ニューヨークの恋人

赤い糸は時を越える ★★★★☆
[01/米]1h58 6月15日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

製作:キャシー・コンラッド、スティーヴン・ロジャース
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェームズ・マンゴールド、スティーヴン・ロジャース
原作:ステイーヴン・ロジャース
出演:メグ・ライアン ヒュー・ジャックマン リーヴ・シュレイバー ブレッキン・メイヤー
共同配給:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:オメガ・エンタテインメント

[時を越えた奇跡のラブ・ストーリー:Kate & Leopold]
メグ・ライアンと言えば、ラブコメ。今度はどんな赤い糸を結びつける?絶対にありそうも無い事。そうだ、タイムスリップはどうだろう!? と決まったかどうかは知らないが、今回は時を越えた奇跡のラブ・ストーリー。お相手は、「X-メン」「ソードフィッシュ」「恋する遺伝子」のヒュー・ジャックマン、元カレに「ザ・ハリケーン」のリーヴ・シュレイバー、弟に「ラットレース」のブレッキン・メイヤー、上司に「ハリウッド・ミューズ」のブラッドリー・ウィットフォード。監督は「コップ・ランド」「17歳のカルテ」のジェームズ・マンゴールド。

現代のニューヨーク。広告会社で働くケイトは、一人暮らしのアパートメントの階上に住む元ボーイフレンドのスチュアートのところに、やたらとクラシックな服を着て完壁な王立英語を話す不思議な男が転がり込んできたのを知る。彼が何者なのかを説明する暇もなく、スチュアートは突然故障したエレベーターから落下して病院送りに。どこか奇妙だがハンサムで礼儀正しい闖入者はレオポルドと名乗る。仕事にも恋にも疲れたキャリアウーマンで、自分の人生に奇跡なんか起こらないと考えているリアリストのケイトと、人生には愛と誠実さが不可欠と考えるロマンティストのレオポルド。非常階段で行き来できるアパートメントの上階と下階で、二人の風変わりな半同居生活が始まった。ケイトのもとに遊びに来た役者志望のケイトの弟チャーリーは、レオポルドの隙のない完壁な身のこなしと美しい発音に、彼が役者だと思い込む。だが、レオポルドは、19世紀のニューヨークで、愛する女性とめぐり逢えないまま結婚相手を決めざるを得ない状況にいた公爵だった。彼は、125年の時を行き来していたスチュアートにの後をつけて 2001年に来てしまったのだった。

“有能なキャリアウーマン”だったケイトを“幸福なレディ”にしたのは、現代男性にはないレオポルドの騎士道精神。あらゆる女性に「こんなふうに愛されてみたい!」と思わせる率直さと誠実さ、そしてどんな状況にあっても命がけで守ってくれる男らしさが抜群。セントラルパークでバッグをひったくられたケイトを観光馬車の馬を見事な手綱さばきで泥棒を追いかけ、バッグを取り返して戻ってくるレオポルド。その姿はまさに「白馬に乗った王子様」。こういうシーンが許せてしまうのも、この二人だからでしょう。タイムスリップ映画としては落第だが、デートムービーとして、見て損はなし。そういえば、上司がオフィスでケイトに枝豆を勧めるシーンがあったが、これはギャグ?それとも流行?

オフィシャルサイト: http://www.ny-love.com/

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2002年6月17日 by p-movie.com

きれいなおかあさん

忘れかけていた大切な家族の絆を思い出させてくれる ★★★★☆
[99/中]1h30 6月8日よりシャンテシネほか全国ロードショー

製作:ユー・ジーユエン、タイ・ズーホイ、リュウ・イー
監督:スン・ジョウ
脚本:リュウ・ホン、スン・ジョウ、シャオ・シャオリー
出演:コン・リー ガオ・シン シー・ジンミン グアン・ユエ ユエ・シウチン
配給:ムービーテレビジョン
宣伝:ムービーテレビジョン

[厳しくもぬくもりのある親子関係を綴る作品:Breaking Silence 漂亮媽媽]
「活きる」と同じくコン・リーが、障害を持つ子供と一緒に逞しく生きていく生活を描いた感動作。この作品でコン・リーは、第24回モントリオール国際映画祭で最優秀女優賞に、第10回中国百花賞では最優秀主演女優賞に輝いた。息子役には、幼いころの医療ミスが原因で耳が不自由になってしまった本当の聾者ガオ・シン。監督は1977年に映画会社に入社して以来、キャメラマンとして多くのテレビや映画作品に参加、数々の栄誉ある賞に輝き、その後「コーヒーに砂糖を」で監督デビュー。「心の香り」では金鶏賞最優秀監督賞、撮影賞、録音賞を受賞し、各国の映画祭でも絶賛されたスン・ジョウ。

中国の大都市・北京。リーインは、ひとり息子の名はジョン・ダーと二人暮し。夫はタクシー運転手をしているが、息子の聴覚に障害があることを理由に去っていった。折りしも世の中は改革開放政策のひずみで何をするにもお金に振り回される次第。リーインは「息子は補聴器を付けている以外、他の子と変わらない」と、気丈にもジョン・ダーを小学校の入学試験に合格させようと大奮闘。けれど運命は健気に生きる母と息子の味方に容易くなってくれようとはしない。次から次へと立ちはだかる難題に、母と息子は力を合わせて生き抜いていこうと誓う。困難を乗り越える度に強さを増していくリーイン。生きていくためにリーインは息子と二人で生き抜く覚悟を決める。それは、勇気をもって試練を乗り越える親子の絆を深める旅の始まりでもあった。

聴覚に障害のある息子と共に生きる母と息子の厳しくも温もりのある親子関係を綴り、家族関係の希薄さが問われる時代だからこそ、忘れかけていた大切な家族の絆を思い出させてくれる作品。ぜひ一人暮らしをしている方には見て欲しい。不慮の事故で亡くなってしまった父親の事を息子に教えようとするシーンには涙もの。中国の厳しい社会情勢も見えてくる。

オフィシャルサイト: http://www.movietv.co.jp/product/kirei.html

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2002年6月9日 by p-movie.com

少林サッカー

超ド級サッカーエンターテイメント ★★★★☆
[01/香]1h42 6月1日より東劇ほか全国松竹・東急系にてロードショー

製作:チャウ・シンチー、イェング・クウォクファイ
監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー
武術監督:チン・シュータン
脚本:チャウ・シンチー、ツァング・カンチョング
出演:チャウ・シンチー ン・マンタ ヴィッキー・チャオ パトリック・ツェー ヴィンセント・コック
共同配給:ギャガ・ヒューマックス クロックワークス
宣伝:ドラゴンキッカー

[コミック調・サッカー・ドラマ:少林足球 2001年7月5日香港初公開]
香港映画歴代No.1ヒットで、本年度香港電影金像賞も受賞した中国拳法とサッカーのダイナミックに融合させた究極のサッカーエンターテイメント。この驚異的な映画を作り上げたのは、今まで主演した映画のうち4本が香港映画歴代ベストテンにランクインしており、香港でもっとも観客を動員できるスーパースターとしてその名を欲しいままにし監督までこなすチャウ・シンチー。共演はシンチーと名コンビの「食神」「喜劇王」のン・マンタ、「決戦 紫禁城」のヴィッキー・チャオ、「炎の大捜査線 2」のウォン・ヤッフェイ、二コラス・ツェーの父親パトリック・ツェー。アクション指導は「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」シリーズのチン・シウトン。

くず拾いをしながら少林拳を熱心に説いて回っていたシンは、道端でファンと出会う。ファンはサッカー選手だったが、八百長で自慢の足を折られた。いまは、チームメイトだったハンの雑用係をしていたが、八百長がハンが仕掛けたとたった今知ったばっかり。不自由な脚のことを指摘されたファンはかっとなり、手にしていた缶を投げつける。シンはそれをいともたやすく空のかなたに蹴り飛ばした。ファンと別れたシンは、たまたま通りかかった饅頭頭屋の店頭で、太極拳を使って絶品の饅頭を作るムイと出会う。同じ中国拳法の使い手としてシンは彼女に好意をもつが、ムイは顔中にできている吹き出物のせいで心を閉ざしてしまっていた。一方ファンは、ひよんなことから、以前シンが蹴り飛ばした缶がレンガ塀にめりこんでいるのを発見し、シンの恐るべき脚カに気づく。情熱を取り戻したファンは、サッカーチームをつくることをシンに持ちかける。敬愛する少林拳を広める良いきっかけだと考えたシンは、かつて共に少林寺で修行した兄弟をスカウトして回った。圧倒的な威力を持つシンの“鋼鉄の脚”を中心とし、それぞれ得意技を生かしてぐんぐん勝ち進む少林チームはついに、サッカーの全国大会に出場を果たす。決勝戦の相手は、ハン率いるハイテク・トレーニングや筋肉増強剤の投与で不死身と化デビルチーム。次々と少林チームは一人また一人と倒されていく。そして遂に代わりの選手が居なくなってしまう。

香港の伝統芸と言ってもいいワイヤー・アクションと最新のCGを融合させたオバカ映画。まるで漫画のような映像には大笑い。これをワールドカップにぶっけてきた。しかも日本語吹替え版まで作って。これほどに絶好のタイミングはなく。果たして初登場で何位に着けてくるかはちょっと見物。かなり高い買い物だったようだが、これで香港映画が日本に入ってくる率が高くなると嬉しい。

オフィシャルサイト: http://www.shorin-soccer.com/

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2002年6月3日 by p-movie.com

アリ

闘い続けた男、モハメド・アリ物語 ★★★☆☆
[01/米]2h37 5月25日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

製作総指揮:ハワード・ビンガム、グラハム・キング
原案:グレゴリー・アレン・ハワード
監督:マイケル・マン
脚本:スティーブン・J・ライベル&クリストファー・ウィルキンソン、 エリック・ロス&マイケル・マン
出演:ウィル・スミス ジョン・ボイト ロン・シルバー マリオ・ヴァン・ピープルス ジェイダ・ピンケット・スミス
配給:松竹、日本ヘラルド映画
宣伝:松竹

[不滅の生き方を描く感動の人間ドラマ:ALI]
通算61戦56勝37KO5敗という圧倒的な強さ、“蝶のように舞い、蜂のように刺す”と言われたリングでの軽やかなフットワークで、世界ヘビー級チャンピオンとして不動の地位を築いた伝説のボクサー、モハメド・アリ物語。アリを演じるのは「メン・イン・ブラック」「インディペンデンス・デイ」「バガーバンスの伝説」のウィル・スミス、共演は「トゥームレイダー」のジョン・ボイト、「タイムコップ」のロン・シルバー、「パンサー」のマリオ・ヴァン・ピープルス、「マトリックス2&3」を撮影中のジェイダ・ピンケット・スミス。監督は「レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙」「ラスト・オブ・モヒカン」「ヒート」「インサイダー」のマイケル・マン。

本作は、1964年に若くして世界ヘビー級チャンピオンのタイトルを獲得する日から、1974年“キンシャサの奇跡”と呼ばれる伝説のタイトル・マッチに挑むまでの10年間の魂の軌跡を力強く描く感動の人間ドラマである(残念ながらアントニオ猪木との異種格闘技戦はなし)。1964年にソニー・リストンを破り、弱冠22歳の若さで世界ヘビー級チャンピオンとなった青年カシアス・クレイは、タイトルを獲得した翌日突然、黒人イスラム教団体「ネイション・オブ・イスラム」へ入信し「モハメド・アリ」(賞賛されるべき人)に改名すると発表し、世間に驚愕と反発を与える。圧倒的な強さと勢いで、9回の防衛に成功し、美しいソンジーと結婚、未来は順風満帆に思えた。しかし、自らの信条からベトナム戦争への徴兵を拒否してアメリカ国家への反逆罪で起訴されたアリは、チャンピオンの地位を剥奪され試合に出場することさえ禁じられ、ボクサーとして最も充実した時間を奪われてしまう。アリはあきらめなかった。かつての自分のように無敵を誇る若きチャンピオン、ジョージ・フォアマンと対戦するため、アリはザイールのキンシャサへ向かう。今度こそ自分の王冠を取り戻す為に、そして真実を示すために……。

作品はアリを中心に、トレーナーやセコンド陣、3人の妻、スポーツ・ジャーナりスト、「ネイション・オブ・イスラム」の指導者マルコムX(デンゼル・ワシントンではない)と彼の周りを取り囲んだ人物との交流で描かれている。ウィル・スミスは撮影に入る前に、ほぼ1年かけてアリの話し方や癖、特徴を研究すると同時に肉体的なトレーニングを重ねて20kg近く体重を増量、臨場感あふれるボクシング・シーンでは一切スタントを使わず、激しい撮影に臨んだ。でもここでマイケル・マンが一番描きたかったのは、アリの本当の敵はリングの外に居たという点。ウィル・スミスが、アカデミー賞を受賞できなかったのも、ここにあるのかも。

オフィシャルサイト: http://www.ali-movie.jp/

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2002年5月27日 by p-movie.com

突入せよ!「あさま山荘」事件

史上最大の篭城事件 ★★★★☆
[02/日]2h13 5月11日より丸の内東映ほかにて全国公開
製作:原 正人
原作:佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘」事件』(文藝春秋刊)
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
出演:役所広司 宇崎竜童 伊武雅刀 藤田まこと 天海祐希 椎名桔平 遊人
配給:東映(株)
宣伝:東映(株)映画宣伝部

[史上最大のかつてない激烈な攻防:THE CHOICE OF HERCULES]
日本中を戦慄させた「あさま山荘事件」が遂に映画化。監督・脚本は骨太な人間ドラマには定評のある原田眞人。新たにあさま山荘を再現して、エネルギッシュな撮影を敢行する。そして現場で指揮を執る警察庁警備局付監察官・佐々淳行を役所広司が演じ、信頼できる部下の宇田川信一には宇崎竜童、長野県警本部長には伊武雅刀、佐々の妻の幸子には天海祐希、カミソリ後藤田の異名をとる後藤田正晴警察庁長官には藤田まこと。個性あふれる大勢の俳優陣による熾烈な光景がスクリーンに炸裂する。

1972年2月19日、日本中を戦慄させたあさま山荘』事件。全国で金融機関の襲撃や、爆弾テロを次々と繰り返してきた連合赤軍の兵士たちが、雪と氷に閉ざされた軽井沢の別荘地に突如として出現。「さつき山荘」で機動隊員と壮絶な銃撃戦を繰り広げたのち、河合楽器の保養所である「あさま山荘」に、管理人の妻を人質にして立てこもったのだ。それが国民の9割をテレビに釘つけにした史上最大のろう城事件である。警察本部は28日午前10時を期して強行突入することを記者達に明らかにした。9時45分、TV各局の報道特別生中継が開始された。全国民の動きを完全に止めた10日間にも及ぶ攻防戦の道程は果てしなく長かった…。だが、突入作戦が9時間にも及ぶ更に困難な長丁場になるとは、誰も思いはしなかった…。

正月に公開された「光の雨」は、連合赤軍を描いたが、本作は警察側を描いた作品。あらゆる手を尽くしても犯人の人数はおろか、人質の安否さえもわからぬままの睨み合いを、警視庁と長野県警のいがみ合いに殆んど充ててユーモアをたっぷり入れたエンターティメント作品。原田監督は「金融腐蝕列島・呪縛」と同じく細かいカット割り、今回は「狗神」でも多用した俯瞰まで取り入れて見ている側を飽きさせない演出。(記者会見のシーンと「金融腐蝕列島・呪縛」の証人喚問シーンは全く一緒だ。)残念なのは台詞が聞き取りにくいこと。そしてこの作品、事件をクギ付けになって見ていた世代と、まったく知らない世代では受け止め方が全く違ってくる。

オフィシャルサイト: http://www.toei.co.jp/asamasansou/

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カテゴリー: 日本 | 映画レビュー

2002年5月11日 by p-movie.com