キル・ビル Vol,1

タランちゃんの趣味の世界へ ★★★★☆
[03/米]1h53 10月25日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

[製作]ローレンス・ベンダー
[監督]クエンティン・タランティーノ
[脚本]クエンティン・タランティーノ
[出演]ユマ・サーマン ルーシー・リュー ソニー・千葉 栗山千明 ダリル・ハンナ
[共同配給]ギャガ・ヒューマックス
[宣伝]ギャガ・コミュニケーションズ

[壮絶復讐アクション:Kill Bill 全米公開2003年10月10日 【R-15】]

映画オタクのタランティーノ6年振りの新作は、3時間超の内容から突然の2部作公開になった壮絶な復讐劇。日米中を跨いだ長期ロケに、チャンバラ、カンフー、ウエスタンにアニメを融合したタランちゃんの趣味ゴッタ煮ムービー。出演は「パルプ・フィクション」のユマ・サーマン、「バリスティック」のルーシー・リュー、「風雲 ストームライダーズ」のソニー・千葉、「バトル・ロワイヤル」の栗山千明、「ウォーク・トゥ・リメンバー」のダリル・ハンナ。ほかに日本からは、國村隼、北村一輝、麿赤兒、菅田俊、風祭ゆき、佐藤佐吉、田中要次、大場健二。

ひとりの女が長い眠りから目覚める。彼女は、自分の結婚式の最中に、かつて所属していた毒ヘビ暗殺団の襲撃を受け、夫やお腹の子を殺されたのだ。4年後に奇跡的に回復した彼女に残されたのは、暗殺団とそのボスのビルへの復讐の二文字だけ。まずは沖縄にいる伝説の刀鍛冶だった服部半蔵を訪ね、名刀を譲り受ける。暗殺団のメンバーは5名。その名を記したリストを手に、女刺客の復讐の旅が始まった。まずは、東京にいるヤクザのオーレン・イシイの元へ。

遂にタランティーノがやった。冒頭の深作欣二に捧ぐと出てから始まる壮絶な復讐の旅の前半戦は、怒涛の日本編。監督は、ちゃんとした日本を描きたいと言っているが、そこは不思議な國・にっぽんが一杯。何でも取り入れてしまう監督だけに、元ネタも沢山。果たしてあなたはいくつ分かるだろうか? ラストのユマとルーシーの千葉真一自己身の刀対決での日本語啖呵シーンには涙が出るほど笑った。こういう自分の趣味作品を作れてしまうれてしまうタランティーノは、恵まれている。こんな珍品は二度と見れないだろう。Vol, 2の全米公開は2月、日本はGWの予定。「キル・ビル」軍団の記者会見も掲載中。

オフィシャルサイト:http://www.killbill.jp/

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2003年10月27日 by p-movie.com

ほえる犬は噛まない

ユーモアたっぷり新感覚ムービー ★★★★☆
[00/韓]1h50 10月18日よりユーロスペースにてロードショー

[製作]チョ・ミンファン
[監督]ポン・ジュノ
[脚本]ポン・ジュノ ソン・テウン ソン・ジホ
[出演]ペ・ドゥナ イ・ソンジェ
[配給]ファイヤークラッカー
[宣伝]グアバ・グアポ

[HOTするキュートなムービー:Barking Dogs Never Bite 同床異夢]

数々の映画祭で上映され大反響を巻き起こし、遂に一般公開が決まった韓国から届いたユーモアたっぷりでちょっと変わった新感覚ムービー。監督は今年新作の「殺人の追憶 (原題)」(来年公開)が、大ヒットで社会現象を巻き起こしたポン・ジュノ。出演は秋の東京国際映画祭の”アジアの風”で上映される「リング」の韓国版リメイク「リング・ウィルス」で貞子に当たる役を演じたペ・ドゥナと「美術館の隣の動物園」「エンジェル・スノー」のイ・ソンジェ。タイトルはことわざで、意味は”口やかましい者ほど、実行が伴わない”。韓国のタイトルは「フランダースの犬」。

フリーターのような生活をしているヒョンナムは、中流家庭の住む閑静なマンションの管理事務所で経理をしている。いつもはゆる~い日々を過ごしているヒョンナムだが、飼ってはいけない子犬失踪事件が発生したことから、日頃忘れていた小さな正義感に火がついた。行方不明犬のビラを街中に貼るが、失踪犬は後を絶たない。ヒョンナムの非力さと天然ぶりを心配する親友の警告も耳に入らず、犯人を捕まえて市民栄誉賞を取ってテレビ出演するためにムダの多い失踪が始まる。

予測できない展開が次々と巻き起こり、コミックのようなトボケタ登場人物が絶妙に笑える。さあー、日頃ゆる~い日々を過ごしているそこのあなた、ヒョンナムを応援しに行こう!

オフィシャルサイト:http://www.hoeruinu.com/

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2003年10月18日 by p-movie.com

インファナル・アフェア

真実ほど、疑わしきものはない。 ★★★★☆
[02/香]1h42 10月11日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

[製作]アンドリュー・ラウ
[監督]アンドリュー・ラウ アラン・マック
[脚本]アラン・マック フェリックス・チョン
[出演]アンディ・ラウ トニー・レオン アンソニー・ウォン エリック・ツァン ケリー・チャン エディソン・チャン
[配給]コムストック
[宣伝]コムストック

[香港ノワール・壮絶ドラマ:Infernal Affairs]

香港で02年の年間興行成績第1位はじめオープニング興収、上映館数など数々の歴代記録を更新した大ヒット作。既に3部作の製作が決定。2作目が1作目から遡る形で前章で、 3作目が1作目の続編になる。勿論、ハリウッドでのリメイクが決まっていて、ワーナー・ブラザースが獲得。ブラッド・ピッドの出演が決まっている。出演は「ファイターズ・ブルース」のアンディ・ラウ、「HERO」のトニー・レオン、「ドリフト」のアンソニー・ウォン、「不夜城」のエリック・ツァン、「冷静と情熱のあいだ」のケリー・チャン、 「ファイティング・ラブ」のサミー・チェン、「ジェネックス・コップ2」のエディソン・チャン。監督は「ブルー・エンカウンター」のアンドリュー・ラウ と「ファイナル・ロマンス」のアラン・マック。

マフィアの組員となった18歳のラウは、ボスであるサムの指示で香港警察に入る。サムが提供する敵対組織の情報を駆使して、ラウは10年後に内部調査課(CIB)の課長に昇進、ベストセラー作家メリーとの結婚の日も内定し、幸福の全てを手に入れたかのように見えた。また、サムもラウのおかげで、マフィアの最大勢力のボスとなっていた。一方、ラウと同じ警察学校に通っていたヤンは、組織犯罪課(OCTB)のウォン警視に類まれな洞察力を評価され、潜入捜査官を命じられ、サム率いるマフィアへ潜入する為に、学校を強制退学させられる。その後の活躍でヤンはサムの信頼を得て麻薬取引を任されるまでになった。しかし、ヤンは長年にわたる内通捜査で自分が何者なのかを見失い、精神科医リーに治療を受けるほどに心を病んでいた。いつしかヤンは自分の秘密を打ち明ける程、彼女を愛し始めていた。ある夜、ヤンから大きな麻薬取引を行うとの情報を得たウォン警視は、水面下で捜査を始めるが、同時に警察の動きがラウからサムのもとにも伝わり、検挙も取引も失敗に終わる。双方に内部潜入者がいることが明らかになり、二人は裏切り者を探し出すことを命じられる。そして遂に、二人の運命が交叉する時がやってくる。

チョウ・ユンファが、香港で活躍していた頃を彷彿させる香港ノワール超大作。息詰まる警察とマフィアの頭脳戦略は、見応え充分。主役の2人は言うまでもなく、助演のアンソニー・ウォンとエリック・ツァンの演技がいい。花を添えるケリー・チャンとサミー・チェンも印象を残す。コピー通り、まさに女も惚れる本物の男のドラマ。ラストも衝撃の展開。

オフィシャルサイト:http://www.comstock.co.jp/infernal.html

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2003年10月13日 by p-movie.com

マッチスティック・メン

ニコラス・ケイジ版「ペーパー・ムーン」★★★☆☆
[03/米]1h56 10月4日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

[製作総指揮]ロバート・ゼメキス
[製作]ジャック・ラプキ リドリー・スコット スティーブ・スターキー ショーン・ベイリー テッド・グリフィン
[原作]エリック・ガルシア(ソニー・マガジンズ)
[監督]リドリー・スコット
[脚本]ニコラス・グリフィン テッド・グリフィン
[出演]ニコラス・ケイジ サム・ロックウェル アリソン・ローマン ブルース・マッギル
[配給]ワーナー・ブラザース
[宣伝]レオ・エンタープライズ

[スタイリッシュ・コンムービー:Matchstick Men【PG-12】]

「ブラックホーク・ダウン」「グラディエーター」のリドリー・スコットが、「ウインドトーカーズ」「アダプテーション」のニコラス・ケイジを初めて主演に迎えた潔癖症の詐欺師が主役の騙しムービー。共演は「コンフェッション」のサム・ロックウェル、「ホワイト・オランダー」のアリソン・ローマン、「キューティ・ブロンド ハッピーMAX」のブルース・マッギル。

詐欺師のロイは神経質な潔癖症。下着や靴下を小さくたたんできちんと積み上げないと気が済まない。食事も食器が汚れるのでツナ缶からそのまま食べている。そんな彼が、詐欺稼業に没頭している時だけは、潔癖性を忘れて芸術的ともいえる手腕を発揮するのだ。ある日ロイの前にあらわれたのが、離婚時に妊娠していたかつての妻が産んだ実の娘アンジェラ。14歳の彼女が父の家の汚れひとつないカーペットを靴を脱がずに踏みつけた瞬間から、彼の人生は思いもかけない方向に変わっていく。「パパの仕事を私もやってみたい!」とせがむ娘に逆らえず、ついつい自分の手腕を披露してしまうロイだったのだが・・・。

登場人物も少なく地味な作品で、大作ばかり撮っているリドリー・スコット監督が何故という作品だが、コンムービーは大袈裟にするほど荒が見えてしまうので、この程度が丁度いいのかも。それと「ホワイト・オランダー」で大女優を相手に引けを取らなかったアリソン・ローマンの演技が、ここでも目立つ。二人の親子詐欺振りは「ペーパー・ムーン」のよう。

オフィシャルサイト:http://www.matchstick-men.jp/

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2003年10月6日 by p-movie.com

S.W.A.T.

「特別狙撃隊SWAT」の映画化 ★★☆☆☆
[03/米]1h51 9月27日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

[製作]ニール・H・モリッツ ダン・ハルステッド クリス・リー
[監督]クラーク・ジョンソン
[脚本]デビット・アヤー デビッド・マッケナ
[出演]サミュエル・L・ジャクソン コリン・ファレル ミシェル・ロドリゲス LL・クール・J ブライアン・ヴァン・ホルト ジェレミー・レナー ジョッシュ・チャールズ オリヴィエ・マルティネス
[配給]ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
[宣伝]メディアボックス

[戦術プロフェッショナルの熱きバトル:S.W.A.T. 全米公開2003年8月8日]
70年代のTV人気シリーズで、日本でも「特別狙撃隊SWAT」で放映していたドラマの映画化。SWATチームが、テーマソングを唄うシーンはあるが繋がりはない。出演は「閉ざされた森」のサミュエル・L・ジャクソン、「フォーン・ブース」のコリン・ファレル、「ブルー・クラッシュ」のミシェル・ロドリゲス、「ディープ・ブルー」のLL・クール・J、「ウインドト-カーズ」のブライアン・ヴァン・ホルト、日本初登場のジェレミー・レナー、「デンバーに死すとき」のジョッシュ・チャールズ、「運命の女」のオリヴィエ・マルティネス。監督は俳優として「ドロップ・ゾーン」「ニック・オブ・タイム」に出演し、TVドラマで演出を手掛け映画監督デビューしたクラーク・ジョンソン。

物語はいたって簡単。現場に復帰した巡査部長が指揮官となり、6人の精鋭部隊を結成。任務はテールランプの故障で捕まった間抜けな国際指名手配の麻薬王の護送。だが逃がした奴に1億ドルを払うという宣言をマスコミが報道した為に、ロサンゼルスは戦場と化すという馬鹿げた内容。それを手助けするのが身近に居たという、見ている観客が想像できる展開に唖然。邪魔する奴は誰でも叩き潰すという、いかにも今のアメリカを象徴するような作品。こういう作品をポップコーン片手に、騒ぎながら見ているアメリカの若者を想像するとゾッとする。まだ情報は入ってこないが、全米での成績は良かったのでシリーズ化される可能性は高い。もし次回があるのなら、次は骨のある作品を望む。

オフィシャルサイト:http://www.swat-movie.jp/

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2003年9月29日 by p-movie.com