趣味の問題

あなたも味見係になる? ★★★☆☆
[00/仏] 1h30 11月18日より新宿シネマスクエアとうきゅうにてロードショー

原作:フィリップ・バラン
監督:ベルナール・ラップ
脚本:ベルナーレ・ラップ ジル・トラン
出演:ベルナール・ジロドー ジャン=ピエール・ロリ フロランス・トマサン
配給・宣伝:クレストインターナショナル

フランス映画祭横浜2000で上映された「趣味の問題」が早くも劇場公開される。監督は、テレンス・スタンプ主演の「私家版」で本が人を殺すという新しい心理サスペンスを仕上げたベルナール・ラップ。今回もいかにもフランスらしい、一味違った心理サスペンスを披露している。本作は、フランスコニャック国際ミステリー映画祭にてグランプリをはじめ賞を獲得している。

国際的な化粧品会社を経営している経済界の有力者フレデリックは三ツ星レストランも敬服させる美食家。全てに洗練された趣味を持ち、財産も権力も名誉も得て、まさに成功の頂点にいる。そんなフレデリックは、レストランで給仕をするニコラに出会う。的確な言葉で料理を表現するニコラを気に入ったフレデリックは彼を試食用の味見係にと多額の報酬を提示する。金持ちの道楽だと思ったニコラは軽い気持ちで受け入れた。フレデリックと共に行動して彼の嫌いなものが料理に含まれていないかを確かめたり、接客する相手に勧めるメニューを決めたりとニコラには有意義な仕事であったが、研修と称して別荘での泊り込みによる味のわかる舌を持つ訓練で、ニコラはフレデリックの嫌いな物を食べないことを命ぜられる。それは全ての趣味を共有するという完璧なもう一人の自分になる事を欲するというフレデリックの願望であった。そしてニコラに料理の試食だけではなく、ありとあらゆる味見をさせるようにエスカレートしていった。

何でも言葉にして表現しないと気がすまないフランスならではの作品。何の迷いも疑いもなく完璧なソックリサンと化していくニコラに何処までのめり込めるかでこの映画の見方が変わってくると思う。ミステリー作品というより、自分はブラックコメディーとして楽しめました。


カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2000年11月20日 by p-movie.com