バーティカル・リミット
史上最悪の壮絶な救出劇 ★★★★☆
[00/米] 2h04 12月9日より丸の内ルーブルほか松竹・東急系にて日米同時公開中
製作・監督:マーティン・キャンベル
出演:クリス・オドネル ロビン・タニー ビル・パクストン スコット・グレン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:トライアル
世界第二位の高峰であるK2を舞台に、予想もつかない決死のレスキュー・アドベンチャーが開始される。コントロール不可能な大自然の猛威と戦いながら、かつて観たこともないド迫力の映像で描くノンストップエンタテイメント山岳アクション。主人公の兄妹に「バチェラー」のクリス・オドネルに、「エンド・オブ・デイズ」のロビン・タニー。ほか「マイティー・ジョー」のビル・パクストン、「バック・ドラフト」のスコット・グレン、「007/ゴールデン・アイ」のイザベラ・スコルプコ。監督は「マスク・オブ・ゾロ」のマーティン・キャンベル。
3年前のロック・クライミング中に巻き添えを食い、父親を亡くしたピーターとアニーの兄妹。現在、ピーターはネイチャー・フォトグラファーに、アニーは父親の跡を継いで登山家になっていた。アニーは父親が登頂出来なかったK2に挑もうとしていた。そこへピーターが立ち寄り久しぶりに顔を合わせる二人。そしてアニーほか4名の登頂隊はK2目指して出発するが、気象分析スタッフの観測ミスにより天候が急変、そして雪崩が起こる。 1人が犠牲になるが、偶然にもクレパスに落ち難を逃れるが巨大な岩に入り口を塞がれてしまった。3人の無事を確認したベース・キャンプは、岩を吹き飛ばすニトログリセリンを持ってピーターを入れた6人が3組に分かれて救出に向かう。タイム・リミットは22時間。命知らずの勇者によって想像を絶する作戦が開始された。
予告を見たときは「クリフ・ハンガー」のようにかっこいいアクション映画だと思いきや、これが手に汗握るスリルの連続で一時も気が抜けない。映画の中盤からニトログリセリンが、あることがきっかけで爆発することが分かり、しかもこれの威力がデカくて更にハラハラさせられ、セットバレバレのクレパスシーンにイライラさせられる。この作品では雪崩を起こすために頂上に爆弾を仕掛けて本物を撮影している。
アメリカ, 映画レビュー
ただいま
いつもあなたのことを思ってました。 ★★★☆☆
[99/中・伊] 1h29 12月30日よりテアトル池袋にて正月感涙公開中
監督:チャン・ユアン
製作:チャン・ユアン
脚本:ユー・ヒュア ニン・ダイ ジュウ・ウェン
出演:リウ・リン リー・ビンビン リー・イェッピン リアン・ソン
配給:K2エンタテイメント
宣伝:K2エンタテイメント
「クレイジー・イングリッシュ」のチャン・ユアン監督が、家族愛をテーマに描いたヒューマン・ドラマ。「あの子を探して」とともに、99年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)受賞と中国映画のワン・ツー・フィニッシュを飾っている。出演は日本での登場がこれが初だが中国では映画出演が続いているリウ・リンに「赤い薔薇 白い薔薇」のリー・ビンビン。ほかは現実感を出そうと全て映画初出演者で固めている。脚本のひとりニン・ダイは監督の奥様。
16 歳のときに些細な事で血の繋がらない姉を殺してしまったタウ・ランは、17年の禁固刑に服していた。模範囚として特別に仮釈放を許されたタウ・ランであったが、彼女は気が重かった。家族へ手紙を出しても返事が来なかったからである。案の定、家族の迎えがなかったタウ・ランは駅で途方に暮れていると、出身地が同じだった私立刑務所主任のシャオジェと会う。彼女はタウ・ランを故郷まで送り届けることにするが、だがタウ・ランが少女時代に住んでいた家は無くなっていた。タウ・ランは家族との再会を果たして両親と和解することが出来るのだろうか。
今まで社会派の問題作や過激なドキュメンタリー作品などで国内上映禁止処分を受けたりと何かと話題だったチャン・ユアン監督とは思えない、ほのぼのとした作品。だが、残念なのがタウ・ランが服役していたシーンが、ほんのちょっとしかなかった事、この辺が中国映画と韓国映画の違うところだろうか。もう少し服役シーンでの説明があれば、タウ・ランへの感情移入がもっと早くできたと思うのだけど。資料を読んでみるとこの作品が、中国刑務所内部にカメラが入ることを政府に許された最初だという事でこれがまだ限界だったのだろうか。
でも今回の正月映画の中では、しみじみと感涙できる作品です。
アジア, ヨーロッパ, 映画レビュー
ベニスで恋して
人生楽しまなくちゃねぇ ロザルバ! ★★★★☆
[00/イタリア・スイス] 1h55 12月23日よりシャンテシネにてロードショー
監督:シルヴィオ・ソルディーニ
製作:ダニエレ・マッジョーニ
出演:リーチャ・マリエッタ ブルーノ・ガンツ ジュゼッペ・バッティストン
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:リベロ・DML フィルムズ
映画「ベニスで恋して」は、2000年イタリア・アカデミー賞(ダヴィッド・デイ・ドナッテロ賞)で作品、監督、脚本など9部門!で最優秀賞を独占。イタリアで2000年最も愛されたラブストーリーです。
監督、脚本のシルヴィオ・ソルディーニは、日本初登場。90年の長編映画デビュー以来心理劇をとり続けてきた彼が今回は一転してラブコメに挑戦。古きよき時代の名画のようにハートフルかつ、日常生活の些事を愛情と洞察力をもって映す演出力に多くの賞賛が寄せられ、イタリアの映画賞を総なめにしたのです。主演のロザリバにはリーチャ・マリエッタ。舞台、映画で活躍する人気女優、本作のチャーミングな演技で多くの映画賞に輝く。彼女と恋に落ちるフェルナンドには、「ベルリン・天使の詩」「永遠と1日」の名優ブルーノ・ガンツが大人のおとぎ話に深いリアリティをあたえています。
陽気な主婦ロザルバ。夫は口うるさいし、思春期の息子は扱いづらいが、イタリア中東部の町、ペスカーラで平穏な日々を送っています。
ところがバス旅行の途中でトラブル続出、家族とはぐれ、ひょんな思いつきで憧れの街ベニスへ。まぁいいや!ってわけで家族には「休暇を楽しみます!」と手紙を出して自由を満喫。久しぶりのお洒落、おいしい食事、花屋でのバイト。大好きだったアコーディオンを弾いたり、といった毎日を過ごしているうちに結婚して錆び付いていた心が動き出し、よろこびを隠しきれない! そんな中でフェルナンドに出会ってしまう彼女。恋?でも結婚してるし? 何なのこの感情は?さてさてバカンスはいつか終わるモノ! どうなるんでしょうこの2人・・・。
最初は「あー、おばさんね。40半ばって感じか」と冷静に見ていた私もそのうちに「何か可愛いじゃんこの女!」なんて思う始末。確かにチャーミングな演技はいいねー。個人的にも抱きしめたくなっちゃた。年齢に関係なく”ときめく心”を持つことで人生がいかに豊かにすばらしいものとなって行くかを、ユーモアと切なさを絶妙にブレンドして描いた作品です。見終わって心がウキウキする楽しい作品。見逃してはいけませんよ。
ヨーロッパ, 映画レビュー
オーロラの彼方に
情報だけが飛び交うタイムトラベル ★★★★☆
[00/米] 1h57 12月9日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー
製作・監督:グレゴリー・ホブリット
脚本:トビー・エメリッヒ
出演:デニス・クエイド ジム・カヴィーゼル
配給:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:メディアボックス
全米で7週連続トップ10入りを果たした斬新なアイディアによる感動をたっぷり盛り込んだSFファンタジー。出演は「シン・レッド・ライン」や来年「パイ・フォワード[可能の王国]」が控えているジム・カヴィーゼル、「マイ・ハート,マイ・ラブ」のデニス・クエイド。二人は「エニイ・ギブン・サンデー」で共演済。監督は「真実の行方」「悪魔の憐れむ歌」のグレゴリー・ホブリット。
30年ぶりにNYの空にオーロラが出現した時、たまたまNY市警刑事ジョンの幼馴染がジョンの父親の愛用の無線機を見つけた。設置したまま帰ってしまった後に無線機から呼びかける声が聞こえてくる。ジョンは小さい頃、父親が見ず知らずの相手と会話を交わしていたのを思い出し。呼びかけてきた相手と父親のまねをして話し込んだ。翌日もジョンのところに同じ相手が呼びかけてきた。そして話をしているときにジョンは愕然とする。なんと相手は30年前のジョンの父親フランクだったのである。どうにか、父親にこの状況を説明するが、なかなか父親は信じようとしない。だが、ジョンは伝えなければいけない大切な事があった。実はフランクは消防士をしていたのだが、会話をしている2日後の火災消化中に命を落としていたのである。運命の日にフランクは30年後の息子だと名乗る男と交わした会話を思い出していた。そしてフランクは未来の息子に命を救われる。しかし、このことから生じたパラドックスにより、今度は看護婦をしているジョンの母親が連続ナイチンゲール殺人鬼の餌食になってしまう。今度は母親を助ける為にジョンは警察で資料を手に入れ、父親に犯行阻止を頼む。だが、殺人鬼は30年後も生きていた。
今まで数々のタイムスリップ映画は見てきたが、電波だけが時空を越えて情報だけが飛び交う作品は初めてだった。が、これがなかなか良く出来ていて面白い。ちょっと出来すぎのところもあるが、今の時期にはもってこいかも知れない。この脚本を書いているのが、映画を製作しているニューラインシネマの重役で、ミュージック部門の社長であるトビー・エメリッヒ。本作がデビュー作である。
アメリカ, 映画レビュー
春香伝
韓国伝承のラブ・ストーリー ★★★★☆
[00/韓] 2h00 12月9日より銀座シネ・ラ・セットにてロードショー
監督:イム・グォンテク
脚本:キム・ミョンゴン
出演:イ・ヒョジョン チョ・スンウ イ・ジョンホン
配給:シネカノン
宣伝:ベイサイド・オフィス
「将軍の息子」シリーズや、「太白山脈」が先頃正式に劇場公開されたイム・グォンテク監督が18世紀から語り継がれてきた恋物語をパンソリと呼ばれる、物語と歌を組み合わせた韓国の伝統芸能によって構成した。「風の丘を越えて 西便制」を見た人ならご存知だと思うが、パンソリとはパン(場)、ソリ(声、音)として表現する伝統の音楽で、日本の民謡や演歌にも通じたもの。物語は何度も舞台化や映画化が繰り返されてきているが、パンソリによって全編が歌い継がれたのは本作が初めて。主演の2人は激戦のオーディションで選ばれた映画初出演となるイ・ヒョジョンとチョ・スンウ。
李朝時代に父の赴任に従って暮らしていた代官の息子である夢龍(スンウ)は、勉学ばかりに嫌気がさして憂さ晴らしに出掛けると、そこで偶然にも春香(ヒョジョン)を見て一目で心を奪われる。彼女は平民の身である自分を正式に妻に迎えてくれる条件で彼を受け入れ、夢龍も念書を書いて心が永遠に変わらぬ事を誓う。しかし、父の昇進に伴い夢龍も付いていくことになり、二人は再会を誓いながら別れた。季節が変わり新しい長官が来た。長官は春香の美しさを聞きつけ、そば仕えを強要するが結婚の約束を結んだ以上はとかたくなに拒むと、長官は反逆罪の濡れぎぬを着せて拷問を加えて投獄してしまう。その頃、夢龍は科挙試験に見事主席で及第してある調査のために乞食に変装して、春香が処刑される日に戻ってくる。
身分の違いを乗り越えて恋を成就させる「ただ一人の相手を愛し抜く」というヒロインに誰もが共感すること間違いなし。どことなく色んな作品が混ざったような内容だけど多分こちらがオリジナルなんだと思うと韓国の文化は美しく素晴らしい。
(気まぐれ飛行船)
アジア, 映画レビュー
カテゴリー: アジア | 映画レビュー
2000年12月11日 by p-movie.com