フィオナが恋していた頃
クイン三兄弟がおくるラブ・ストーリー ★★★★☆
[98/米] 2h01 12月28日より日比谷シャンテ・シネにてロードショー
共同製作総指揮:アイダン・デクラン・ポールのクイン三兄弟
監督・脚本:ポール・クイン
撮影:デクラン・クイン
出演:アイダン・クイン ジェームス・カーン モイヤ・ファレリー コルム・ミーニー スティヴン・レイ ジョン・キューザック
配給・宣伝:日本ヘラルド映画
提供:ポニーキャニオン/日本ヘラルド映画
「レジェンド・オブ・フォール」や「プラクティカル・マジック」に出演していたアイダン・クインが、ポールを監督に、デクランを撮影監督にして兄弟で製作したアイルランド版ロミオ&ジュリエット。共演には「恋するための3つのルール」のジェームス・カーン、「コン・エアー」のモイヤ・ファレリー&ジョン・キューザック、「スティル・クレイジー」のスティヴン・レイ。
年老いて床に伏せて母親のフィオナの実家に久々に戻って来た高校教師のキアレン(カーン)は、詩集と若き日の母親が若い青年に肩を抱かれて幸せそうに微笑んでいる写真を見つける。詩集には「誰よりも美しいフィオナへ。君を愛するキアレンより」と書かれていた。自分と同じ名前に疑問を憶えたキアレンは甥のジャックと母親が暮らしていたアイルランドへ旅立つ。村に着くと母の過去を知る老女に会い話を聞くことができる。そしてこの結末は母親のフィオナも知らないものだった。
映画のほとんどが、若い頃のフィオナと恋人キアレンの回想シーン。フィオナを演じているのは、アイルランドで活躍するこれがデビューのモイヤー・ファレリー。恋人のキアレンにはアイダン・クイン。アイダン・クインってどうも好きになれず、「ミュージック・オブ・ハート」でも彼がメリル・ストリープと別れてから面白くなっていたが、今回は村のウブな青年を演じ好感が持てました。兄弟が母親から聞いた話が元になっていて思い入れも深く、1930年代アイルランドの農村の悲恋は涙なくては見れない作品になっています。アジアもいいけどアイルランドも外せないね。
アメリカ, 映画レビュー
インビジブル
バーホー版透明人間 ★★★☆☆
[00/米] 1h52 10月14日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー
監督:ポール・バーホーベン
出演:ケビン・ベーコン エリザベス・シュー ジョシュ・ブローリン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:メイジャー
ポール・バーホーベンが今まで見た事のない全く新しいタイプの透明人間映画を作った。この最新VFXを駆使した透明人間に扮するのがケビン・ベーコン。映画ではほとんど本人は写ってはいないが透明人間のVFXでは映っている。ほか元ケビンの恋人で同じ研究員にエリザベス・シュー、シューの恋人で同じく研究員に「ミミック」のジョシュ・ブローリン。
国家最高機密に属するプロジェクトで透明化する血清を発明した7人の研究チームは巨大な地下施設に様様な実験動物を飼育して研究に没頭していた。そしてついに透明化したゴリラを元に戻すことに成功する。しかしチームリーダーのセバスチャン(ベーコン)は、この成果を国防省に報告せずに自らが人体実験の被験者になり透明化の実験をする事に。どうにか実験は成功するが、元に戻ることに失敗。透明のまま地下研究所に監禁されてしまったセバスチャンは苛立ちが募り、遂にとんでもない行動に出る。
TVスポットで見た人も多いだろうが実験で消えていく様が、理科の実験室の人体模型のように徐々に消えていくのが凄くリアル。これだけでもこの映画は成功と言えるのでは。実は出演者にオファーがあった時はまだこのVFX技術は出来てなかったとか。ケビン・ベーコンはこの撮影の為にかなり苦労した模様(詳しくはPREMIERE11月号の撮影日記に詳しく載ってます。でもネタバレがあるので鑑賞してからどうぞ)。映画の方はとてもよく出来ていてさすがバーホーベンと言いたいとこですが、どうもクライマックスはやりすぎである映画に似ているのが気になります。
アメリカ, 映画レビュー
X-メン
アメ・コミヒーロー、またも登場 ★★★☆☆
[00/米] 1h44 10月7日より日劇ほか東宝洋画系にてロードショー
監督:ブライン・シンガー
出演:ヒュー・ジャックマン パトリック・スチュワート イアン・マッケラン アンナ・パキン ファムケ・ヤンセン ハル・ベリー レイ・パーク ジェームズ・マーズデン レベッカ・ローミン=ステイモス
配給・宣伝:20世紀フォックス映画会社
創刊以来4億冊以上を売り上げ、過去17年間一貫してコミックス界に君臨し75ヶ国で販売されている「X-メン」がついに映画化された。突然変異によりその特殊能力ゆえに社会から追放されたミュータント達が善と悪に分かれ人類の存亡を賭けて壮絶な超能力バトルを繰り広げる。監督は「ユージュアル・サスペクツ」「ゴ-ルデンボーイ」のブライアン・シンガー。出演は善にパトリック・スチュワート、ヒュー・ジャックマン、アンナ・パキンほか、悪にイアン・マッケラン、レイ・パークほか。
DNA の突然変異により出現したミュータントを管理するために合衆国の議会は「ミュータント登録法案」の必要性を主張していた。そんな中で初老の老人で最強の能力を持つエグゼビア教授(スチュワート)は人類とミュータントとの共存に希望を願っていた。しかし、かつて仲間だったマグニート(マッケラン)はミュータントが地球の新たなる支配者になるべきだと信じていた。そして教授こと通称プロフェッサーXによって組織されたミュータント・チーム「X-メン」は一匹狼のローガン(ジャックマン)やサイクロップス(マーズデン)とストーム(ベリー)とともに、ミスティーク(レベッカ)にトード(レイ)とマグニートの部下で悪のミュータントと対決することになる。
登場するキャラクターは多いが、みな特徴があるので予備知識の必要はなし、ダースモールや「スリーピー・ホロウ」で首無し騎士のスタントをしていたレイ・パークが今回はカメレオン男のようなキャラでやっと素顔を公開している。アンナ・パキン扮するローグはこの映画で髪に白いメッシュが入り、このキャラだけは映画から原作に繋がっているそう。出演者はすでに続編の契約もしているので、パート2の製作に入るのも脚本次第だろう。
アメリカ, 映画レビュー
この胸のときめき
モルダー映画界へ転進 ★★★☆☆
[00/米] 1h56 9月30日より日比谷シャンテ・シネにてロードショー
監督・原案・脚本:ボニー・ハント
出演:デビッド・ドゥカブニー ミニー・ドライバー ジェームズ・ベルーシ
配給・宣伝:UIP
X- ファイルのモルダーでお馴染みのデビッド・ドゥカブにーがラブロマンスに挑戦。監督を務めるのは「グリーン・マイル」でトム・ハンクスの奥さんを演じていたボニー・ハントでドゥカブニーは「ベートーベン」で共演したのがきっかけでオファーされた。共演は「理想の結婚」のミニー・ドライバー。ハントはミニーの親友役で出演もしている。原題は冒頭でディーン・マーチンが歌うタイトル曲の「RETURN TO ME」。
動物学者の妻を交通事故で亡くした建築家のボブ(ドゥカブニー)は、妻の遺志を継いで動物園の新しいゴリラ館建設に全精力を注いでいたが、私生活は殺伐たるもの。そんなボブを見かねて、妻の友人が食事に誘い出し女性を連れてくるが全くボブはその気なし。しかし何故か店のウエイトレスのグレース(ドライバー) に何か不思議な親しさを感じた。そしてボブは店に忘れ物をしたのをきっかけにグレースと付き合い始める。しかしグレースは胸に大きな傷があり、ボブをなかなか受け入れることが出来ない。グレースは重い心臓病で助かる道は臓器移植しかなく、その心臓の提供者がボブの妻だったのだ。そのことを知ってしまったグレースはボブに真実を告げ、一人でイタリアに旅立ってしまう。
なんともオシャレなタイトルのラブコメだが、この作品は主人公を支えるわきのキャラクターがすごくいい味を出している。ドライバーの友人役ボニー・ハントとジェームズ・ベルーシ夫婦やイタリアでドライバーに優しく声をかけてくるウエイター。なかでもドライバーの祖父役と友人のおじいちゃん4人組が、二人の恋の後押しをしようとするのがなんとも微笑ましい。秋に公開のラブストーリーの中ではいちばんのお勧めです。
アメリカ, 映画レビュー
マルコヴィッチの穴
この素晴らしい体験を見逃すな!! ★★★★★
[99/米] 1h52 9月23日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー
脚本・製作総指揮:チャーリー・カウフマン
監督:スパイク・ジョーンズ
出演:ジョン・キューザック キャメロン・ディアス キャスリン・キーナー ジョン・マルコヴィッチ チャーリー・シーン
配給・宣伝:アスミック・エース
いや、驚いた。今まで数多くの映画を見ていたが、こんな奇想天外の面白い映画に出会うとは・・・。アカデミー賞にノミネートされた時から期待していたけど期待以上の作品に満足です。映画の中で役者が本人役で出演する作品はたまにあるけど、この作品はずば抜けていて最後の最後まで油断ができない作品です。こんな面白い作品を作った監督はCMやプロモビデオを数多く手がけていたスパイク・ジョーンズ。初監督作品にしてアカデミー賞監督賞にノミネートされ、役者としてもちょこちょこ出演していて「スリー・キングス」では最後に残念ながら死んじゃった人。ちなみに奥さんは「ヴァージン・スーサイズ」を監督したソフィア・コッポラ。出演は売れない人形使い師にジョン・キューザック、ペットショップに勤める妻にキャメロン・ディアス。この夫婦は、身なりも住んでる家もメチャクチャ汚い。この2人に絡んでくるのがアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたキャスリン・キーナーに忘れちゃいけないジョン・マルコヴィッチ。キューザックとマルコヴィッチは「コン・エアー」で共演済み。そしてチャーリー・シーンほかカメオ出演で数々のスターが出演している。こんな面白い脚本を書いたのがTVドラマの脚本を書いてきて、映画脚本家デビューでアカデミー賞にもノミネートされたチャーリー・カフマン。こういう映画にアカデミー賞を1つもあげないなんてアカデミー会員は頭が固すぎるぞ。(この映画は何もストーリーを知らないで見に行った方が面白いので紹介はさわりだけです。)
才能があるのに生かす場所がないクレイズ(キューザック)は、ペットショップに勤める妻ロッテ(ディアス)と2人暮らし。すでに10年に及ぶ夫婦生活にはお金も無ければ愛もなかった。クレイズは手先が器用な人求むの新聞広告を見て7と1/2階にある小さな会社に雇ってもらい、同じフロアーに勤めるマキシン(キーナー)に一目惚れするが彼女はクレイズに興味なし。そんなある日にクレイズは偶然に小さなドアを見つけて入ってみると、その穴はマルコヴィッチを 15分だけ体験できる穴だった。この驚くべき体験をクレイズはマキシンに話すと彼女はすぐに信用して、マルコヴィッチの穴を200ドルで体験できる会社を 2人で作り商売をしようと言った。
この映画の中で大笑いしたのが、やはりマルコヴィッチが自分で穴を体験するのとチンパンジーのトラウマ回想シーンですね。もし日本でやるとしたらマルコヴィッチの役は誰がいいですか? 考えてみると楽しいですよ。
(気まぐれ飛行船)
アメリカ, 映画レビュー