あの子を探して

99年ヴェネチア映画祭グランプリ受賞 ★★★★☆
[99/中国] 1h46 7月1日より渋谷bunkamura ル・シネマにて公開

監督:チャン・イーモウ
出演:ウェイ・ミンジ チャン・ホエクー
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
宣伝:樂舎

中国の巨匠チャン・イーモウが2度目のヴェネチア映画祭金獅子賞(グランプリ)に輝いた心温まる作品。今までの監督作品はコン・リー主演の芸術作品だったが、今回は一人もプロの俳優を使うことなく全て素人をキャスティングして作り上げた、シンプルだがテーマ性の強い感動作品である。なお、この作品は、コロンビア ピクチャーズ フィルム プロダクション アジア提供でソニー・ピクチャーズが初めてミニ・シアター系で公開する映画になった。

中国の田舎町にあるシュイチアン(水泉)小学校のカオ先生が病気になった母親の看病をするために、村長は代わりに子供たちの面倒を見る代理教員に中学も満足に卒業していない13歳の女の子ウェイ・ジンミンを連れてくる。小学校は40人いた生徒が家庭の事情により、今では1年から4年まで28人になっていた。もし留守の間に誰も辞めなければ報酬を10元増やすと約束され、ウェイはしぶしぶ引き受ける事にする。彼女は一日の大半を教室のドアの外に座って生徒が逃げ出さないように見張って過ごすことになった。しかし早くも事件勃発、なんと足の速い女の子がスカウトされて町に行ってしまったのだ。そして追い打ちをかけるようにクラスの悪ガキでチャン・ホエクーが家計を助けるために町に出稼ぎに行ってしまった。これでは報酬が貰えない。しかし町に行くにはバス代がいるしお金がない。ウェイは生徒と煉瓦運びをしてお金を稼いでどうにかチャンを捜しに町に行く。しかし、チャンは行方不明になっていた。チャンは何処に行ったんだろう? ウェイのあてのない旅が始まった。

なんともイラン映画のようなシンプルなストーリーに、これでグランプリとはチャン・イーモウずるいな、と思ったがやはり少年を捜す方法がいかにも広い中国だけあって納得。しかも貧しい村では学校の備品もままならなかったり、家庭の事情から満足に学校にも行けない子供が多いと社会情勢までも取り入れたテーマ性に感銘を受けた。まもなく監督の記者会見の模様をホームページに掲載しますので興味のある方はそちらもご覧下さい。


カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2000年7月3日 by p-movie.com