アイアンマン2

ヒーローになった男、トニー・スターク。次なる試練。

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俳優ロバート・ダウニーJr.を再起復活させたご利益抜群のヒーロー、アイアンマン。その登場はヒーローの人間臭さがリアリティを伴ってスクリーン上を席巻しはじめた、まさに映画史のターニング・ポイントとなった。

あれから2年、ダウニーJr.が再びレトロなパワード・スーツに身を包んで帰ってくる。今回のトニー・スターク(=アイアンマン)はかなり調子に乗っている。チョイワルぶりを加速させ、自身のバースデー・パーティーでは招待客の面前でパワードスーツを着たままイチモツをさらけ出そうともする(なんてことだ!)。自身が主催する科学万博やそれにカーレース・サーキットでも大勢の観衆を圧倒し、煙に巻き、そのセレブぶりを乱用。米議会の公聴会では「私が核抑止力だ!」と高飛車な発言を連発する。

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確かに今現在このオジサマ俳優を止められるものなど他にはいるまい。ダウニーJr.とトニー・スタークは前作以上に寸分違わぬリアリティで繋がっている。しかし彼は気付いていなかった。遥か彼方ロシアからもっと獰猛なオジサマ俳優が彼の生命をつけ狙っていることを。。。

その男こそミッ
キー・ローク。まるで『レスラー』の”ザ・ラム”が改心どころか改悪してアイアンマンに戦いを挑んでいるかのような、チョイワルどころか極悪っぷり。最強の敵”ウィップラッシュ”として、縄跳びみたいな紐を両手でビュンビュン振り回すという、いささか洗練さに欠けた攻撃が持ち味だ。これに猫パンチが加われば、ここにもミッキー・ローク=ウィップラッシュという等身大の役作りが成立する。ヒーローもヒーローなら悪役も悪役。スクリーン上でも正直さが物を言う時代がやってきているのだ。

事態はいつしか最強のオジサマ旋風に呑み込まれる。俺も、俺もと言わんばかりにドン・チードル、サム・ロックウェル、サミュエル・L・ジャクソンが揃い踏み。むせかえるほどの加齢臭を漂わせながら、ハイテク・ガジェットVFXを凌ぐほどの演技バトルが繰り広げる。特にロックウェルに関しては、実はもともと彼もアイアンマン候補に挙がっていたことから、主人公に対するネチっこさはひとしおだ。一方、サミュエルの出番は2シーンのみだが、次回作として起動しはじめたマーヴェル・ヒーロー大集合ムービー『アヴェンジャーズ』の伏線としてスタークを仲間に引き入れようと誘いをかけてくる。

そして、くせものなのはジョン・ファーヴローだ。この映画の監督にして名バイ・プレイヤーでもある彼が、前作以上に自分の出演シーンを用意して暴れている。もうあわよくば俺も次回作でアヴェンジャーズに編入させてくれよ!と主張せんばかりに。しかし誰も口は出せまい。だって彼は本作の製作総指揮でもあるのだから。

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まあ、アフガニスタンの監獄でゼロからロボをこしらえて脱出してみせた前作の圧倒的な面白さに比べると、今回はストーリー的に弱めであることは否めない。中盤は対戦アクションがごっそり抜け落ち、いささか説明的に陥ってしまう。しかし考えてもみてくださいよ。イケメン若手が大挙出演するシリーズが世界的にもてはやされる時代で、こんなにもオジサマ方が頑張ってる。なんだかそれだけで満足できる。これは映画界にとってもかなり画期的なことなのだ。

「アイアンマン2」

2010年 アメリカ
公式サイトアドレス
http://www.ironman2.jp/
6月11日(金)全国超拡大ロードショー

【映画ライター】牛津厚信


カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2010年6月15日 by p-movie.com