桃まつり 弐のうそ

女性監督による競作短編集『桃まつり presents うそ』。その第2プログラム「弐のうそ」(3月18~21日上映)より全3本をご紹介。

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艶めかしいオープニングから始まる朝倉加葉子監督の『きみをよんでるよ』は、「あふれ出す言葉」と「サイレント」の対比を用いてストーリーを紡ぐ。父娘とうそぶく歳の離れた男女を、別荘の管理人は無言で迎え入れるのだが・・・。一言もセリフを発しない青年役、高木公介の素朴な表情とニュートラルな佇まいが、そこで語られる男女の”嘘”を虚しく響かせ、いつしか彼の存在自体が二人の関係を中和する「鍵」のようにも思えてくる。とはいえボンクラな私としては、ここで描かれる男女の関係がどのくらい憔悴しているのか、彼女が求める最終的な愛のかたちは何なのか、いまひとつ掴めなかった。それは同時に私が、劇中の中年男の心情と深刻なシンクロを果たしてることを示し、それはそれで、この作品のもつ力と言えるのかもしれない。

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自主製作ホラーとくればサム・ライミの『死霊のはらわた』は外せないし、最近ではたった7500円足らずで作られた英国ホラー『コリン』も映画界を湧かせたが、加藤麻矢監督の『FALLING』は女ヴァンパイア物。しかもそこに、いつ切って捨てられるか分からない派遣社員の悲哀さえも生み付けている。この手のジャンルムービーでは、もう一味オリジナルな狂気&ボルテージを加味した編集とカメラワークが追究されてしかるべきだが、本作はそんな期待などどこ吹く風で、中盤から何故か80年代TVドラマを思わせるキミョーな袋小路へと観客をいざなっていく。十字架、流血、後輩イビリ、そしてピアノを弾く女(!)。この食べ合わせの妙が異様な後味を残す一作だった。

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渡辺裕子監督の『愚か者は誰だ』は、事務所社長と女優と演出家と探偵の4すくみ劇。浮気性な女に振り回され、部屋から部屋、街の車道を這いつくばるように尾行し、尾行されつづける彼らが辿りつく先は、香港映画を思わせるようなビルの屋上だ。このあたりの動線の貼り方が巧い。よくもこんなロケーションが確保できたものだ。抜けるような青空の下で逃げも隠れも出来なくなった彼らが興じる”命がけのゲーム”のどこか運動会にも似た安っぽさ。その緊張感と哀愁を補強する役者陣それぞれのハーモニーが的確に抽出されていて安心して観れる。演劇的、箴言めいたセリフをさらりと口にする役者の力も大きい。

桃まつり 弐のうそ
めくるめく11の”うそ”がはじまるー!!

公式サイトアドレス
http://www.momomatsuri.com/
3月13日(土)~26日(金)渋谷ユーロスペースにて、レイトロードショー

【映画ライター】牛津厚信


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カテゴリー: 日本 | 映画レビュー

2010年3月17日 by p-movie.com