少林サッカー
超ド級サッカーエンターテイメント ★★★★☆
[01/香]1h42 6月1日より東劇ほか全国松竹・東急系にてロードショー
製作:チャウ・シンチー、イェング・クウォクファイ
監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー
武術監督:チン・シュータン
脚本:チャウ・シンチー、ツァング・カンチョング
出演:チャウ・シンチー ン・マンタ ヴィッキー・チャオ パトリック・ツェー ヴィンセント・コック
共同配給:ギャガ・ヒューマックス クロックワークス
宣伝:ドラゴンキッカー
[コミック調・サッカー・ドラマ:少林足球 2001年7月5日香港初公開]
香港映画歴代No.1ヒットで、本年度香港電影金像賞も受賞した中国拳法とサッカーのダイナミックに融合させた究極のサッカーエンターテイメント。この驚異的な映画を作り上げたのは、今まで主演した映画のうち4本が香港映画歴代ベストテンにランクインしており、香港でもっとも観客を動員できるスーパースターとしてその名を欲しいままにし監督までこなすチャウ・シンチー。共演はシンチーと名コンビの「食神」「喜劇王」のン・マンタ、「決戦 紫禁城」のヴィッキー・チャオ、「炎の大捜査線 2」のウォン・ヤッフェイ、二コラス・ツェーの父親パトリック・ツェー。アクション指導は「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」シリーズのチン・シウトン。
くず拾いをしながら少林拳を熱心に説いて回っていたシンは、道端でファンと出会う。ファンはサッカー選手だったが、八百長で自慢の足を折られた。いまは、チームメイトだったハンの雑用係をしていたが、八百長がハンが仕掛けたとたった今知ったばっかり。不自由な脚のことを指摘されたファンはかっとなり、手にしていた缶を投げつける。シンはそれをいともたやすく空のかなたに蹴り飛ばした。ファンと別れたシンは、たまたま通りかかった饅頭頭屋の店頭で、太極拳を使って絶品の饅頭を作るムイと出会う。同じ中国拳法の使い手としてシンは彼女に好意をもつが、ムイは顔中にできている吹き出物のせいで心を閉ざしてしまっていた。一方ファンは、ひよんなことから、以前シンが蹴り飛ばした缶がレンガ塀にめりこんでいるのを発見し、シンの恐るべき脚カに気づく。情熱を取り戻したファンは、サッカーチームをつくることをシンに持ちかける。敬愛する少林拳を広める良いきっかけだと考えたシンは、かつて共に少林寺で修行した兄弟をスカウトして回った。圧倒的な威力を持つシンの“鋼鉄の脚”を中心とし、それぞれ得意技を生かしてぐんぐん勝ち進む少林チームはついに、サッカーの全国大会に出場を果たす。決勝戦の相手は、ハン率いるハイテク・トレーニングや筋肉増強剤の投与で不死身と化デビルチーム。次々と少林チームは一人また一人と倒されていく。そして遂に代わりの選手が居なくなってしまう。
香港の伝統芸と言ってもいいワイヤー・アクションと最新のCGを融合させたオバカ映画。まるで漫画のような映像には大笑い。これをワールドカップにぶっけてきた。しかも日本語吹替え版まで作って。これほどに絶好のタイミングはなく。果たして初登場で何位に着けてくるかはちょっと見物。かなり高い買い物だったようだが、これで香港映画が日本に入ってくる率が高くなると嬉しい。
オフィシャルサイト: http://www.shorin-soccer.com/
アジア, 映画レビュー
アリ
闘い続けた男、モハメド・アリ物語 ★★★☆☆
[01/米]2h37 5月25日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
製作総指揮:ハワード・ビンガム、グラハム・キング
原案:グレゴリー・アレン・ハワード
監督:マイケル・マン
脚本:スティーブン・J・ライベル&クリストファー・ウィルキンソン、 エリック・ロス&マイケル・マン
出演:ウィル・スミス ジョン・ボイト ロン・シルバー マリオ・ヴァン・ピープルス ジェイダ・ピンケット・スミス
配給:松竹、日本ヘラルド映画
宣伝:松竹
[不滅の生き方を描く感動の人間ドラマ:ALI]
通算61戦56勝37KO5敗という圧倒的な強さ、“蝶のように舞い、蜂のように刺す”と言われたリングでの軽やかなフットワークで、世界ヘビー級チャンピオンとして不動の地位を築いた伝説のボクサー、モハメド・アリ物語。アリを演じるのは「メン・イン・ブラック」「インディペンデンス・デイ」「バガーバンスの伝説」のウィル・スミス、共演は「トゥームレイダー」のジョン・ボイト、「タイムコップ」のロン・シルバー、「パンサー」のマリオ・ヴァン・ピープルス、「マトリックス2&3」を撮影中のジェイダ・ピンケット・スミス。監督は「レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙」「ラスト・オブ・モヒカン」「ヒート」「インサイダー」のマイケル・マン。
本作は、1964年に若くして世界ヘビー級チャンピオンのタイトルを獲得する日から、1974年“キンシャサの奇跡”と呼ばれる伝説のタイトル・マッチに挑むまでの10年間の魂の軌跡を力強く描く感動の人間ドラマである(残念ながらアントニオ猪木との異種格闘技戦はなし)。1964年にソニー・リストンを破り、弱冠22歳の若さで世界ヘビー級チャンピオンとなった青年カシアス・クレイは、タイトルを獲得した翌日突然、黒人イスラム教団体「ネイション・オブ・イスラム」へ入信し「モハメド・アリ」(賞賛されるべき人)に改名すると発表し、世間に驚愕と反発を与える。圧倒的な強さと勢いで、9回の防衛に成功し、美しいソンジーと結婚、未来は順風満帆に思えた。しかし、自らの信条からベトナム戦争への徴兵を拒否してアメリカ国家への反逆罪で起訴されたアリは、チャンピオンの地位を剥奪され試合に出場することさえ禁じられ、ボクサーとして最も充実した時間を奪われてしまう。アリはあきらめなかった。かつての自分のように無敵を誇る若きチャンピオン、ジョージ・フォアマンと対戦するため、アリはザイールのキンシャサへ向かう。今度こそ自分の王冠を取り戻す為に、そして真実を示すために……。
作品はアリを中心に、トレーナーやセコンド陣、3人の妻、スポーツ・ジャーナりスト、「ネイション・オブ・イスラム」の指導者マルコムX(デンゼル・ワシントンではない)と彼の周りを取り囲んだ人物との交流で描かれている。ウィル・スミスは撮影に入る前に、ほぼ1年かけてアリの話し方や癖、特徴を研究すると同時に肉体的なトレーニングを重ねて20kg近く体重を増量、臨場感あふれるボクシング・シーンでは一切スタントを使わず、激しい撮影に臨んだ。でもここでマイケル・マンが一番描きたかったのは、アリの本当の敵はリングの外に居たという点。ウィル・スミスが、アカデミー賞を受賞できなかったのも、ここにあるのかも。
オフィシャルサイト: http://www.ali-movie.jp/
アメリカ, 映画レビュー
突入せよ!「あさま山荘」事件
史上最大の篭城事件 ★★★★☆
[02/日]2h13 5月11日より丸の内東映ほかにて全国公開
製作:原 正人
原作:佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘」事件』(文藝春秋刊)
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
出演:役所広司 宇崎竜童 伊武雅刀 藤田まこと 天海祐希 椎名桔平 遊人
配給:東映(株)
宣伝:東映(株)映画宣伝部
[史上最大のかつてない激烈な攻防:THE CHOICE OF HERCULES]
日本中を戦慄させた「あさま山荘事件」が遂に映画化。監督・脚本は骨太な人間ドラマには定評のある原田眞人。新たにあさま山荘を再現して、エネルギッシュな撮影を敢行する。そして現場で指揮を執る警察庁警備局付監察官・佐々淳行を役所広司が演じ、信頼できる部下の宇田川信一には宇崎竜童、長野県警本部長には伊武雅刀、佐々の妻の幸子には天海祐希、カミソリ後藤田の異名をとる後藤田正晴警察庁長官には藤田まこと。個性あふれる大勢の俳優陣による熾烈な光景がスクリーンに炸裂する。
1972年2月19日、日本中を戦慄させたあさま山荘』事件。全国で金融機関の襲撃や、爆弾テロを次々と繰り返してきた連合赤軍の兵士たちが、雪と氷に閉ざされた軽井沢の別荘地に突如として出現。「さつき山荘」で機動隊員と壮絶な銃撃戦を繰り広げたのち、河合楽器の保養所である「あさま山荘」に、管理人の妻を人質にして立てこもったのだ。それが国民の9割をテレビに釘つけにした史上最大のろう城事件である。警察本部は28日午前10時を期して強行突入することを記者達に明らかにした。9時45分、TV各局の報道特別生中継が開始された。全国民の動きを完全に止めた10日間にも及ぶ攻防戦の道程は果てしなく長かった…。だが、突入作戦が9時間にも及ぶ更に困難な長丁場になるとは、誰も思いはしなかった…。
正月に公開された「光の雨」は、連合赤軍を描いたが、本作は警察側を描いた作品。あらゆる手を尽くしても犯人の人数はおろか、人質の安否さえもわからぬままの睨み合いを、警視庁と長野県警のいがみ合いに殆んど充ててユーモアをたっぷり入れたエンターティメント作品。原田監督は「金融腐蝕列島・呪縛」と同じく細かいカット割り、今回は「狗神」でも多用した俯瞰まで取り入れて見ている側を飽きさせない演出。(記者会見のシーンと「金融腐蝕列島・呪縛」の証人喚問シーンは全く一緒だ。)残念なのは台詞が聞き取りにくいこと。そしてこの作品、事件をクギ付けになって見ていた世代と、まったく知らない世代では受け止め方が全く違ってくる。
オフィシャルサイト: http://www.toei.co.jp/asamasansou/
日本, 映画レビュー
カテゴリー: 日本 | 映画レビュー
2002年5月11日 by p-movie.com
スパイダーマン
21世紀最大のヒーロー登場!! ★★★★☆
[02/米]2h01 5月11日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
[製作]イアン・ブライス、ローラ・ジスキン、アビ・アラド
[監督]サム・ライミ
[脚本]デヴィッド・コープ
[出演]トビー・マグァイア ウィレム・デフォー キルステン・ダンスト ジェームズ・フランコ
[配給]ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
[宣伝]マンハッタンピープル
[スーパー・ハイクオリティ・ムービー:SPIDER-MAN]
過去に幾度かテレビドラマ化されていた「スパイダーマン」が、生誕40周年を迎え「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」「ギフト」のサム・ライミ監督によって遂に映画化。出演は「ワンダー・ボーイズ」のトビー・マグァイア、「処刑人」のウィレム・デフォー、「チアーズ」のキルステン・ダンスト、「25年目のキス」のジェームズ・フランコ。
幼くして両親を失ったピーター・パーカーは、伯父夫妻に引き取られニューヨーク郊外のクイーンズに暮らしているごく普通の高校3年生。ピーターにとって関心事はカレッジヘの進学と、幼なじみの同級生メリー・ジェーンの存在。学校ではバカにされているピーターは、彼女に思いを寄せながらも打ち明ける勇気が持てず、唯一の友人と呼べるのは同級生のハリーのみ。ある日、課外授業で遺伝子を組み替えたスーパースパイダーの見学に行ったピーターは、逃げ出したクモに刺されてしまう。すると、彼の身体に異変が起こり始めた。動体視力や跳躍力が驚異的にアップし、手首からは強靭なクモの糸が飛び出し、天井やビルの壁面も自在に動き回ることができるようになったのだ。高校を卒業して、カレッジに入学したピーターとハリーはマンハッタンに出て共同生活を始める。メリー・ジェーンもまた女優になることを夢見てマンハッタンにいた。ピーターは、スパイダーマンとなって街に巣食う悪を懲らしめ、その姿を自ら撮影して売り込む報道カメラマンのバイトで生活を支える毎日だった。その頃、時を同じくしてハリーの父親ノーマンにも劇的な異変が訪れていた。軍事目的で開発した新薬を自ら服用した彼は、副作用で二重人格となり、邪悪なサイドの性格が世界征服を企むグリーン・ゴブリンという怪物を生み出してしまった。
ストーリーは簡単なのに、登場人物の関係はかなり複雑。そしてウィレム・デフォーのキャラは「スピード2」 よりもエスカレートだ。コロムビア映画史上最高の制作費166億円を使ってるだけあり、スパイダーマン VS グリーン・ゴブリンの戦いは凄まじい。“アメコミ”オタクのサム・ライミ監督らしい、「スーパーマン」「バッドマン」「ジキル&ハイド」「ダークマン」のオマージュになっている。
オフィシャルサイト: http://www.spider-man.jp/
アメリカ, 映画レビュー
アザーズ
その“アザーズ(存在)”が見えた時、全てが解る ★★★★☆
[01/米・スペイン・仏]1h44 4月27日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
製作:フェルナンド・ボヴァイラ ホセ・ルイス・クエル ダサンミン・パーク
監督:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:アレハンドロ・アメナーバル
出演:ニコール・キッドマン フィオヌラ・フラナガン クリストファー・エクルストン
配給共同:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:リベロ ビー・ウイング
[ミステリアスなゴシック・ホラー:The Others]
弱冠23才で発表した長篇デビュー作の「テシス・次に私が殺される」では、スペインの歴代興行収入No.1を記録。次の作品「オープン・ユア・アイズ」では、第11回東京国際映画祭で見事グランプリを獲得し、「バニラ・スカイ」としてリメイクされた。そんなアレハンドロ・アメナーバル監督が、トム・クルーズのエグゼクティブ・プロデューサーでハリウッドに進出した作品が、ゴシック・ホラーの「アザーズ」。出演は「ムーラン・ルージュ」のニコール・キッドマン、「ウェイクアップ!ネッド」のフィオヌラ・フラナガン、「60セカンズ」のクリストファー・エクルストン、「フェリシアの旅」のエレーン・キャシディ。
1945年第二次世界大戦末期の英国・チャネル諸島のジャージー島に暮すグレースは、娘アンと息子ニコラスとの3人暮らし。夫は1年半前に前線に行ったきり戻っていない。ある日、突然使用人達がいなくなってしまった広大な屋敷の中で、親子は孤独な日々を送っていた。そこに、突然訪問者がやってくる。ミセス・ミルズと口の聞けないリディア、そして庭師のミスター・タトルの3人だ。地元の新聞社に使用人募集の広告を載せていたグレースは3人を屋敷へ招き入れ雇う事にする。やがて家の中で他人の足音や話し声が響き渡り、ピアノが独りでに鳴りだすと言う怪異現象が頻繁に起き始める。占領下の5年間ナチさえ一歩も入れなかったこの屋敷に誰かが勝手に侵入しているとしか思えない。ある日グレースはポストに残った求人広告を発見た。5日前に新聞社に出したはずの手紙が残っていた。ミセス・ミルズはグレースに飛び込みで使用人に雇ってもらいに来たのだと明かすのだが・・・。
グレースの子供達は日光に対するアレルギー体質で、太陽光線を浴びる事が出来ない。その為子供達のいる部屋は日中でも分厚いカーテンを閉め切っていて、日の光が室内に漏れないので部屋は薄暗い。そして各部屋のドアはその都度必ず鍵をかけてから次のドアを開けなければならない。家の中では静寂を重んじる為に電話もラジオも無く、音楽室のピアノは鍵をかけたまま誰も触る事が出来ない状態にしていなければならないというルール。設定は、これだけなのに充分に怖い。そしてラストの「シックス・センス」レベルのオチ。これは、おすぎさんが宣伝しなくても絶対にヒットするでしょう。オチのヒントは、何故に1945年なのか?
オフィシャルサイト: http://www.others-jp.com/
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