ローマ 昼下がりの恋


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「イタリア式恋愛マニュアル」「モニカ・ベルッチの恋愛マニュアル」に続くイタリアの国民的(?)恋愛シリーズの第3作で、上映時間が2時間6分と少々長いが、3話オムニバスなので1話は平均40分程度。同じアパートの住人がたどる三様の恋が描かれるが、第一話が青年編、第2話が中年編、第3話が老年編という構成になっている。

第1話の青年編は、土地買収に赴いたトスカーナで、サラという婚約者があるにもかかわらず、ゴージャスな美女ニコルに一目ぼれしてしまう青年弁護士ロベルトが主人公。野心満々の青年が、美女との禁断の恋を通して、大人へと成長していく姿がコミカルな中にほろ苦さを込めて描かれた好編だ。トスカーナ地方ののんびりした能天気な雰囲気もいい。

第2話は「危険な情事」のコメディ版といった趣き。エキセントリックな女性エリアナと深い仲になったために、坂道を転がり落ちるようにどんどんとんでもない事態に陥っていく有名キャスター、ファビオの姿が、皮肉なタッチで描かれる。作り手の意地の悪い笑い顔が画面のそこに見え隠れするようなタッチなんだが、見ているこちらは、気楽に笑ってしまう。人の不幸は甘露の味か?

第3話は、なんとロバート・デ・ニーロが主演。心臓移植の手術をした元歴史教授エイドリアンと陰のある美女ビオラの恋を描いたものだが、これが飛び切り良い!今回のデ・ニーロは、珍しく少々気難しい”普通の男”を演じているが、人生の黄昏を迎えた老年期の男が、まるで少年のように恋にときめく姿が実にチャーミングなのだ!エイドリアンがビオラに向かって言う台詞「僕の新しい心臓は、君に恋することに決めた」や「人生が終わりに近づいても、不意に新しく始まることもある」という独白も、デ・ニーロの口から出るだけで、さらに味わいがましてくる。ビオラ役はモニカ・ベルッチ。イタリア国内仕様でなく、国際仕様を意識した顔合わせだが、演技力もあるスターの共演が、ロマンティックな物語にリアリティが出ている。
なほ、3話の橋渡し役として、3つの物語の合間に天使が登場。案内人的役割を果たしているのが、ほのぼのとした気分を盛り上げている。

<CREDIT>

キャスト:ロバート・デ・ニーロ、モニカ・ベルッチ、リッカルド・スカマルチョ、カルロ・ベルドーネ、ミケーレ・プラチド、ラウラ・キアッティ、ドナテッラ・フィノッキアーロ、バレリア・ソラリーノ、ビットリオ・エマヌエーレ
監督: ジョバンニ・ベロネージ
上映時間:126分
配給: アルシネテラン

2012年2月18日公開
公式ホームページ http://hirusagari-roma.com/

【ライター】渡辺稔之


カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2012年2月29日 by p-movie.com