと努力する。そして遂に食事に誘ったディだったが、食事の日に教師は町に呼び戻されてしまった。ディは教師が帰ってくるのを教室を綺麗にしてひたすら待ち続け。彼が帰ってくると言う日に雪の降りしきる道で待ち続けるがなかなか戻ってこない。熱に浮かされたディは道ばたで倒れてしまう。(続きは劇場でどうぞ)

ストーリーは、すごくストレートなので溶け込みやすく感情移入するのはあっと言う間。特に一途な恋を実らせようとした人には、涙ボロボロものでしょう。そうでなくても教師が町に呼び戻されるのを追って一口でも食べて貰おうと餃子の入った椀を持って丘を走るシーンや雪の中を待ち続けるシーンや畳み掛けるラストの感動シーンまで説得力ある演出にチャン・イーモウここにありき。現代のシーンをモノクロにして、回想シーンをカラーにしたことでチャン・ツィイーも輝いてるしね。彼女はアクションシーンを披露したことでツイ・ハークのアクション映画に出演。ジャッキーも自分の作品に使いたがっているようだが、本人はアクション女優になるつもりはないらしい。

カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2000年12月1日 by p-movie.com

趣味の問題

あなたも味見係になる? ★★★☆☆
[00/仏] 1h30 11月18日より新宿シネマスクエアとうきゅうにてロードショー

原作:フィリップ・バラン
監督:ベルナール・ラップ
脚本:ベルナーレ・ラップ ジル・トラン
出演:ベルナール・ジロドー ジャン=ピエール・ロリ フロランス・トマサン
配給・宣伝:クレストインターナショナル

フランス映画祭横浜2000で上映された「趣味の問題」が早くも劇場公開される。監督は、テレンス・スタンプ主演の「私家版」で本が人を殺すという新しい心理サスペンスを仕上げたベルナール・ラップ。今回もいかにもフランスらしい、一味違った心理サスペンスを披露している。本作は、フランスコニャック国際ミステリー映画祭にてグランプリをはじめ賞を獲得している。

国際的な化粧品会社を経営している経済界の有力者フレデリックは三ツ星レストランも敬服させる美食家。全てに洗練された趣味を持ち、財産も権力も名誉も得て、まさに成功の頂点にいる。そんなフレデリックは、レストランで給仕をするニコラに出会う。的確な言葉で料理を表現するニコラを気に入ったフレデリックは彼を試食用の味見係にと多額の報酬を提示する。金持ちの道楽だと思ったニコラは軽い気持ちで受け入れた。フレデリックと共に行動して彼の嫌いなものが料理に含まれていないかを確かめたり、接客する相手に勧めるメニューを決めたりとニコラには有意義な仕事であったが、研修と称して別荘での泊り込みによる味のわかる舌を持つ訓練で、ニコラはフレデリックの嫌いな物を食べないことを命ぜられる。それは全ての趣味を共有するという完璧なもう一人の自分になる事を欲するというフレデリックの願望であった。そしてニコラに料理の試食だけではなく、ありとあらゆる味見をさせるようにエスカレートしていった。

何でも言葉にして表現しないと気がすまないフランスならではの作品。何の迷いも疑いもなく完璧なソックリサンと化していくニコラに何処までのめり込めるかでこの映画の見方が変わってくると思う。ミステリー作品というより、自分はブラックコメディーとして楽しめました。

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2000年11月20日 by p-movie.com

CHARLIE’S ANGELS

2000年最強にして最高のオバカ映画 ★★★★★
[00/米] 1h38 11月11日より日本劇場ほか東宝洋画系にてロードショー

製作:ドリュー・バリモア レナード・ゴールドマン ナンシー・ジュボネン
監督:McG(マックジー)
脚本:ライアン・ロウ エド・ソロモン ジョン・オーガスト
武術指導:ユエン・ウーピン
出演:ドリュー・バリモア キャメロン・ディアス ルーシー・リュー ビル・マーレー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:P2

1976 年にスタートし大ヒットした人気ドラマ、地上最強の美女たち!「チャーリーズ・エンジェル」が装いも新たにスクリーンに復活。謎のボス、チャーリーのもと、マネージャーのボスレーと一緒に、抜群の運動神経と数ヶ国語を操る知性にセクシーな魅力を武器に悪を追い詰めていくエンジェル達には、この映画を企画したドリュー・バリモアに熱いラブ・コールに応えたキャメロン・ディアスと「シャンハイ・ヌーン」「アリー・myラブ」でお馴染みのルーシー・リュー。この3人が肩の凝らない笑いとシャープなアクションの絶妙なバランスを披露すれば、ボスレー役のビル・マーレーが久々にコメディアンぶりを発揮している。ほかの出演者は「グリーン・マイル」で憎まれ役のサム・ロックエル、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の情けないお父さんを演じたクリスピン・グローバー、「ロッキー・ホラー・ショー」の怪人役ティム・カリー、「ドラッグ・ストアー・カウボーイ」の麻薬中毒の妻役ケリー・リンチ、「マイ・ドック・スキップ」のルーク・ウィルソンに、この映画でドリューと婚約したコメディアンのトム・グリーン。武術指導は「マトリックス」のアクション指導ユエン・ウーピンの弟ユエン・チョンヤンのチーム。そして監督はMcG。ってこの人誰? 謎のボス、チャーリーより気になるな~。

今回のエンジェルたちの指令は、誘拐された優秀なソフトプログラマーの救出とプログラマーが開発した音声追跡ソフトの奪回。このソフトは正確な声紋による固体識別機能を持っていて、その声の持ち主が地球上の何処に居ようと通信衛星を使って盗聴が可能になるもの。使い方を誤れば悲惨な結果になるヤバイ代物だ。長年のライバル社に捜査の的を絞ったエンジェル達は潜入捜査を決行し、無事にプログラマーの救出に成功したと思ったが、実はこれは巧妙に仕組まれた罠であった。果たしてエンジェルたちを利用した犯人の本当の目的とは何なのだろうか?

この作品、「007シリーズ」「M:I-2」「オースティン・パワーズ」とスパイ映画をかなり意識した作りになっている。タイトル前には 007張りのオープニングエピソードがあり、イーサン・ハントも真っ青の変装シーンで掴みはOK。そして何よりもキャラクターが、オースティン顔負けのかなりのオバカさ。この作品をやりたくて製作にも名を連ねるドリューは峰不二子のようにセクシーな魅力を振りまけば、キャメロンはさらに輪をかけてハイテンションキャラで応戦。一番笑えるのはマーレーも参加しての4人の変装コスプレシーンかな。そして戦えばメチャクチャつえーときたもんだ。特に3人でポーズを決めて戦うシーンは、最強トリオのジャッキー/ユン・ピョウ/サモ・ハンを思い出す。もちろん、「マトリックス」「ロミオ・マスト・ダイ」で使われたワイヤー・アクションや特殊効果映像の美味しいところを全部使っている。この映画の一番の成功は、上映時間をコンパクトにしたこと。最初から最後までテンションは高いし、途中のダレそうな台詞のシーンでもユーモアは忘れない。この映画こそ、ノンストップ・ジェットコースター・ムービーという名にふさわしい映画です。それにしても今年は「ベリー・バット・ウエディング」のキレタ演技、「マルコヴィッチの穴」の強烈キャラ、そしてこの作品と、キャメロン・ディアスにはやられっぱなしだったなー。

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2000年11月13日 by p-movie.com

グリーン・デスティニー

ヴァーチャル・カンフー・ラヴストーリー ★★★★☆
[00/米・中国] 2h00 11月3日より東劇ほか松竹・東急にてロードショー

原作:ワン・ドウルー
監督:アン・リー
武術監督:ユエン・ウーピン
出演:チョウ・ユンファ ミシェル・ヨー チャン・ツィイー チャン・チェン
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
宣伝:ポップ・プロモーション

1920 年代に上海の作家ワン・ドウルーが書いた5部作からなる武侠小説の第4部目を元にした物語を「恋人たちの食卓」「いつか晴れた日に」「アイス・ストーム」のアン・リー監督が映画化。出演は今や国際俳優になったチョウ・ユンファとミッシェル・ヨー。でも主役はチャン・イーモウが抜擢した「初恋のきた道」が 12月2日から公開されるチャン・ツィイー、「ブエノスアイレス」や「2046」で木村拓哉とも共演してる台湾の若手スターチャン・チェンがツィイーを愛する盗賊の頭を演じている。「マトリックス」で世界的に有名になった武術監督ユエン・ウーピンのワイヤーアクションが冴え渡り、最高のチェリストとして活躍しているヨーヨー・マのチェロ演奏が心地いい。ロケ地は広大な中国全土。

時代は19世紀初め、神秘の剣であるグリーン・デスティニー(碧名剣)をめぐり、運命と戦う二人の女性闘士の勇気と欺きや身分は違いながらも惹かれあう貴族の娘と盗賊の頭のロマンチックなドラマ。天地に響き渡る愛と戦いを壮大に描いた作品は、ウーピンによるワイヤーワークとアクロバティックな技闘アクションにより、時代劇カンフーとして有名な「チャイニーズ・ゴースト」や「ワンス・アポン」シリーズを遥かに超えた。特にユンファとツィイーが竹やぶを飛び回るシーンは笑ってしまうほど素晴らしい。正月前の穴埋め作品として出すには勿体無い作品です。

(気まぐれ飛行船)

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2000年11月5日 by p-movie.com

ペパーミント・キャンディー

甘酸っぱくて、かなりほろ苦味 ★★★★☆
[99/日本・韓国] 2h09 テアトル池袋&キネカ大森にて公開中

監督:イ・チャンドン
脚本:イ・チャンドン
出演:ソル・ギョング ムン・ソリ キム・ヨジン
配給・宣伝:アップリンク
提供:NHKエンタープライズ21

韓国と日本が共同で文化事業に取り組んだ記念すべき最初の映画。ある男の人生に起きた出来事の時間を20年間もさかのぼりながら描いていく。主演は「ディナーの後に」のソル・ギョング。監督はデビュー作、ハン・ソッキュ出演の「グリーン・フィッシュ」が11月4日からレイトショーされるイ・チャンドン。

1999 年春。鉄橋の上で自暴自棄になったヨンホの脳裏に過去の記憶がよみがえる。3日前、危篤状態にある初恋の相手にペパーミント・キャンディーの瓶を持って見舞いに行くヨンホ。その4年前、35歳のヨンホは事業で成功を収め忙しい毎日を送っている。だが妻は不倫中でヨンホも愛人と密会していた。その7年前、新婚の新婚時代。更に3年前、新米刑事のヨンホ。それから4年前の兵役に就いていた頃のヨンホ。そして20歳のときに過去を回想する鉄橋の高架下で初恋の相手に自分の将来を語たるヨンホへと記憶は戻っていく。

物語の主軸になっているのは主人公の初恋に韓国の政治情勢が、歴史的かつ社会的な力として及んでいるということ。それが物語の構成として主人公の変貌の様に現れている。「シュリ」の公開から韓国映画の日本公開が増えてきたが、似たような作品はなくジャンルは様々。ほかのアジア映画は国によって大体の特徴が見えてきたが、韓国だけはいまだに見えてこない。侮れないゾ韓国映画。

カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2000年10月30日 by p-movie.com