どら平太

快娯楽時代劇  ★★★★☆
[00/日本] 1h51 5月13日より日劇東宝ほか全国東宝邦画系にて公開

原作:山本周五郎「町奉行日記」
監督:市川 崑
脚本:四騎の会(黒澤 明 木下恵介 市川 崑 小林正樹)
出演:役所広司 片岡鶴太郎 浅野ゆう子 宇崎竜童 菅原文太
配給・宣伝:東宝株式会社

日本の巨匠と言われている四人の監督が脚本を書いた四騎の会の第一作「どら平太」が30 年かかり映画化された。当初は三船・錦之助・裕次郎・勝の共演で四人が自分の好きな部分を演出するという夢のようなプロジェクトだったが、残念ながら実現されなかったのである。その後幾度となく映画化の期待を伺っていた市川崑監督が役所広司の時代劇熱望をきっかけに、監督作品74作目にしてリベンジが実った。ちなみにタイトルを名付けたのは黒澤明である。

或る小藩の町奉行所に江戸から新任の町奉行の望月小平太(役所)が来るという。振る舞いは不埒を極めて「どら平太」という仇名までついている評判の悪い男だった。しかし、それは本人が友人の大目付・仙波(宇崎)に頼んで、わざと悪評を流させていたからだ。壕外と呼ばれる治外法権と化した地域の一画では三人の親分が権力を握り、密輸・売春・賭博の利権を分け合って城代家老をはじめとする藩の重職と長年結託して藩政を欲しいままにしていた。藩の腐敗をなくしたいと望む徒士目付・安川(片岡)は、その病巣を取り除くためにどら平太に全てを託した。どら平太は奉行所には赴かず、安川に手配させた宿を根城にして遊び人として別人になりすまし、壕外に出入りして壕外の掃除を一人で始めるのだった。

昨年から今年に入って時代劇が作られているが、この「どら平太」が今の段階ではいちばん面白いと思う。物語も分かりやすくて(遠山の金さんのようだけど)、50人のやくざとの大立ち回りで敵をなぎ倒していく役所広司の格好良さは、さすが痛快・愉快・豪快を売りにしているだけあってなかなかです。見終わって清々しい気分になりたい方はお見のがしなく。


カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2000年5月15日 by p-movie.com