パラレル 愛はすべてを乗り越える―。

交通事故で将来を絶たれた元サッカー選手が、献身的な妻に支えられ、
車椅子バスケットの選手としてパラリンピックに出場するまでを、実話をもとに描く。
北京パラリンピックの日本選手団主将だった京谷和幸氏夫妻がモデル。
ドラマ「RESCUE  特別高度救助隊」の要潤と
歌手として活躍する島谷ひとみの共演で爽やかな感動を呼ぶ。

090306_parallel_main.jpgJリーグで活躍するサッカー選手の京谷和幸(要潤)は、
チアガールの三木陽子(島谷ひとみ)に一目惚れ。
強引なアプローチに陽子は戸惑うが、まっすぐな性格の和幸に魅かれ、
やがて結婚を決める。
だが結婚式前日、和幸が交通事故に。
一命は取り留めたものの、歩くことができなくなってしまう。
自暴自棄になる和幸。
陽子は和幸の母に結婚を解消するよう説得される。
だが陽子の和幸への愛情はその後も変わることなく、2人は結婚する。
やがて、和幸は車椅子バスケのコーチ近藤(細川茂樹)と出会い、
パラリンピックを目指さないかと誘われる。

物語は2部構成で展開する。
和幸と陽子が出会い、愛を育んでいく前半。
そして、事故に遭った和幸が陽子に支えられ、
車椅子バスケの選手として再起するまでの姿を描いた後半。
中でも印象的なのは前半。
ごく普通にデートを重ねていく2人の姿は、
“闘病もの”というよりもラブストーリーそのもの。
大事な一人娘の陽子を奪われるものかと結婚に反対する父親なども登場、
コミカルな雰囲気すら漂わせる。

一見、前半は本筋とは関係ないかのように思える。
だが、事故前の和幸の姿を描くことで、
障害者も健常者と同じ普通の人間だということをわかりやすく伝える。
障害者だって、ときにはわがままも言えば、甘えた面も見せるときもある。
2人が支えあうときもあれば、イライラして八つ当たりすることもある。
表裏両面をきちんと描いたことが、歩けなくなった和幸の辛さや
それを乗り越える夫婦の愛情を、より印象深いものにしている。

また、主演の要潤と島谷ひとみ、2人の好演も忘れてはならない。
障害者という重い題材を扱いながら、
湿っぽくならず、爽やかささえ感じさせるのは2人の功績大。
近年まれに見る爽やかなカップルの姿に、目頭が熱くなった。

中国の故事に「人間万事塞翁が馬」という言葉がある。
一見悪い出来事でも思わぬ幸運をもたらしてくれる、
人生何が幸いするかわからない、という意味だ。
そんなことを思い出させる京谷夫妻の姿は、
タイトル通り”全てを乗り越える”希望に溢れている。
人生に障害者も健常者もないのだ。

映画「パラレル 愛はすべてを乗り越える―。」オフィシャルサイト
http://parallel-movie.com/index.html
どんな時も変わらずに、その人を愛せますか?
2009年3月14日(土)より、シネマート新宿 他 全国順次ロードショー
(C) 2009 『パラレル』フィルムパートナーズ

【映画ライター】イノウエケンイチ


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カテゴリー: 日本 | 映画レビュー

2009年3月13日 by p-movie.com